“究極の食中酒”「伯楽星」の作り手が語る酒造りのこだわり―オンラインテイスティング「SAKE×NOMY」体験レポート
LOUNGE / EAT
2020年8月25日

“究極の食中酒”「伯楽星」の作り手が語る酒造りのこだわり―オンラインテイスティング「SAKE×NOMY」体験レポート

LOUNGE|SAKE(日本酒)×NOMY(学)

15回目を数えるオンラインテイスティングイベント

蔵元とともに自宅でこだわりの日本酒を楽しめるオンラインテイスティングイベント「SAKE(日本酒)×NOMY(学)」の第15回目が行われた。この日のゲストは、震災を乗り越え、国内屈指の近代的な酒蔵へ復活を遂げた宮城県の新澤酒造店 新澤巖夫氏。“究極の食中酒”と評される代表ブランド「伯楽星」をはじめ、酒造りのこだわりをたっぷりと語ってくれた。

Text by OPENERS

「SAKE(日本酒)×NOMY(学)」は、新型ウィルスの感染拡大による飲食店の営業自粛やイベント開催自粛で影響を受ける日本酒業界を盛り上げるため、中田英寿が発案したオンラインテイスティング企画。オンラインミーティングアプリ「Zoom」を利用しながら、蔵元から直接、日本酒や蔵にまつわるエピソードや日本酒の魅力を聞きながら、参加者に事前に送られるその酒蔵の特別な酒を味わえるという内容だ。
非売品の貴重酒も登場
第15回目は、2011年東日本大震災で被災し酒蔵が全壊、そこからわずか8ヶ月余りで製造を開始し、今では最新の設備を整えた近代的な酒蔵として人気を博す新澤酒造から、蔵元の新澤巖夫氏が登場した。テイスティングしたのは、「愛宕の松 (あたごのまつ)」、「伯楽星 純米大吟醸 桜」、「残響super7」の3銘柄だ。
イベント内で紹介された3銘柄。左から「伯楽星 純米大吟醸 桜」、「残響super7」、「愛宕の松 (あたごのまつ)」
通常はJALのファーストクラスでしか提供されない「伯楽星 純米大吟醸 桜」も大変貴重なお酒だが、「残響super7」はさらに特別。驚くべきはその精米歩合だ。精米歩合とは、原料のお米をいかに削ったかを示す数値で、精米歩合70%以下が本醸造、60%以下が特別本醸造・特別純米・吟醸・純米吟醸、そして50%以下が大吟醸・純米大吟醸と呼ばれるが、「残響super7」の精米歩合は7%だという。お米を極限まで磨き上げ、酒造りの常識を覆す精米歩合を実現したことが、新澤酒造の高い技術力を証明している
蔵の設備や蔵人の紹介も
イベント中盤では、蔵元が自ら施設内をレポートし、オンライン酒蔵見学が行われた。
震災後に再建した施設では、重労働の原因となっていた従来の伝統的な設備を刷新し、若い女性でも働きやすい環境を整えた。その結果、今では蔵人の7割弱が女性だという。
新澤酒造店最年少の女性蔵人
「酒造りで一番大切なのは人。材料にしても製法にしても最終的に決定を下すのは人なので、人にこだわる酒蔵でありたいし、トップダウンではなく、一人ひとりの意見を酒造りに活かしていきたい」と語る新澤氏のもとには、さまざまなルーツをもつ蔵人が集まっている。
“究極の食中酒”「伯楽星」、その特長とは
企画の後半では、「伯楽星」の味わいの特長を蔵元自ら詳説してくれた。「日本酒には大きく、“しっかり味わうお酒”と“(料理を)引き立たせるお酒”がありますが、伯楽星は“引き立たせること”に徹したお酒です。」と新澤氏。“究極の食中酒”と称する「伯楽星」は、すっきりとした風味で料理の邪魔をせず、甘み、酸味、旨味などあらゆる味わいを引き出してくれるという。「酒販店への営業活動をやめて、レストランや料亭の料理人に認めてもらえる酒を目指しています」と、料理と合せる酒造りへのこだわりの深さをのぞかせた。
震災で蔵が全壊判定後、水源豊かな蔵王連峰の麓に蔵を移した新澤酒造の外観
MCを務めた利き酒師の山同敦子氏は、「伯楽星に合わせたいお料理は、本当にいろいろなものが頭に浮かんできますが、タイのカルパッチョなど白いお料理との相性は抜群だと思います。なかでも白子と伯楽星の組み合わせはまさに“究極”です!」と、ソムリエの資格も持つ自身の経験をもとにおすすめのペアリングを紹介した。
お酒の作り手と利き酒師それぞれの視点からおすすめのペアリングを解説
このほか、蔵元セレクトのおつまみや、原料の米へのこだわりについても語られた同イベント。次回の開催は未定とのことだが、Sakenomyのプロジェクトでは、人気レストランのシェフが教える家庭料理のレシピと、そのペアリングを提案する動画コンテンツ「にほんもの Chef’s Table」を展開中だ。

ミシュランガイドで三ツ星を獲得している「神楽坂 石川」の石川秀樹シェフや「虎白」の小泉瑚佑慈シェフほか、「Simplicite サンプリシテ 代官山」の相原薫シェフ、「かんだ」の神田裕行シェフなど、国内外から評価を受ける一流料理人たちがレシピを紹介している。外食を控えることも多いいま、自宅で楽しむ料理やお酒にこだわりながら、食卓を充実させてほしい。
SAKE(日本酒)x NOMY(学) VOL.15 伯楽星(新澤醸造店)
日時|2020年8月2日(日)18:00~19:30
蔵元|新澤醸造店 新澤巖夫氏
参加費|5000円~(税込、チケットの種類により異なる)
※参加費に開催前日までに送付する日本酒を含む。日本酒の送料はチケット代に含まず、別途着払い
問い合わせ先

にほんもの Chef’s Table (ニホンモノ シェフズテーブル)
https://nihonmono.jp/chef/

                      
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