息苦しいのに笑える、空気が流れない閉め切った稽古場

岸野組の旗揚げは1990年。もう旗揚げメンバーも数少なくなりましたが（座長ほか、役者は4人、座付き作家ひとり）、稽古場のムードは全然変わらない。タイムスリップしたかのようでした。

旗揚げ当初は音楽面でよくお手伝いさせていただきました。岸野組は時代劇でありながら歌ったり踊ったりのスタイル。私は楽曲の作詞を担当。我ながらかなりの名作も残せたと思っています。とくに「時代」シリーズの歌は自分のコンサートでも歌ったこともありますし、なにより劇中で歌のお上手な客演の方たちが歌っている姿を見て、ひとり悦に入っておりました。思いがけず作詞という仕事に向き合ったこのころの私がいまの私に繋がってきたと思います。

岸野組の稽古場は埼玉県戸田市にありまして……、そうです、昔から言ってましたが、戸田で稽古でこれがホントの“戸田稽古”であります（笑）。今回もよく通いました。

小さな稽古場は座長が喫煙者なのでタバコは暗黙のうちに許されていて、スタッフさんや客演者のみなさんお吸いになります。煙草の臭いのする稽古場なんて最近では珍しい。つーか無いですよ。ホントに昔ながらの稽古場の臭いがしました。そして皆の汗。空気が流れない閉め切った稽古場にたくさんのひとが動き回り、ひさびさに笑えるほど息苦しかったです。不思議なことに息苦しいのに笑えるんです……（笑）。なんなんでしょうねあれ。「劇団」という集団が醸し出すテーゼみたいなものを感じているのでしょうかね。まったく不思議です……。

お芝居は、原作 ロベール・トマ「罠」より「か・ら・く・り」と題したお江戸版。長屋のサスペンスすったもんだ劇。上演時間は1時間半だし、座長のポリシー？ または体力？ のおかげで1日1回公演のみ。ばんざーい!!　私の身体がよろこんでいます。私にとっても舞台での時代劇はとても久しぶり。「恐れを知らぬ川上音二郎一座」は和洋折衷でしたからね。

いつも思うのですけど着物って似合わない日本人はいないでしょ？ 日本人向けにできている。やっぱりいいですね。帯を締めると気持ちがリンとする。ところが最近の若者は足が長すぎて？ 少々？？？ だったりを感じている。突っ立っているとかかしみたいになるわけです……。

さあそういうときに時代劇の「所作」が重要になるわけです。男性が女形を演じるように、少し身体を小さく見せる技術。手を伸ばしすぎないとか、膝を年中曲げているとか。日舞をやっていたり、着物をたくさん着るひとはわかりますよね？ 自然とそうなるんだけど。慣れないと難しいんですよね、これが。

私？ 私は立派な日本人体型だからもうぴったり！ 着物を着るために生れてきました～!!

岸野組のみなさん、たくさんの愛をありがとう！ お疲れさまでした！ 座長・岸野さんをこれからも労ってあげて下さいましね。

大人も楽しめる人形活劇「新・三銃士」は、健全で、豊かな感じがします

はじまりました！「新・三銃士」（NHK教育 毎週金曜日 18:00～18:20）観ていただいていますか？

これはもう子どもだけのものではありません。大人も楽しめる人形活劇です。目下私は毎夜、帰宅してビデオで見るのが楽しみでなりません。脚色の三谷幸喜さんのお話はもちろん楽しいし、なにしろ人形がカッコイイ!!　装置も素晴らしいですしね。なんか人形劇がテレビで放送されるのっていいですね。健全というか、豊かな感じがするんです。

かくいう私の役は、顔が私に似ている？ と評判の謎の女・ミレディーを演じています。赤毛の悪女であります。
ひとりでたくさんの役を演じるのも楽しいですよ。ミレディー以外になにを演じているかはみなさん自身で探してください（笑）。ほかの声優さんも本役以外にたくさんやっています。

声優陣はレギュラー7人で、小さな劇団みたいになって和気あいあいでやっています。人形の動きを感じたり、考えたりしながらイメージをいっぱい膨らませて頑張っています。

『One for all, all for one』（ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために）──いい言葉だね。

そして「ブラタモリ」（NHK総合 毎週木曜日 22:00～22:43）というタモリさんが東京の街を探索する番組のナレーションもはじまりました。こちらもまた楽しい！ 昔の街の面影をたどり、CGでお江戸を彷彿とさせる。なんとも大人のバラエティのりであります。こんな番組待ってました。大好きです。

この秋からは是非「新・三銃士」と「ブラタモリ」ご覧ください。

戸田恵子　番組情報
NHK連続人形活劇「新・三銃士」
教育テレビ 毎週金曜日 18:00～18:20

「ブラタモリ」
NHK総合 毎週木曜　22:00～22:43
ナレーションにて出演