Chapter 4 Interview 龍村仁|New BMW GRAN TURISMO@BMW Studio ONE
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2015年4月9日

Chapter 4 Interview 龍村仁|New BMW GRAN TURISMO@BMW Studio ONE

Chapter 4 Talks About Sustainability|Interview with TATSUMURA Jin

龍村仁|生かされているという感覚を取り戻すこと

文=富山英三郎写真=石野千尋

“センス・オブ・ワンダー”を研ぎ澄まして

無理せず省エネ人間になることが幸せの鍵

サステイナブルな生活をするには、私たちひとりひとりがいかに省エネ人間になれるかが鍵だと思っています。端的に言えば、少ないエネルギーで最大の力が発揮できる生活をすること。それは食べ物や空気だけでなく、趣味やライフスタイルすべてそう。でも、無理して何かをセーブするということではない。その生き方が楽しいと思えるような人間になることです。

大事になるのは、やはりこころの問題。何が大切で大切でないか、何が必要で必要でないかをアタマで理解しようとしても意味がない。自分とそれ以外、つまり大きな意味で自然界とつながっていることを体感することが必要です。観念ではなく、身体的、生理的な体感。都市型のライフスタイルではこれが閉じてしまいがちなんですね。

でもそれをネガティブにとらえる必要はなくて、東京でも十分そういった体感を得ることはできる。僕は都心でも自転車で移動するんですが、車道を走ることはみんなが思うほど危険なことではない。それは体感してみてはじめてわかったことで、それどころか走りつづけることでクルマの気配に敏感になってくる。体感することで五感が研ぎ澄まされ、第六感が冴えてくるんですね。

生かされているという感覚

僕が悲観的でない理由は、ひとりひとりが地球システムの一部であり、生かされていることは紛れもない事実だから。なぜなら、仕事に追われ、深刻な悩みを抱えている間もみんな酸素を吸って二酸化炭素を吐いている。息をすることは当然過ぎて意識しないと思いますが、じつはそれ自体もすごいことなんです。

地球上の大気のなかに酸素が21パーセントありますが、その数値はおよそ3億年前から安定して保たれている。でも、その数値は地球に偶然与えられた条件ではなくて、植物と動物、岩や水や土が一緒になって作ってきたもの。不思議なことに、酸素が25パーセントになったら酸素バーに行かず快適に過ごせるかというとそうではなくて、今度は森林が燃えても消せないという事態が起こる。逆に15パーセントになったら人類は呼吸困難に陥ってしまいます。なぜ21パーセントなのかはいまだに科学的に解明されていない。これを保ちつづけている仕組みは、決して人間のおかげではない。そう考えると、サステイナビリティとは循環が安定していることでもあるわけです。

一方で、便利さを求めるのも人間の特徴です。人間の都合で自然を変えるのはよくないという意見もありますが、人間だから変えるんです。ただ、そのときに自然の秩序をどう見るかが大事。自然に学び、自然界のやり方をうまくサポートすれば、日本古来の里山のように維持、共存できるんですよ。生かされていることと、生きていることのバランスを意識すること。これも人間にとって欠かせない、サステイナビリティに必要なものだと思います。

自然を美しいと感じる、“感動”がキーワード

何度も繰り返しますが、現代社会ではみんな生かされていることを忘れているだけ。つまり、思い出せる回路をいかに作るかが大切なんです。自然が美しいと感じること自体、我われが自然界の一部である証拠。それを体感するには、太陽が上がってくるだけで幸せだと感じたり、花を見てキレイだと感じるなど、“感動”がキーワードになると思います。じつは難しいことではないんですよ。

生かされている体感を取り戻せば、買うことや食べることなどなど、生活での選び方が変わる。でも、サステイナブルな生き方と幸せは、二律背反しそうなことですが本来はおなじこと。また、ビル群など人工的で便利なものも人間的特徴から生まれているもので、人間本来の営みなわけです。大事なのはバランスをとることなんです。

自転車生活にかかせないアイテム

『地球(ガイア)のささやき』

『地球交響曲 (GAIA SYMPHONY)』

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