ART|アブラハム・クルズヴィエイガスによる日本初個展
ART│メキシコのコンセプチュアルアートの中心的アーティスト
アブラハム・クルズヴィエイガスによる日本初個展をラットホールギャラリーで開催
メキシコ人アーティスト、アブラハム・クルズヴィエイガス(Abraham Cruzvillegas)による日本初個展『Autodestrucción5: Netsukumogamishungaseppuku』が7月4日(金)から、南青山のラットホールギャラリーでスタート。9月14日(日)まで開かれ、滞在制作により新作が発表される。
Text by YANAKA Tomomi
日本の伝統美術を参照にし、滞在制作により作品を発表
1968年、メキシコシティに生まれ、現在もメキシコを拠点に活動しているアブラハム・クルズヴィエイガス。メキシコ国立自治大学で美術と哲学を学び、1980年代後半から1990年代にかけてメキシコシティで起こった、コンセプチュアルアートの潮流の中心的アーティストとして注目を集め、経済・社会、政治、歴史をとおしたアイデンティティや自己構築の問題を問う作品を発表。さらに、国際展などにも数多く出展してきた。
クルズヴィエイガスはセルフ・ビルドの家で育った経験から、即興的な手仕事にルーツをもち、制作している場所や即興といった要素が大きな意味をもつ。なかでも彼の作品は、廃材や鉄くず、再生プラスチックや動物の排泄物といったファウンドオブジェをもちいることで知られ、小さな自立した立体作品から、大型の建築的インスタレーションまで幅広い作品を制作している。
日本初個展であり、滞在制作による本展では、根付や春画、そして生け花といった日本の伝統美術を参照。「アレンジメント」という概念のもと、小さなファウンドオブジェからなる作品が発表される予定だ。
テクスチャーやカタチが大きく変化させられ、特定の場所や時間、コンテクストがもつ意味や解釈にズレを発生させるクルズヴィエイガスの作品。その彼の作品が日本の文化と“対面”したとき、どのような化学反応を見せるのか。日本ではじめて発表されるクルズヴィエイガスの作品に注目したい。