LOUNGE /
ART
2015年4月2日
ART|新作展『大矢加奈子-庭の風景-』
ART|「不完全」「不安感」という日常の一瞬を描き出す
新作展『大矢加奈子-庭の風景-』
気鋭画家として注目を集める大矢加奈子(おおや・かなこ)による新作展『大矢加奈子-庭の風景-』が、渋谷区・神宮前のhpgrp GALLERY TOKYOで開かれている。12月29日(日)まで。
Text by YANAKA Tomomi
風景や、日常の記憶、経験を捉え直し、“自分の庭”に変換
周到なレイアウトと高い描写力、多彩なテクニックをもちいた独自の表現で、不完全さや不安感という日常の一瞬を鮮烈に描き出す大矢加奈子。1983年、神奈川県に生まれ、2008年東京藝術大学大学院修士課程を修了、同年には群馬青年ビエンナーレで大賞を受賞している。翌2009年には損保ジャパン美術財団選抜奨励展秀作を受賞するなど、今後さらなる活躍が期待されている若きアーティストだ。
本展では、旅のなかで見た風景や、日常の記憶、経験を捉え直し“自分の庭”として描き出した新作を発表。時間や場所を特定できない背景のなか、一見華やかで温かみのある色使いの画面にあらわれる冷静な視線が、複雑な心象風景をのぞかせる。
大矢は「経験や記憶の上に存在する自分は、なんてあやふやなものなのだろう。それは日々の生活においてもおなじことで、私は描くことでその不確かなものを繋ぎ止めたいとおもう」と語る。笑顔や優しい笑みをたたえながらも、どこか不安を感じさせる少女たちの姿は私たちの心のなかのどこかにいる。だからこそ、私たちは大矢加奈子の作品にひきつけられるのだ。