エスパス ルイ・ヴィトン東京でヘスス・ラファエル・ソト「Pénétrable BBL Bleu」展|ART
ART|作品と鑑賞者の関係性をも変容するインスタレーション
キネティック・アートを牽引したヘスス・ラファエル・ソト代表作
「Pénétrable BBL Bleu」をエスパス ルイ・ヴィトン東京で公開
エスパス ルイ・ヴィトン東京は、フォンダシオン ルイ・ヴィトン所蔵のコレクションを紹介する「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの第6弾として、キネティック彫刻や大規模な視覚的インスタレーションで知られるアーティスト、ヘスス・ラファエル・ソトの象徴的な作品である《Pénétrable BBL Bleu》を公開する。会期は2019年5月12日(日)まで。
Text by OZAKI Sayaka
目には見えない空間への知覚を揺さぶる没入型インスタレーション
ヘスス・ラファエル・ソトは1923年ベネズエラに生まれ、カラカスの造形美術学校で学んだのち、1950年にパリへ渡った。
1955年にはマルセル・デュシャン、アレクザンダー・カルダー、ヴィクトル・ヴァザルリらと共にギャルリー・ドゥニーズ・ルネでの「Le Mouvement(運動)」展に関わり、1960年代後半には、知覚を揺さぶるような錯覚性を特徴とするその作品群により、キネティック・アートを牽引するアーティストとして知られるようになった。
すべての作品を通じて純粋な抽象性、色彩理論、そして背景と前景との間に働く力を表現しながら、ソトは一貫して、マルティプル(工業的に複数生産される作品)の問題、そして視覚的な動きを通して空間を変容させる可能性に関心を向けている。
ソトの代表的作品《Pénétrable》(浸透可能なるもの)シリーズの各作品は、没入型のインスタレーションとして制作された。何百もの細い垂直な棒を空間に吊り下げた集合体で構成された作品は、「知覚可能な空間の顕現」とソト自ら形容したように、数多くのバージョンを制作するなかで、音(聴覚)を含む様々な知覚的体験が盛り込まれている。
本展で公開される《Pénétrable BBL Bleu》は、鑑賞者が実際に作品の中を通り抜けることで、青色の集合体の動的で視覚的な作用を体験できる作品だ。素材に直接触れる体験が、目に見えないもの、また空間は空虚な場所ではないことを感じさせるだろう。