第3回 安心感のあるデザイン
Lounge
2015年5月11日

第3回 安心感のあるデザイン

第3回 安心感のあるデザイン

好きなデザインには「安心感」がある

三角形より四角形、五角形より六角形と、僕は偶数からなる図形が好きです。雪の結晶も六角形ですね。なぜ好きかと言われるとこれも感覚的なものなので答えようがないのですが、強いて言うならば僕にとって「安心感がある」からでしょうか。そしてこの安心感という要素はプロダクトデザインにおいても大切なもののように感じます。
写真は僕のブランド『M.Y.LABEL』のペンダントです。自分のプロダクトを自分で紹介するというのも小恥ずかしいのですが、スタッフから「好き放題書いてないで宣伝もしてください」とそろそろ突き上げられかねないので、ちゃっかり宣伝させていただきますね。

シルバーアクセサリーには宗教的な意味合いでクロスデザインを扱うものが多いですが、僕は単純に図形として好きなので、これをよく使います。なぜ好きかと言われれば例の如く「安心感がある」からなのでしょう。じゃあどうして安心感があるんだよと突っ込まれると困ってしまいますが、無理にこじつければ、プラスドライバーは線に線を一本足しただけなのに、回す力が飛躍的に増しますよね。つまり、見ていて安心感があるのも、形そのものに何かしら意義のある「完成された図形」だからなのかもしれませんね。

心地よいカタチは「ムリのないカタチ」

安心感はすなわち、心地よさと言い換えることができるでしょう。するとジュエリーは肌に直接身に着けるものですから、自然、着け心地には気を遣わねばならないということになります。たとえば、エッジの処理。もし「直線的でシャープなリングをつくりたい」と思ったとしても、エッジを尖らせてしまえば肌を切ってしまう危険もありますし、何より見ていて不安。心地よいカタチを実現させるためには、エッジに適度なアールを設けなくてはなりません。同様に、天然木の温もりを活かしたいのだけど強度が心配、というようなことがあれば、パーツの一部をメタルに切り返すといった対策が必要になるでしょう。「制約」の話の続きにもなりますが、このように心地よく使うにはどうすればいいかを考え、どんな素材を用いるのかという要素が決まれば、プロダクトデザインの方向性はほぼ決定しているといっても過言ではありません。そこからいかに「ムリのないカタチ」を引き出すかが、デザイナーの仕事なのだと僕は思っています。そして完成したプロダクトには、どこかその人の痕跡が漂う、というのが理想でしょうか?

           
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