第27回 M.Y.LABELのショップについて(前編)
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2015年5月11日

第27回 M.Y.LABELのショップについて(前編)

第27回
M.Y.LABELのショップについて(前編)

どうしても欲しかったのは、大きなドロワー

対談などもふくめると、この連載も25回をこえますが、2006年4月にオープンしたショップについては、まだきちんと紹介していませんでした。じつはこの連載に登場するプロダクトたちも、ショップのなかや外まわりで撮影しています。
というわけで、今回は世界を股にかけて活躍中の、僕の友人・Wonderwall片山正通氏デザインの『M.Y.LABEL』ショップについてお話ししようと思います。

語り=吉田眞紀まとめ=戸川ふゆきPhoto by Jamandfix

最初から何か通じるものがあった

僕が彼、片山正通氏を知ったのは、いまから4~5年前。雑誌でインタビューの記事を読み、「コイツは面白い!」と強烈なインパクトを受け、その後すぐ知人を介しての会談が実現しました。初対面にも関わらず、僕たちがおたがいのことを理解するのに要した時間はほんの数分。話は弾み、将来僕が自分のショップをもつことになったら、ぜひデザインをお願いしたいと、勢い余って発注してしまったんです。われながら大胆な発言でしたが、いまとなっては正しい選択でしたね。そして思ったよりも早く、そのときはやってきました。

大きなドロワーが、ショップのシンボル

デザイン面で具体的に依頼したのは、ショップのシンボルともいえる大きなドロワー(引き出し)のみ。これはイタリア・ミラノの、僕の愛してやまない店『G.Lorenzi(ロレンツィ)』のドロワーが大好きだからなんです。

『ロレンツィ』はモンテナポレオーネにある老舗の刃物店。日常使いのハサミから、チーズスライサー、シガーカッター、鼻毛切りに至るまで、『Blade=刃』が付いたモノならすべてが揃うといっても過言ではない、見事なラインナップを誇ります。一階は図書館のような二重構造のガラスケースに、ところ狭しとばかりに商品がビッシリ。またあまり知られてはいないようですが、歴史を感じさせる地下フロアにはオーダーサロンがあり、大きなドロワー付きのカウンターが鎮座しています。しかしその部屋こそが、僕にとってはお宝の山なのです。

店主がドロワーを一段引き抜きカウンターに置くと、そのなかには職人の手仕事が施された貴重な品がずらり。それだけでも、モノが好きな僕にとっては垂涎ものです。さらに細部への注文をつけると、店主はまたつぎの大きなドロワーをカウンターに出し、さりげない会話を交わしながら(ときにはプロフェッショナルな知識も披露しながら)、こちらの希望をたくみに探り当てるのです。
この、ドロワーが一段ずつ登場するところが、なかなかニクい演出で、つぎは一体何が出てくるんだろう? と、僕はワクワクドキドキ。すっかりこの戦法にハマってしまいました。

そんなわけで、いつか自分のショップをもつなら、『ロレンツィ』のような大きなドロワーを備え、好きなモノを選ぶときのあのワクワク感を味わえる、そんな店にしようと心に決めました。

M.Y.LABEL 直営店
住所│東京都渋谷区恵比寿南1-17-6 1F
でんわ│03-5794-0925
営業時間│11:30 - 20:00
定休日│日曜・月曜
公式サイト│http://www.mylabeltokyo.com/
http://www.myplustokyo.com

           
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