自宅からオンラインで視聴できる「No Space, Just A Place」展|GUCCI

Olivia Erlanger, Ida, Ida, Ida!, 2020. Exhibition view, No Space Just a Place, Daelim Museum, Seoul (2020)

LOUNGE / ART
2020年5月22日

自宅からオンラインで視聴できる「No Space, Just A Place」展|GUCCI

GUCCI|グッチ

グッチがソウルのコンテンポラリーアートシーンをサポート

グッチがサポートする「No Space, Just A Place」展が、韓国ソウルの大林美術館にて2020年7月12日(日)まで開催される。同展示の公式サイトから、オンラインでの閲覧も可能だ。

Text by OZAKI Sayaka|Edit by TSUCHIDA Takashi

グッチのクリエイティブ・ディレクター、アレッサンドロ・ミケーレの省察から生まれた展示

「No Space, Just A Place」展は、ソウルの豊かな文化的景観とコンテンポラリーアートシーンをサポートするために、グッチが主導する多層的プロジェクトだ。本展は、グッチのクリエイティブ・ディレクターを務めるアレッサンドロ・ミケーレによる「eterotopia(エテロトピア、他なる空間)」のコンセプトを軸として、ミリアム・ベン・サラがキュレーションを手掛けた。
ソウルでは、1990年代後半に商業ギャラリーの中立性と相対するムーブメントが自然発生的に興り、以来、様々なスペースでプロジェクトが展開され、既存のアート界に対する批判や疑問を投げかけてきた。政治的あるいは実験的な試みが為されてきたインディペンデント/オルタナティブ スペースは、いつの時代もアンダーグラウンド的であり、それが実践された店先、ロフト、倉庫などはアートシーンのメインストリームからは見過ごされがちな場所だったが、本展ではこうしたラディカルなスペースにスポットライトを当て、自主性について思索しながら権威に立ち向かい、未来の新たなストーリーを予見させる「オルタナティブ(代替)」としての可能性にフォーカスするものだ。
この展示のために、10のインディペンデント アートスペースが選出され、キュレーターとの対話を通じて生まれたプロジェクトが、独自の展示方法で大林美術館の3フロアにわたって展開される。すべてのプロジェクトは、ユートピア的な場としてのオルタナティブ スペースという考えに結びついており、そこには異質性の理解、少数派アイデンティティの探求、クイア政治学といった、新しいパワーをもたらすストーリーが息づいている。これらは、アレッサンドロ・ミケーレの社会に対する思考から導かれた、ジャンルとジェンダーの関係性の倫理的・美学的価値、環境への意識向上、自由な自己表現、そしてエイジレスな人類学的マニフェストを反映した本展のミッションに基づくものである。
例えば、イ・ガンスンのウォールペーパー インスタレーション「Covers (QueerArch)」では、QueerArch(韓国のクィア文化のアーカイブプラットフォーム)からのコレクションを中心に、韓国におけるクィア・コミュニティの40年間にわたる歴史にオルタナティブな視点を提示するとともに、歴史の本流から取り残された個人の物語が語り直される。
またオリビア・エルランガーのシュールなインターベンション「Ida、Ida、Ida!」では、美術館のスペースがコインランドリーという、ただ時間が過ぎるのを待つのみの空間に変容。このコインランドリーには、性別といった概念のないキメラ的な存在としてのマーメイドの尾が置かれ、流動性、異種交配、ジェンダーの原型についての疑問を提起するものだ。
本展は2020年7月12日(日)まで開催され、公式サイトにて韓国語と英語による音声案内付きのVRでの視聴も可能。移動制限に捉われることなく、自宅から作品の数々を閲覧できる。
No Space Just a Place, Daelim Museum, Seoul (2020)
NO SPACE, JUST A PLACE ETEROTOPIA
  • 期間|2020年7月12日(日)まで
  • 場所|ソウル 大林美術館
  • 住所|21, Jahamun-ro 4-gil, Jongno-gu, Seoul, South Korea
問い合わせ先

NO SPACE JUST A PLACE
https://nospacejustaplace.gucci.com/