ART|神楽坂『artdish』にて「家畜人ヤプーの世界_村上芳正原画展」開催中
神楽坂『artdish』にて開催中
「家畜人ヤプーの世界_村上芳正原画展」
三島由紀夫、澁澤龍彦が絶賛し、戦後最大の奇書とも呼ばれた沼 正三の『家畜人ヤプー』。現存する『家畜人ヤプー』の原画が一堂に会し、また澁澤龍彦、吉行淳之介、倉橋由美子、連城三紀彦、ジャン・ジュネら代表作もふくめた村上芳正原画展が、神楽坂のギャラリー+食堂スペース『artdish(アーディッシュ)』にて、10月28日(金)まで開催中。
Text by OPENERS
耽美と幻想、エロティシズムとグロテスクの饗宴
「ディレッタンティズムと奇想にみちた作家たちの装幀やイラストレーションに、耽美と官能感覚をもって応えられた村上さんの仕事はとても美しい。
それは華麗に増殖と装飾をくりかえしながら、花をつけていく人工庭園の眺めに似ている」──宇野亜喜良
昭和31年より『奇譚クラブ』に連載され、昭和45年に単行本が出版されるやいなや、高度成長期にあった太平ニッポンに衝撃をあたえ、いまや昭和の古典ともいうべき名作『家畜人ヤプー』。この大作に決定的なイメージをあたえたのが画家 村上芳正による挿絵・装幀のアートワークだった。
玲瓏(れいろう)たる貴婦人の謎の微笑に薔薇に縛られ苦悶する男性たち──三島由紀夫に愛され、遺作『豊饒の海』の装幀を託された芸術家気質の村上氏は、この『家畜人ヤプー』でも優雅で残酷、華麗な美の世界を展開した。
「家畜人ヤプーの世界_村上芳正原画展」
会期|2011年10月28日(金)まで開催中
※10月5日、11日、17日、24日休み
artdish+artdish g
東京都新宿区矢来町107番地
Tel. 03-3269-7289
営業時間|12:00~22:00(L.O)
月曜定休
生産者から直送の安全な食材を使った、旬の野菜料理を中心にしたメニューが楽しめる食堂「artdish」も併設
http://www.artdish.co.jp/g/
村上芳正|MURAKAMI Yoshimasa
1922年5月11日 長崎県長崎市に生まれる。少年時代より独学で絵筆を執り、フランス映画を観るのを楽しみとした。戦時中は台湾まで出征、終戦後、帰郷したが、長崎は原爆を投下され壊滅的な打撃を受けていた。孤独な少年時代と戦中の過酷な体験が、虚無のなかに美を視る眼を養うことになる。戦後、役者を目指して上京。かたわら二科展に連続入選を果たし、三島由紀夫の知遇を得て文学座公演のポスターを手がける。このことがきっかけで、吉行淳之介、倉橋由美子、三島由紀夫、沼 正三、澁澤龍彦、曾野綾子、渡辺淳一、瀬戸内晴美(寂聴)、赤江 瀑、連城三紀彦、皆川博子らの作品集、『ジャン・ジュネ全集』『バタイユ全集』など、多くの装幀作品で一世を風靡した。
一時期「村上 昂」の筆名を使用。映画ポスター、レコードジャケット作品なども多数。2010年11月 ギャラリーオキュルスにて初の個展「村上芳正の世界展」、2011年4月 市立小樽文学館にて「文学に捧げる花束─村上芳正展」を開催。