安楽寺えみ 写真展『Snail Diary』対談(その1)
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2015年4月17日

安楽寺えみ 写真展『Snail Diary』対談(その1)

第27回 安楽寺えみ 写真展『Snail Diary』対談(その1)

現在ラットホールギャラリーでは、3月30日(日)まで、安楽寺えみさんの写真展『Snail Diary』を開催しています。安楽寺さんは武蔵野美術大学で油絵を学び、約10年間の闘病生活を送った後、93年より銅版画を始め、98年ごろより本格的な写真制作をはじめます。
その作品は、人間のもつ根源的な生への欲望が、さまざまなメタファーに置き換えられて存在し、夢のような不思議な世界観を構築しています。今回は、そんな安楽寺さんと、この写真展のオープニングに際しておこなった対談の模様をお伝えしていきます。意外な告白も飛び出し、少々照れてしまいましたが……。

北村信彦/HYSTERIC GLAMOURPhoto by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)

じつは『犬の記憶・終章』(文庫版)のあとがきに惚れ込んでたんです

安楽寺 ノブ社長(北村さん)にまず、ひとつお話ししたいことがあるので、それを話していいですか。

北村 え、なんですか?

安楽寺 私、本を読むときに「あとがき」というのをすごく重視するんです。そして、作者がどういう人にあとがきを依頼しているかってことにも興味があるんです。で、じつは森山大道さんの『犬の記憶・終章』(文庫版)を読んだとき、そこに書かれたノブ社長のあとがきに、とても感動したんです。こんな素晴らしいあとがきはないと思いましたね。

北村 ホントですか?

安楽寺 いや、嘘じゃないんです、本当にあのあとがきに惚れ込んじゃったんです。それで、そのときから私は会ったこともないし、雲の上の存在であるノブさんを“心の社長”とよんでいたんですよ。最初にお声をかけてくれた綿谷修さんには「社長ってよばない方がいいよ」と言われたんですけど、私はどうしても『社長』ってよびたいんですよね。心の社長だから。

北村 いいですよ(笑)。

安楽寺 あの本って、もう10年近く前でしたっけ?

北村 けっこう前ですね。あのときは、電話で森山さんから原稿を依頼されて、内心こまったなと思いましたが、断れないでしょ。しかも、その前に出た文庫版『犬の記憶』のあとがきは横尾忠則さんってことで、すごく責任を感じたのを覚えています。で、受けたら受けたで今度は、なにを書いたらいいんだろうって、ずーっと悩んで悩んで、結局、最後の最後に出張先の香港で書いたんですよね。

安楽寺 その気もちが文章にあらわれてましたよ。ノブ社長の人柄とともに、そんな心の戸惑いさえもそこにうまく表現されていて、なんだかラブレターを読むような感じでした。この気持ちは、面識ができたときから、ずっと伝えたかったんですが、こういうのって照れちゃってなかなか言えないじゃないですか。で、きょうこういう対談があると聞いたので、思い切って告白してみました。

北村 はじめて聞きましたよ(照笑)。きょう、そんな意外な話を聞けるとは思いませんでしたね。

安楽寺 きょうはもう、それが言えただけで満足です。

最初から、同時にアイテムを出したいと思ってました

北村 でも、考えてみると、今回の写真展に関しても意外な話から始まりましたね。最初にお会いしたとき、まずは写真の話になるのかな、と思っていたら、いきなり「アイテムをつくりたい」って言われちゃいましたからね。それも真顔で。

安楽寺 そうですね。お話をいただいたときから、アイテムをつくりたいって思ったんです。それも、出すならできるだけファッションからかけ離れたものにしたいと思いました。じつは写真のなかに出てくるオブジェやファブリック、そしてスティックなんかも全部自分の手づくりなんですよ。だから、物体をつくりたいという願望はもともとあるんです。

北村 今回のアイテムに関しては、はじめからアイデアが具体的で、おもしろいなと思いましたね。でも、ホントに最初は作品(写真)の話は全然なしで、ずっとアイテムの話でしたね。そういう意味では、いままでここでやっていただいたどの写真家の人ともちがうし、壁にかけてあるのは写真なんだけど、じつはそこに行くまでのプロセスが最終的に写真になってるんじゃないかと感じましたね。

information
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第28回 安楽寺えみ 写真展『Snail Diary』対談(その2)

安楽寺えみ写真展『Snail Diary』

日程|3月30日(日)まで開催中
時間|12:00 - 20:00(月曜定休)
場所|RAT HOLE GALLERY
東京都港区南青山5-5-3

HYSTERIC GLAMOUR 青山店B1F
でんわ|03-6419-3581

           
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