Chapter 5 Interview 秋山豊寛|New BMW GRAN TURISMO@BMW Studio ONE
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2015年4月9日

Chapter 5 Interview 秋山豊寛|New BMW GRAN TURISMO@BMW Studio ONE

Chapter 5 Talks About Sustainability|Interview with AKIYAMA Toyohiro

秋山豊寛|サステイナブルとは、「明日も元気だ」ということ

文=三宅和歌子写真=MIHO

宇宙から農のある暮らしへ

1990年。TBS在籍中に日本人初の宇宙飛行士として、ソ連の宇宙船ソユーズ、宇宙ステーション・ミールに搭乗し、宇宙からの中継をした秋山豊寛さん。1996年からは福島県で、有機農業を営んでいる。その経緯は、自身の著者『鍬と宇宙船』(ランダムハウス講談社)、『宇宙と大地—農のある暮らしへ』(岩波書店)などにも詳しい。

その生活はまさにサステイナブル。サステイナビリティを意識しているからこそ、現在の生活を始めた、と秋山さんは言う。

食料とエネルギー

「vulnerability(バルネラビリティ)という言葉があります。これは脆弱性という意味を持ちます。人間社会のバルネラビリティは、食料とエネルギー。僕の生活はこの二つを満たしています。一人でできる面積の田畑を持ち、米や野菜を育て、裏山では椎茸栽培をすると共に、薪になりやすい木を植えています。サステイナブルとは、つまるところ『明日も元気だ』ということなんです。そのためにはまず食料の確保が必然となってきます。」

野菜や米は自給のためだが、椎茸は販売もしている。完全に天日干している農家は、全国でも数少ない。今回の展示に出展されているカマやナタ、マサカリはその生活を支えてくれるものなのだ。

マサカリ、ナタ、カマ

椎茸の天日干し

人間という自然への配慮

また秋山さんは、今一番大きな問題は人間という自然に対する配慮が少なくなってきたことだとも指摘する。

「自然を守ろうとか、人間の外にあるものへの関心は増えてきました。でも自然としての人間は、ここ10年くらいないがしろにされてきています。人間というのは食べて、寝て、排泄をする。そして次世代を残すものなのです。それを大事にしないと社会全体が壊れてしまう。優しい人間を多く再生産することで、人間以外の自然に対しても優しくできるはずなんです。そこのところが急速に壊れてきている気がしますね。」

干し柿

愛読書

明日も元気に生きるために

秋山さんがサステイナビリティを最も強く感じるのは収穫の時だというが、それも自然としての人間のあり方に直結している。

「人類の歴史においては、誰しもが食べて、寝て、次の世代をつくるという営みをしてきた。名を成した人もそうでない人もいますが、その営みが歴史というものになったのです。そう考えると、僕らにとって食べることはとても大事なこと。だからモノの収穫があった時に『持続可能』だな、と思います。未来に対する見通しがつくことは、人間の心を支える基本なんです。明日どうしよう、という時はパニックになるし、自律神経が失調する。人間はちゃんと食べて寝て、生物としてのリズムを保たないとおかしくなる。そして、一人がおかしくなると周囲もおかしくなって、社会全体がおかしくなるのだと思います」

1972年にローマクラブが発表したレポート「成長の限界」から、世界は地球環境などにおけるサステイナブルを意識するようになってきた。しかし、人間本来の営みを振り返り、『明日も元気』に生きていくこと。それこそがサステイナビリティの基本なのだ。

問い合わせ先|BMWカスタマー・サポート 0120-55-3578 (年中無休 9:00-20:00)

           
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