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2021年1月25日
『ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント』が開催決定|ART
ART|ファン・ゴッホの初期から晩年までの画業を辿る
ファン・ゴッホの世界最大の個人収集家、ヘレーネのコレクションから後期の傑作まで展覧
東京・上野公園の東京都美術館で『ゴッホ展――響きあう魂 ヘレーネとフィンセント』が、2021年9月18日(土)~12月12日(日)まで開催される。今日、世界中で絶大な人気を誇るフィンセント・ファン・ゴッホがまだ評価の途上にあった1908年からおよそ20年で、約90点の絵画と180点を超えるゴッホの素描・版画を収集したヘレーネ・クレラー=ミュラーの類稀なコレクションが展示される。
Text by OZAKI Sayaka|Edit by TSUCHIDA Takashi
アルル時代初期の代表作《種をまく人》、特別展示《黄色い家(通り)》など、ファン・ゴッホの傑作続々!
現在、世界中で絶大な人気を誇るフィンセント・ファン・ゴッホ(1853~1890年)。東京都美術館で開催される『ゴッホ展――響きあう魂 ヘレーネとフィンセント』は、20 世紀初頭にファン・ゴッホに魅了され、その世界最大の個人収集家となったヘレーネ・クレラー=ミュラー(1869~1939年)に焦点を当てる展覧会だ。ヘレーネは、画家がまだ評価の途上にあった20世紀初頭、ファン・ゴッホの約90点の絵画と180点を超える素描・版画を鉄鉱業と海運業で財をなした夫アントンとともに収集し、のちに設立したクレラー=ミュラー美術館の初代館長となった人物だ。
ヘレーネは、宗教的ともいえる情熱で創作活動に徹したファン・ゴッホの芸術に深い精神性を見出し、描かれた表象から感じ得る画家の内面と芸術が、その心の拠りどころとなった。そして、この感動を多くの人々と分かち合うべく尽力し、1913年にはコレクションの公開を始め、1920年代からはオランダ国外の展覧会にも多数の作品の貸し出しを始めた。
実際に作品を鑑賞する機会が限られていた時代に、質の高い作品群を惜しみなく公開したヘレーネの取り組みは、ファン・ゴッホの評価形成にきわめて重要な役割を果たしたのだ。本展では、ヘレーネが初代館長を務めたクレラー=ミュラー美術館のコレクションからファン・ゴッホの絵画 28 点と素描 20 点を展示し、ファン・ゴッホが画家を志した頃から繰り返し描いた素描の数々、新印象派の影響を色濃く見せるパリ時代の《レストランの内部》、黄と青の対照がまばゆいアルル時代の《種まく人》などで、その初期から晩年までの画業を辿ることができる。
本展の見どころのひとつが、16 年ぶりの来日となる《夜のプロヴァンスの田舎道》だ。サン=レミ時代、ファン・ゴッホは、南仏プロヴァンスを象徴するモティーフとして糸杉を選び、「ひまわり」のような作品にしようと「糸杉」の制作に熱中した。その最後に描かれた本作品は、ファン・ゴッホの南仏滞在の集大成ともいえる傑作だ。
そしてヘレーネの関心や収集傾向を明らかにするミレー、ルノワール、スーラ、ルドン、モンドリアンらの作品20点に加え、さらにファン・ゴッホの弟であり画商のテオ、その妻ヨハンナ(ヨー)が引き継いだコレクションを核とするファン・ゴッホ美術館から、《黄色い家(通り)》を含むファン・ゴッホの絵画4点が来日し、20世紀初頭からファン・ゴッホの人気と評価が飛躍的に高まっていく背景とともに鑑賞できる。
東京での展示後、巡回展示も予定されている。福岡市美術館にて2021 年12月23日(木)~2022年2月13日(日)まで、名古屋市美術館で2022年2月23日(水)~4月10日(日)まで巡回展示開催の予定だ。
『ゴッホ展――響きあう魂 ヘレーネとフィンセント』
- 会場|東京都美術館 企画展示室
- 住所|東京都台東区上野公園 8-36
- 期間|2021年9月18日(土)~12月12日(日)
- 主 催|公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都美術館、東京新聞
- ※休室日、開室時間、観覧料などは、決まり次第、展覧会公式ウェブサイト等でお知らせいたします。
- ※展示作品、会期等については、今後の諸事情により変更する場合がありますので、展覧会公式ウェブサイト等でご確認ください。
- ※新型コロナウイルス感染症拡大防止に関する取り組みについては、東京都美術館ウェブサイトをご確認ください。
問い合わせ先
東京都美術館
Tel.050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://gogh-2021.jp
クレラー=ミュラー美術館蔵