第28回 M.Y.LABELのショップについて(後編)
Lounge
2015年5月11日

第28回 M.Y.LABELのショップについて(後編)

第28回
M.Y.LABELのショップについて(後編)

僕の大好きな空間

前回につづいて、僕の友人のWonderwall・片山正通氏のデザインによる『M.Y.LABEL』ショップについてお話します。『ロレンツィ』のような大きなドロワーを備え、好きなモノを選ぶときのあのワクワク感を味わえる、そんな店にしようと心に決めて……

語り=吉田眞紀まとめ=戸川ふゆきPhoto by Jamandfix

計算され尽くした絶妙なバランス

僕のデザインは、金属・石・黒など、硬質かつシャープで冷ややかなイメージのものが多いので、ショップはあえて『やわらかい雰囲気で、黒い色は使わない』という希望を出しました。
テイストの好き嫌いについては、木の温かさは好き。それも重厚ではなく軽やかな感じのするモノ。また、いかにも新品な感じは避けたい。などのリクエストを、雑談を交えながら何時間も語り合いました。

最初のプレゼンテーションを、僕が心待ちにしていたのは言うまでもありません。一回目の打ち合わせでどこまで理想にちかづけるか、お手並み拝見! というところでした。そのときはまだ、いろいろとやりとりを重ねて、彼と一緒にショップをつくりあげていくイメージを抱いていましたからね。

ところがです。プレゼンテーションされたデザインは、誠に残念ながら(!)文句のつけようがなく、僕の趣味指向が片山正通というフィルターを通して、フォルムからサイズ、細部のパーツに至るまで、パーフェクトに具現化されていたんです。話していたのは断片的なイメージばかりなのに、彼は僕が意図することにたいし非常に『敏感』で、またその答を『正確』に出してきました。感心するやら悔しいやら。このときばかりは驚きと感動で「参りました」と、素直に彼に言いましたよ(笑)。結果として変えたのは、椅子の張り地をグレーのファブリックにしたことくらいでした。

僕の欲しいものだけが詰まっているショップ

ディテールについて触れると、床は新品の床材ですが、あえてグラインダーをかけて古材の風合いを出しました。作りたて感のしない、温もりのある木の床です。また小さな窓が並んだようなショウウインドウ、壁面いっぱいの大きな鏡、カウンターの前面は黒ではなくダークグレー、そして全体的にシンメトリーなデザインと、見事に僕の好みが反映されています。

実際、ショップの大きなテーブルと椅子(ハーマンミラー社製の『アルミナムグループチェア』 第21回「住にまつわる話 チェア編」参照)に座って仕事をすることもあり、じつに落ち着く空間です。通りから短いアプローチがあるので静かですし、ときには一杯やりながら外を通る人を眺めたりもします。
ただ、外から見ると何のお店だか分かりにくいようで、ショールーム? とかチョコレート屋さん? と、まちがって入ってくる人もなかにはいますが(笑)。
機会がありましたら、僕の大好きな空間『M.Y.LABEL』ショップにもぜひお立ち寄りください。大きなドロワーに、ワクワクするようなプロダクトをご用意して、お待ちしています。

M.Y.LABEL 直営店
住所│東京都渋谷区恵比寿南1-17-6 1F
でんわ│03-5794-0925
営業時間│11:30 - 20:00
定休日│日曜・月曜
公式サイト│http://www.mylabeltokyo.com/
http://www.myplustokyo.com

           
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