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ART
2015年4月2日
ART|『モネ、風景をみる眼-19世紀フランス風景画の革新』
ART│2つの美術館の所蔵作品を見比べることができる貴重な機会
国立西洋美術館『モネ、風景をみる眼-19世紀フランス風景画の革新』
印象派を代表する画家であり、『睡蓮』などで知られるモネ。彼の眼が風景をどのように捉え、カンヴァスの上にどのような絵画空間が生まれていったのかを探る『モネ、風景をみる眼-19世紀フランス風景画の革新』。上野の国立西洋美術館で3月9日(日)まで開かれている。
Text by YANAKA Tomomi
共通のテーマをもつ作品を同時に展示し、モネの視点を浮かび上がらせる
日本でも有数のモネのコレクションで知られる国立西洋美術館とポーラ美術館の共同企画により実現した『モネ、風景をみる眼-19世紀フランス風景画の革新』。『睡蓮』や『積みわら』といった連作を数多く制作してきたモネの作品を見比べることができる、貴重な機会となっている。
「モネは眼にすぎない、しかし何と素晴らしき眼なのか」とおなじく印象派のセザンヌに言わしめたモネの作品。だが、モネの眼は自然の風景から受け取る感覚的で、瞬間的な印象を捉えていただけではなかった。彼は晩年になると白内障により、ほとんど眼が見えない状態となっており、自らの記憶のなかで純化された、画家のうちなるヴィジョンともいうべき、喚起力に満ちた風景を描いていくこととなる。
会場には、モネ作品35点を中心に、マネからピカソまでふたつの美術館のコレクションから選び出した同時代の主要作品の数々をあわせ、総数約100点を展示。モネがカンバスの上に作りあげていった絵画空間の独自性を明らかにしていく。特にこれまで別々でしか展示できなかった、共通テーマの作品なども同時に紹介。見比べることでモネの視点を浮かび上がらせる。
印象派を代表する画家モネの眼に迫るとともに、長い画業のなかで彼の眼はどのように深化していったのか――。その軌跡をふたつの美術館の所蔵作品から考察する。