戸田恵子|より深く、より高みを目指して!
Lounge
2015年3月13日

戸田恵子|より深く、より高みを目指して!

『なにわバタフライN.V』 稽古奮闘記

より深く、より高みを目指して!

A4サイズ45枚。
それは2010年元旦に音もなく届きました。昨年から待ちわびていたその台本の表紙には『なにわバタフライN.V』と書かれていました。なるほど~、N.V=ニューバージョンか~。

まとめ=K-co Toda


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N.Vのシンプルさに現在はもがき苦しんでいる真最中であります

A4サイズの用紙にぎっちり45枚。ニューバージョンのできあがりは早かったのか。遅かったのか。台詞量は増えているのか。減っているのか。

はっきり言って分からない状態でした。ブラッシュアップされたという『N.V』の台本は、やはりどこから見ても膨大な台詞。ペラペラとめくってお正月の間は正直手つかず……。待ちわびたはずなのに、目の前にした途端! ひるんだ形となりました。
大みそかから1月4日までの5日間は連続でジム通い。身体を動かさずにはいられなかった。なにかじっとしていると、精神的なプレッシャーに押しつぶされそうだったからだと思います。

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1月5日、まだ製本されていない状態のコピー台本で稽古初日。スタッフが紹介され、一度だけ本読みをする。作・演出の三谷幸喜さんからは「より深く、より高みを目指して!」とのお言葉をいただいた。

「ブラッシュアップしますから」とのお話は以前から聞いていましたが、『N.V』と記されていたのには驚きでした。たしかにニューバージョンは導入部分も終わり方も違っていたし、プロットは変わらないがあちこち細かく変わっていました。もしかしたら自分としては初演とすべて同じことをもう一度やった方が楽だったかもしれない。がしかし、今回はまさに深みと高みを目指しこのN.Vに挑むことになりました。N.Vのシンプルさに現在はもがき苦しんでいる真最中であります。

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全体を関西弁で通すのは変わらない。今回も生瀬勝久先生登場だ。
再演だからといってみなさんは“一度初演をやっているから台詞は覚えているんじゃないか”と思われるかもですが、2004~2005の作品。もうかれこれ5年は経つわけで、その間にもたくさんの舞台をやり、ほかの台詞もいっぱい頭の中をスルーしていきました。とくに昨年は5本も(笑)。覚えているわけがありません! つくづく一回覚えた台詞はメモリースティックのような物に納められたらいいのに……と思います。でもってN.Vになったならチョチョイのチョイとパソコンで編集してね。がしかし現実は甘くない! ホントに孤独だ! 初演よりも孤独感にさいなまれています。誰も助けてくれない! 究極一人ぼっちだ! みたいな気持ちとひたすら闘いぬくことに。

もちろんスタッフさんは協力してくれるのですが、すべて自分で覚えて自分で動かなければ。ペース配分はすべて自分。セルフプロデュースなのだ!

今回は再演N.Vとは言え、まだまだ私にとっては挑戦である。
初演時にはみなさんから「頑張ったねー!」と言っていただきましたが、正直それはあまり言われたくなかったのです……。結果は「頑張ったねー!」の嵐でした(笑)。もちろん私自身は頑張ったのですが、楽々、楽しんでいるように観ていただけたら最高だ! と思ったのでした。そう観ていただくためにはやはり200%頑張らないといけないんですね。初演をやり終えてそれでわかりました。つまりまだまだ頑張りが足りないのです……。

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2月7日(日)17時~
間もなく初日。いざ出陣!!

そして稽古も大詰めを迎えているいま、三谷さんからの要求は日々ハードルが高い。細かく高い。高すぎる。つねに向かい合い演出家とふたりだけの稽古は、お題(ダメ出し)を出されて即! 答える。即興劇をやっていく感じにも似ています。
1mm単位で芝居が変わってゆく。その積み重ね。1秒単位で芝居が動いてゆく。そのすべてを自分の細胞に染み込ませていかなければならない。
そしてこれほどまでに自分を信じることに勇気を必要とすることもないだろう。不安で孤独で恐くてたまらない。
「なにわバタフライN.V」間もなく初日。いざ出陣!!

次回、初日が開いてからのコンテンツもお楽しみに。

戸田恵子

           
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