始めてます、新しいチャレンジいろいろ＋α（1） 戸田恵子
始めてます、新しいチャレンジいろいろ＋α（1）
あるときは映像作品＆舞台女優、あるときは声優、またまたあるときはシンガー……。 多彩な分野で活躍中の戸田恵子さんですが、その「七色の顔」はまだまだ増殖中です。
広がる活躍の場を軽やかに走り続ける、戸田さんの日々の進化をご報告します。
まとめ＝尾上そら
釣りで発見した自分の意外な「一面」
この連載にもつけている「Happy？ Half Century」。人生のなかばを迎えて、というとなんだか大げさですが、自分のなかで少しずつタブーがなくなっていく感覚が私にはあるんです。去年秋のアニヴァーサリー・ライヴ『ACTRESS』は、その決意表明のようなもの。歌手としての活動を再開したことをはじめ、「せっかくチャンスをいただけるなら、チャレンジしないともったいない！」という、前向き＋欲張りな気持ちのままに、これまでは「私にはあわないのでは……」と、ちょっと引いてしまいがちだったことに、自分から飛び込んで行こうというモードになっているのです。
ちょっとさかのぼりますが、6月末にフジテレビ系でオンエアされた『ニッポンを釣りたい！』への出演もそのひとつ。これ、タイトル通り釣り番組です。これまでトーク・バラエティへは出演していましたが、旅番組出演やレポーターの経験は少ない私。それが、年頭に特番で山本耕史さんとインドへ旅したことに続き、アウトドア・スポーツの番組からオファーをいただくとは、と不思議に思いつつもしっかりノらせていただくことにしました！
今回のパートナーは「女優友達」から好きな方を誘っていいというお話だったので、一緒にいて明るく楽しく、アウトドア好きの方……と考えた末に、瀬戸カトリーヌさんに白羽の矢を。運よくスケジュールも空いているということで、女二人の釣行旅に出発しました。しかも行き先は、はじめての西表島です。
私は旅もアウトドアも、きらいなほうではありません。でも、日常では「仕事系やりたいこと」がありすぎて、遊びの優先順位がつい低くなってしまうんです。考えてみれば、こういう番組は、お仕事とはいえはじめての土地へ行き、新しい出会いや、はじめての体験をさせていただく絶好の機会。しかもスケジュールや交通の心配など、一切しなくていいんですから、これからはもっと積極的に参加させていただかなくちゃ、なんて（笑）。
西表島の自然は本当にスケールが大きく、両岸にマングローブ林がつづくシンと静かな川を船で行くと、トムソーヤにでもなったような気分に。見上げた空にはカンムリワシが飛び、眼前には圧倒的な大きさの海。もはや神秘的、と呼びたくなる空気が島全体を包み込んでいるようでした。
ルアー釣りだったのですが、女性用の軽めのもので挑戦したらイメージどおり、すごく遠くまで長く投げられて、その感触がまた気持ち良いんです。もちろん、きっちり魚も釣りましたよ。マングローブジャックというタイの一種だそうで、南の海の魚らしく見慣れない姿でしたが味はちゃんとタイなのです。カトちゃんはアジの一種を釣ったのですが、はっきりいって3匹釣った私のほうが釣果は上でした（笑）。
「釣りは短気な人には向かない」と聞いていたので、私にはムリかなと思っていたけれど、やってみるといくらでも粘れそうで、自分の意外な一面を発見しました。
自分の人生を「自分の言葉」で語る
もうひとつ、これはちょっと思い切ってはじめたんですが、ことしから講演会をお受けしているんです。随分前からお話はいただいていたのですが、私のなかで講演会というものは作家や学者のような偉い方がなさるもの、というイメージがあって。でも最初にお話したような気持ちの変化、その裏には母や大切な友人を亡くしたことなどもあるのですが、私なりに一生懸命生きてきたことを、自分の言葉でお話して、聞いてくださる方が笑ったり元気になってくださるなら、そういうこともありかも知れないと思えるようになったんです。
もちろん、むずかしいことが喋れるわけではありませんから、お話するのは私の経験のみ。初めての講演会は「女優百貨店」というタイトルにしました。
おかげさまで私は、舞台女優、歌手、声優、ドラマに映画、最近では洋服のデザインまでと本当にいろいろなお仕事をさせていただいています。それらのお仕事をフロアに見立て、最初は一階だけだったフロアが徐々に増えていきました、という話の流れにしたんです。
じつは最初、ワンフロアの老舗専門店のように「映画俳優です」と言い切れるような仕事のスタイルに憧れていて、いろいろな仕事をしている自分にどこか引け目を感じていたんです。でも振り返ってみると、どれもやりたいお仕事でしたし、「ひとつを選べ」と迫られることもなかった。
そしてあるときから、この「いろいろ」が私のスタイルなんだと思えるようになったんです。だったら百貨店形式にして、各フロアを充実させればいい、そのフロアごとに専門店と勝負できるぐらいのクオリティを保てるよう、どのお仕事でも120％頑張ればいいんだ、と。
そんな構成でお話をさせていただいています。一回はだいたい90分。最初の20分ぐらいは「長いなぁ」と思うこともあるのですが、それを越えるとスルスル流れ出し、つい先日の会では時間オーバーしてしまいました（笑）。舞台と一緒で、お客さまのナマの反応がありますから、それによってペースも変わるんですよね。
お客さまの層によってもふくらむ部分が変わります。先日は保育士や保育園の園長をされている方々の集まりにお招きいただいて、そこでは私が『アンパンマン』で学んだことなどを大きな柱として話しました。
話すうちに、子どものころのことや両親との関係、自分の転機や困難をどう乗り越えたかなど、急に思い出すことも多くて。思わぬかたちで自分を振り返り・見つめ直す「原点回帰の時間」をいただいています。むかしの私はちょっと完璧主義で、なんでもカチカチできないと自分が許せなかった。それが最近ようやく、結果がダメでも望んでくださる方がいるなら、そのご要望に応えてみようという、柔らかな気持ちが少しもてるようになっているのかも知れない。講演のために向き合った自分はいま、そんな状態にあるような気がします。年齢や経験がもたらす変化って、素敵ですよね。
New Single発売のお知らせ
10月4日（土）・5日（日）のライヴに続き、いよいよ10月15日（水）、ビクターエンタテインメントより新しいシングルCDが発売になります！
『泣き唄』（作詞：秋元 康／作曲：杉山勝彦）と『Again～and Again～』（作詞：K-co／作曲：植木 豪）のカップリングで1200円（税込）。
ぜひ、チェックしてくださいね！
