戸田恵子|愛すべき悪女ミレディー
戸田恵子|人形劇 『新・三銃士』
愛すべき悪女ミレディー
人形劇『新・三銃士』の放送が終わりました。
私は今回ミレディーという悪女の声を担当させていただきました。悪女といっても憎めない存在。おかげさまでたくさんの皆さまにご支持をいただきました。あのスレンダーなプロポーション、赤毛、流し目、目もとのホクロ、赤いマニキュア、どれもじつに格好よかった。私自身も毎回展開が楽しみで楽しみでなりませんでした。
まとめ=K-co Toda
人形劇の放送がある日本は健全だとおもうんです
ミレディーの悪女ぶりは“シレッと潔く!”をモットーに演じました。ときに甘えたり、力づくだったりとあらゆる手管を使っている。台本をいただいてミレディーの台詞を見るたび、私は大胆に振り切った芝居を心がけました。台詞を入れる段階では人形の動きはありません。ですから人形がどう動くのかな? どれくらいの空間にいるのかな? 相手とはどれくらいの距離なのかな? など、想像、想定することがたくさんあるのです。こういったことも人形劇の難しさ。そして楽しさでもあるのです。私からするとこれが人形劇の醍醐味だと思いました。そういった綿密な時間を経て、人形の動きがついたオンエアを見ることは、また、さらに楽しみとなりました。
日ごろ、外国映画やアニメーションでは動く映像に声を入れる仕事をしている私にとっては、先に吹き込んだ声に人形が動いてくださるという逆のパターンなんですね。とても新鮮でしたし、オンエアを見ているうちにミレディーの動きも想像できるようになりました。なにか一心同体のような?(笑)
なんといっても『新・三銃士』の物語の展開や台詞は子どもだけではなく、おとなも楽しめるところが素敵だったと思います。子どもに媚びない脚本。三谷幸喜さんはやっぱり素晴らしい。天才だ!
かつて私の子ども時代には人形劇というものが当たり前のように放送されていました。
人形劇の放送がある日本は健全だとおもうんです。これからもあるべきなんです。オンエアでは人形を操る演者の皆さんからの熱も感じられます。流れる動きのアニメーションに比べたら人形劇には制約がありますが、その分私たちの想像力が養われると思うんですよね。
そしてたくさんのキャラクターが出てきた『新・三銃士』。じつはほとんど7人で演じてきました。つまりひとりで何役も演じるわけです。これも声のお仕事ならではのこと。私自身もケティというミレディーの分身的存在の黒猫を演じましたが、とくに三銃士のお三方(山寺宏一さん、江原正士さん、高木渉さん)の活躍は素晴らしかった。プロの仕事を見せてくれました。声のお仕事では新人の(池松壮亮さん、貫地谷しほりさん、瀬戸カトリーヌさん)もキャラクターが物語で成長していくのと同様に、見事な成長ぶりでした。
7人はまるで小さな劇団のようでしたね。ホントに楽しかったです。また、こんなお仕事に出合いたいです。アデュー!!