ART|東京国立近代美術館で『ジョセフ・クーデルカ展』
ART│プラハ侵攻を撮影した伝説のカメラマンによる日本初の本格的な回顧展
東京国立近代美術館で『ジョセフ・クーデルカ展』開催
1968年、ワルシャワ条約機構軍のプラハ侵攻を撮影し、その写真が匿名のまま西側に配信されて一躍脚光を浴びた伝説的な写真家、ジョセフ・クーデルカ。彼の本格的な回顧展『ジョセフ・クーデルカ展』が、アジアで初めて東京で開催。11月6日(水)から2014年1月13日(月・祝)まで東京国立近代美術館で開かれる。
Text by YANAKA Tomomi
未発表のヴィンテージプリントや最新作など約280点を展示
ジョセフ・クーデルカは1938年チェコスロヴァキア生まれ。航空技師として働きながら1960年代初頭から写真を発表しはじめ、プラハの劇場での写真をつうじてチェコスロヴァキアの写真界にその存在を知られるようになる。
1968年に起こったプラハ侵攻を撮影し、写真は本人や家族への報復の懸念から「プラハの写真家」のイニシャルであるP.P名義で発表。そして、その衝撃的な写真は1969年、匿名のまま国際報道クラブによりロバート・キャパ賞が授与された。
これをきっかけに故国を離れたクーデルカ。当初イギリス、後にフランスを拠点にチェコスロヴァキア時代から取り組んでいた『ジプシーズ1962-1970』や、亡命後にヨーロッパ各地で撮影された『エグザイルズ1970-1994』などのシリーズを発表。詩的でありながら、独特の強さをもつ作品は高い評価を得てゆく。
故国であるチェコ共和国でスタートし、本格的な回顧展としてアジアで初の開催となる本展では、初期から最新作まで約280点を展示。これまで見ることのできなかったヴィンテージプリントがくわわるほか、1980年代後半よりスタートしたパノラマ・フォーマットによる『カオス1986-2012』も含めた、あらたな構成で今日にいたるクーデルカの“すべて”が紹介される。
市井のひとびとのささやかな人生をとらえつつ、20世紀という時代をめぐる文明論的な奥行きをも備えた作品として、世界にインパクトを与えてきたクーデルカ。いま世界でもっとも注目される写真家の人生、そして作品世界を旅してみたい。
『ジョセフ・クーデルカ展』
会期│11月6日(水)~2014年1月13日(月・祝) ※毎週月曜、12月24日(火)、12月28日~1月1日は休館。
ただし、12月23日、1月13日は開館。
時間│10:00~17:00 ※毎週金曜は~20:00
会場│東京国立近代美術館
東京都千代田区北の丸公園3-1
Tel.03-5777-8600(ハローダイヤル)
観覧料│一般850円、大学生450円