ART|柿沼康ニ『書の道“ぱーっ”』展
ART│書道と現代アートの領域を自在に行き来するアーティスト
柿沼康ニ『書の道“ぱーっ”』を金沢21世紀美術館にて開催
「書を現代アートに昇華させたアーティスト」として知られる、書家柿沼康ニ(かきぬま・こうじ)氏。彼の書の全貌を紹介する『書の道“ぱーっ”』が11月23日(土・祝)、金沢21世紀美術館で開幕、2014年3月2日(日)まで開かれる。
Text by YANAKA Tomomi
「書とは何か」を柿沼作品から考える
柿沼康ニ氏は1970年生まれ。5歳から筆をもち、父である柿沼翠流、手島右卿、上松一條に師事。「書はアートたるか、己はアーティストたるか」を命題に、既存の書に収まらないあらたな書の地平に挑みつづけてきた。
現代書家のなかでも書の歴史を強く意識し、現代と向き合いながら制作してきた柿沼氏。古人や能筆家(歴史上の書家のこと)との対話である「臨書」や、書を時間的、空間的に発展させて巨大なスケールで展開するインスタレーションなど、書、現代アート、さらにはサブカルチャーを横断した今日的な表現が、多くのひとたちを魅了してきた。
彼の書をつうじて、「書とは何か」「現代における書の魅力」を伝えるべく開催される本展では、1990年代後半から最新の代表作までおよそ700点で構成。会場には、初期の『一』や、先達や同時代人との対話から生まれた書も展示。さらに、今回のために生み出された大作インスタレーション、過去の大型作品など、柿沼芸術が網羅される。
何枚も何枚も書きつづけるなかで「心、技、体」が一致し、充実した瞬間に生み出される渾身の書。書き直しができない、一回性の上に成り立ち、緊張感をもって“いま”と“ここ”を繋げる自由な作品は、あたらしい時代の“書の道”をあらわしている。
柿沼康ニ『書の道“ぱーっ”』
会期│2013年11月23日(土・祝)~2014年3月2日(日)
※毎週月曜、12月29日~1月1日は休み。ただし祝日は開催し、翌火曜は休み。
時間│10:00~18:00 ※金曜、土曜は~20:00
会場│金沢21世紀美術館
石川県金沢市広坂1-2-1
Tel.076-220-2800
料金│一般1000円、大学生・65歳以上800円、小中高生400円