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ART
2015年4月6日
ART|広島市現代美術館で『サイト-場所の記憶、場所の力-』展
ART│記憶をめぐる場所とのつながりをヒロシマの地で共有する
広島市現代美術館で『サイト-場所の記憶、場所の力-』展
イサム・ノグチが手がけた幻の原爆慰霊碑をはじめ、「サイト(場所)」について密接な関係をもつ美術表現をテーマにした展覧会『サイト-場所の記憶、場所の力-』が広島市現代美術館で開かれている。10月14日(月・祝)まで。
Text by YANAKA Tomomi
イサム・ノグチが制作した『広島の原爆死没者慰霊碑』
「サイト(場所)」にまつわる痛みや喪失、そして懐かしさ…さまざまな記憶をめぐる場所とのつながりを、ヒロシマの地で共有できる『サイト-場所の記憶、場所の力-』が開催中だ。
本展では、彫刻家であり、庭園や公園、橋などの都市計画も担ったアーティスト、イサム・ノグチ。彼が建築家の丹下健三の依頼により設計した『広島の原爆死没者慰霊碑』の5分の1サイズの模型を展示する。実際にはつくられることはなかったが、和やかなな丸みをおびた慰霊碑は地下に霊安室を備えた二層構造となっており、イサム・ノグチがヒロシマの破壊と喪失に想いを寄せ、手がけた作品だ。
このほかにも2003年に勃発したイラク戦争の余波で、美術館から盗まれた美術品を日用品で再びつくるマイケル・ラコウィッツのプロジェクトや、祖父の遺品である写真を再構成して作品を生み出した木村友紀の作品などが並ぶ。
さらに、グローバル化する世界移動や移民についてテーマにする作品にも注目。日本の小沢剛とギムホンソック、チェン・シャオションの日中韓のアーティストにより2007年に結成された「西京人」によるプロジェクトなども紹介される。
場所の記憶や歴史からインスピレーションを受け、美術表現が引き出した物語の数かずから、現代に暮らす私は何を想い、誰を想うのだろうか。ぜひ足を運び、作品との対峙を果たしたい。