BOOK|雑誌『BRUTUS』最新号・松浦弥太郎が語る「男の一流品」
BOOK|雑誌『BRUTUS』最新号・松浦弥太郎の男の一流品カタログが発売
松浦弥太郎が語る「一流が一流であるゆえん」
マガジンハウスから発行されている雑誌『BRUTUS(ブルータス)』最新784号の特集の問いかけは、あなたにとって“一流”とは何ですか? ―― エッセイストで、『暮しの手帖』編集長の松浦弥太郎氏とブルータス編集部がつくった“男の一流品カタログ”がおもしろい。今回、一流にこだわった理由を松浦弥太郎氏に訊いた。
Photographs by SUZUKI Simpei (Still)Text by KAJII Makoto (OPENERS)
松浦弥太郎が語る、「男の一流品」とは何か
――今回の特集を「男の一流品カタログ」としたのは?
松浦弥太郎 「男の一流品」とは何かをブルータス編集部と真剣に考えてみたかったのです。そしてまた、自分がほんとうに憧れるモノ、欲しいモノ、愛せるモノとは、どういうものなのか、それも深く掘り下げて知りたかったのです。
要するに、「男の一流品」にたいする、なぜ、なに、なんだろう、という強い好奇心が動機ですね。それを今回ブルータス読者と分かち合いたいと思いました。
――発売しての感想をお教えください
松浦 一流品だけでなく、この世界にあるすべてのモノ、そのモノの中に心を見つけ、自分の心をモノに寄せること。その大きな喜びを、改めて学ばせていただきました。
「かなわなさ」とは、まばゆい光のようなもの
――男にとって、好きなもの、心地良いモノに囲まれて暮らすことの効能とは
松浦 今回の特集の企画で対談した写真家の上田義彦さんがおっしゃったように、自分がかなわないと思うモノに、僕も心がひかれます。「一流」という、かなわないモノや、かなわない世界が、自分の暮らしに少しあるとうれしいですね。自分よりも優れたひとといっしょに暮らしているようで。
かなわなさとは、まばゆい光のようなものです。そういった光に気づけるかどうか。その光を愛せるかどうか。そこで生まれる交歓は、きっと暮らしをみずみずしくしてくれるのです。
――尾崎浩司さん、森英恵さん、ホルトハウス房子さん、上田義彦さんと対談されて、今回得たもの、感じたものは?
松浦 感動したのは、みなさんともに限りなく素直で、なにごとにも一生懸命であることでした。自分に関係のないことなんて、ひとつもないという、広いまなざしと好奇心を、みなさんおもちで、今日も何かひとつあたらしいことに一生懸命取り組んでいるという生き方に僕は憧れました。
――松浦さんにとって雑誌『ブルータス』とは
松浦 雑誌でありながら、精神悠々で、生きることのパッションとロマンを備えもった友人のような存在です。一読者として僕は、ブルータスといっしょに、雑誌を読む、楽しむ、味わうという名の「豪遊」をしたいといつも思っています。いわば「豪遊友だち」です。ブルータスは、スコアボードの話ではなく、いまグラウンドで起きている話をたっぷり聞かせてくれる雑誌です。
松浦弥太郎|MATSUURA Yatarou
暮しの手帖編集長/エッセイスト。「正直、親切、笑顔、今日もていねいに」を信条とし、暮らしや仕事における、たのしさや豊かさ、学び、についての執筆、雑誌連載、ラジオ出演、講演会をおこなう。著書多数。中目黒のセレクトブックストア「COW BOOKS」代表。NHKラジオ第一にて、毎週木曜日「かれんスタイル」レギュラーパーソナリティ。
COW BOOKS
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