受け継がれる茶の美意識、「茶の湯の継承 千家十職の軌跡展」が開催|MITSUKOSHI
MITSUKOSHI|日本橋三越本店
日本の美のDNAを味わえる「茶の湯の継承 千家十職の軌跡展」
2016年8月31日から日本橋三越本店にて、「千家十職の軌跡展」が期間限定で開催される。古来より受け継がれてきた多数の茶道具が、一堂に会する貴重な場となる。
Text by WASEDA Kosaku(OPENERS)
千利休所持の茶道具など約250点を展示
茶の湯の大成者である千利休から400年以上も続く千家の茶道。その千家好みの茶道具を制作する十の職家を「千家十職」という。その歴史は、大正12年5月、三越大阪店にて「千家十職茶器陳列会」を開催し、そこで「千家十職」が命名されたことに始まる。
『茶の湯の継承 千家十職の軌跡展』では、三千家の各お家元に代々伝わる「名品」「代表作」をはじめ、千家十職の各職家や美術館所蔵の茶道具、約250点を展覧する。控えめながらも存在感のある日本の美意識を味わえる展示となる。
永樂家〈土風炉・焼物師〉
永樂家は、代々、土風炉を主に制作し、十一代保全が1827年紀州藩主より金印「河濱支流」、銀印「永樂」を拝領。以降、「永樂姓」を名乗り、広く茶陶も作りはじめ、現在の当主は十七代目となる。
樂家〈樂焼・茶碗師〉
千利休の侘び茶の創意を受け、手と箆だけで成形する手捏ねで樂茶碗を焼いた長次郎が始祖。歴代がそれぞれの個性を発揮し、茶碗を中心に水指や花入など茶陶を制作してきた。現在の当主十五代目。
大西家〈釜師〉
江戸初期、初代浄林から現在の十六代清右衛門まで三条釜座にて制作。二代浄清は徳川三代を祀る梵鐘なども作り、千家においては宗旦の釜を作る。大名の茶や侘び茶に向く釜を作り続けている。
飛来家〈一閑張細工師〉
樂家に次いで千家に出入りを始め、千家三代宗旦が自身の侘びの茶風にふさわしいとして初代一閑に茶器など多くの好みを作らせたのが始まり。棗や香合などの一閑張細工師として現在の当主は十六代目。
土田家〈袋師〉
土田家は代々仕服、服紗を始め、裂・糸に関わる茶道具の調製が中心で、初代土田半平が表千家七代家元から「友湖」の号を賜った。現在の当主は十三代目。
中村家〈塗師〉
棗などの茶器や茶事で使う椀家具などを制作する中村家。利休が好まれた形と寸法を不易の型として復元制作し、歴代宗匠方の新趣向の作品は好み物として制作している。現在の当主は十三代目。
黒田家〈竹細工・柄杓師〉
柄杓をはじめ、竹製の茶道具を制作している黒田家。小堀遠州、徳川将軍家などの柄杓師として御用を務め、三代正玄より千家へ出入りし、花入や香合なども手掛ける。現在の当主は十四代目となる。
奥村家〈表具師〉
利休の時代から、床の間に掛ける軸は、茶道具の中で最も重要に考えられていた。家元らの揮毫の軸装や風炉先屏風、釜の敷物の一種である「紙釜敷」の制作などを行う。現在の当主は十三代目。
駒澤家〈指物師〉
棚や水指など美しい木地を活かした道具を制作している駒澤家。表千家六代覚々斎から利斎の名を与えられ、多くの好みものを作り続けてきた。現在は十四代の甥の子息が後を継ぐべく修行を積んでいる。
中川家〈金物師〉
北野大茶会に際して利休から依頼されて制作した「利休薬鑵」の作者が初代紹益。二代より淨益の名で、花入や建水など千家家元の好みの道具を制作してきた。2008年十一代が逝去、当代は空席。
以上、十家の茶道具が展示される。
また、それぞれの家が大切に護ってきた伝承の美を、当代の手によって生み出された新作を通して鑑賞できる「千家十職 新作展 ―伝承の美の世界―」も本館6階にある、美術特選画廊にて同時開催する。
脈々と現代に受け継がれる、日本の美のDNAをその目で確かめてはいかがだろう。
茶の湯の継承 千家十職の軌跡展
期間|2016年8月31日(水)~9月12日(月)
時間|10:30~19:00(閉場19:30) ※最終日は16:00まで(閉場16:30)
入場料|(一般・大学生)800円 (高校・中学生)600円 ※小学生以下無料
会場|日本橋三越本店 新館7F ギャラリー
東京都中央区日本橋室町1-4-1
千家十職 新作展 ―伝承の美の世界―
期間|2016年8月31日(水)~9月6日(火) ※最終日は17:00閉場
場所|日本橋三越本店 本館6F 美術特選画廊
日本橋三越本店
Tel.03-3241-3311(大代表)