天才の精神世界にもっとも近い場所へ「草間彌生 わが永遠の魂」展|ART
天才の精神世界にもっとも近い場所へ
「草間彌生 わが永遠の魂」展開催中!
“永遠の前衛芸術家”とも称され、1950年代から、アート界の第一線で活躍し続ける草間彌生。彼女の創造性は、絵画はもちろん、彫刻、インスタレーション、映像、そして文学と、ジャンルを超えた“草間芸術”ともいえる独自の表現スタイルを確立している。世界を魅了し続けるその尽きせぬパワーと、類まれなる才能、時代の最先端を走り続ける個性の全貌に迫る、過去最大規模の個展が、開館10周年を迎えた都内の国立新美術館で開催されている。実に13年ぶりともなる都内での大規模個展は、270点にも及ぶ作品を一堂に集め、作家の全貌に迫ろうというものだ。
Text by MAKIGUCHI June
場内は21世紀に入って制作された近作を展示する第1部と、それ以前に制作された20世紀の作品群を展示する第2部とに分かれている。まず来場者が足を踏み入れた第1部で目に飛び込んでくるのは、壁一面に隙間なく展示されている大型絵画132点だ。これらは、2009年から草間が精力的に取り組んできた絵画シリーズ“わが永遠の魂”の一部。
2~3日に1作のペースで生み出される本シリーズは、制作開始から約7年となる2017年2月現在で作品数はすでに520作に及んでおり、うち1/4にもあたる作品が集まるのは、国内外を合わせても初めてのことだ。すべてが日本未公開作品ばかりなのも特筆すべきだろう。
草間が繰り返し表現してきた“反復”“増殖”“集積”というコンセプトを、お気に入りのモチーフに詰め込んだ大型作品が場内を埋め尽くす様はまさに圧巻。作家が送り出すエネルギーに包まれるような、力強い生命力を感じられる空間となっている。草間のアーティスト人生の集大成ともいえるシリーズを後にすると、デビュー当時、国内で活動していた頃の作品や、彼女の代名詞ともいえる水玉モチーフの作品、渡米後最初に高い評価を受け網目状のストロークによる“ネット・ペインティング”、男根状の突起を家具などにびっしり貼り付けた“ソフト・スカルプチュア”、光にあふれたインスタレーション“無限の鏡の間”、さらには小説や詩などの出版物、屋外には南瓜の巨大オブジェも展示され、現在へと至る変遷をたっぷりと体感することができる。
これほどの規模で、常に進化し続けている草間アートを体系的に知ることができるのは、ファンには貴重な機会となるはずだ。
初期から現在に至るまでの創作活動の全貌に迫る本展は、ロンドンのテート・モダン、パリのポンピドゥ・センターほか世界各国で個展を大成功させ、ますます注目を集め続ける作家の、国内最大級の個展。ついに、やっと、実現した東京開催を待ち焦がれたファンも多いことだろう。そしてその膨らみきった期待を決して裏切ることのない内容に、世界中のアートファンは羨望することだろう。
開会式に登場した草間は、「私の創造への意欲、芸術への希望と私の情熱を少しでも感じて頂けたら嬉しい。皆さん、私の芸術を愛して下さい」と語りかけた。
5月22日までの期間中、国立新美術館は、稀代の天才芸術家・草間彌生の精神世界にもっとも近い場所になる。
「草間彌生 わが永遠の魂」
開催日|2017年2月22日(水)- 5月22日(月)
休館日|毎週火曜日 ※5月2日(火)は開館
開館時間|10:00 - 18:00 金曜日は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)
※4月29日(土)~5月7日(日)は毎日20:00まで開館
会場|国立新美術館 企画展示室1E【東京・六本木】
住所|〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2 http://www.nact.jp/
展覧会ホームページ|http://kusama2017. jp/
問い合わせ先|03-5777-8600(ハローダイヤル)
主催|国立新美術館、朝日新聞社、テレビ朝日
協賛|鹿島建設、岡村印刷工業
協力|草間彌生スタジオ、パナソニック、TOKYO FM