Chapter15:アフリカへ行こう|準備編
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2015年5月1日

Chapter15:アフリカへ行こう|準備編

Chapter15:アフリカへ行こう|準備編

これまでいろいろと、アフリカのことを書いてきた。それでちょっと、アフリカに興味をもってくれて行ってみたいと思ってくれた人のために、個人でアフリカへ行くための基礎知識と楽しみかた、注意事項などをシリーズで書いてみようと思う。
ただし、アフリカ大陸は53ヵ国もあって、そのなかにも数多くの民族がいて、その土地、土地で言語も文化も違っていたりするので、あくまでも“参考までに”ということで。

VISAについて

アフリカの多くの国は入国するのにVISAが必要になる。隣国で取ることもできるが、日本大使館からのレターが必要だったり、目的国の友人からのレターが必要だったり、結構面倒くさいことがあるので、できるだけ在日大使館がある国は日本でVISAを取って行ったほうがよい。VISAの値段は国によって違うが結構高い。また、発行されるまでに1週間ぐらいかかる国もあるので早めに申請しよう。

国によって申請書類は違うのだが、プロフィールや目的国の宿泊地、航空券の提示を求められる場合もある。基本的に申請書はすべて英語で記入。公用語でフランス語やスペイン語を使っている国では、通常英語圏で用いられる単語ではない英語が出てくる場合があるので辞書は持っていたほうがいいかも。またアフリカの多くの国のVISAはパスポートの1ページを丸々使ってしまうので、何ヵ国かを周遊しようという人は、パスポートにどれだけページが残っているかも要確認!!
VISAは、空港や国境で取れる場合もあるが、たまに“いちゃもん”をつけて賄賂を要求されたりすることもあるので注意すること。

在日の大使館には日本人のスタッフがいるので、わらないことがあったらその人に聞いてみるといろいろ教えてくれる。
ちなみに私が行ったことのある国のなかではモロッコ、セネガル、南アフリカはVISAなし。マラウイ、ウガンダは空港で取得。ケニア、マリ、コートジボアール、ナイジェリア、エチオピア、エリトリア、モザンビークは日本でVISAを取得。

VISA

黄熱病のイエローカード

黄熱病の注射

黄熱病の注射は10年間有効なので打っておいたほうがよい。
すべてではないが多くの国でイエローカード(黄熱病ワクチン接種証明書)の提示を求められる。予約が必要で接種後10日目から有効になる。時期によってはかなり予約が混み合っているので、早めに予約を入れて接種したほうがよい。
検疫所の情報はhttp://www.forth.go.jp/tourist/vaccine.html

飛行機

日本から西アフリカに行くには、ヨーロッパ経由が楽。ヨーロッパの都市で一泊することになるが、そこからは5時間~6時間でアフリカに行けるので、とにかく身体が楽。アフリカに行くときは、できる限り身体を労わらないと!!
ちなみに私は、ヨーロッパまでの航空券を日本で取って、そこから先をヨーロッパの格安チケット店で購入する。ヨーロッパから西アフリカに行く場合、行き先にもよるが、元フランス領だったところに行くにはエール・フランスを。イギリス領だったところには、KLMまたはブリティッシュ・エアウェイズ(BA)のどれかを使う。オフ・シーズンだとかなり安い。HISなど日本語で対応してくれるところもあるので、そういうところを利用するとよい。チケットは渡航までに時間があればプラスアルファを支払えば日本まで送ってくれる。

マラウイに行くときは、ダントツでシンガポール・エアラインと南アフリカ・エアラインの組み合わせがよい。座席の前が広くてサービスもよい。乗り継ぎの時間も短い。キャセイ・パシフィックも悪くはないが、中国のツアー客が多く、チョットうるさい。
最近はエミレーツもドバイ経由でアフリカ諸国に飛んでいる。ただし、日本から行く場合、出発が関西空港発だし、ドバイからアフリカ諸国への乗り継ぎの時間が長く、空港内のホテルがバカ高いので私はあまり使わない。サービスは悪くないけど……。アエロ・フロートは、チケットは安いが、乗り継ぎが悪い。
それと、どの航空会社にもマイレージがあるので これは必ず貯めよう。アフリカまで行くとアッという間に貯まる。私はこれで何度もエコノミー・クラスからビジネス・クラスにアップグレードしたり、無料航空券をゲットしたりしている。

飛行機に乗るときの荷物

とにかく大事なものは、手荷物で持って入ること。基本は“命に関わるものは、離さずに!!”貴重品は当たり前だけど、持病がある人はその薬も手荷物で。先進国と違い、欲しいものが簡単に手に入るわけではないし、場所によっては国立病院であっても薬切れ……なんてこともある。

特に飛行機の乗り継ぎ時間が長い場合は、預けたトランクを壊されて中身を盗まれたり、時にはトランクごとなくなったりもするので、薬は、預け荷物には絶対に入れないこと。
以前、ダイヤル式の鍵付きトランクを使っていたとき、その鍵部分にドライバーか何かを差し込んで無理やり開け、中身だけを盗られたことがあった(アエロ・フロート)。外見はまったく壊れていないからホテルに着くまでまったくわからなかった。ホテルでトランクを開けようとしたらダイヤルを合わせても開かない。仕方ないからマイナスのドライバーを鍵のところに差し込んでテコの要領で無理やり開けた。お金になりそうなものはすべてなくなっていた。ちなみに薬は高く売れる。

南アフリカなどでは、預け荷物にラップを巻いてくれるサービス(有料)がある。
以下に私がアフリカ行きの飛行機に乗る際の荷物の仕分け及び持ち物の詳細を記載するので参考にしてほしい。
(African JAG 支援時)

■ウエストポーチ
航空券、現金、トラベラーズ・チェック、パスポート、クレジットカード、携帯電話、緊急連絡先や個人情報を書いた紙、電子辞書、持病の薬、マスク、リップクリーム、安定剤、眠剤、耳栓、アイマスク、ボールペン、ハンカチ、ティッシュなど

■機内持ち込み用リュック
トラベラーズ・チェック、現金、クレジットカード(上記とは会社の違うもの)、抗生物質、下痢止め、マラリア予防薬、風邪薬、解熱剤、胃薬、整腸剤、便秘薬、イソジンうがい薬、消毒液、バンドエイド、虫除けシート、海外旅行保険の証書、緊急連絡先を書いた紙、医者に書いてもらった持病の説明と治療法及び使用している薬の紙、Tシャツ&下着(1日分)

■機内持ち込み用キャリー (JAG/取材時)
現金、パスポートのコピー、ビデオ・カメラ、デジカメ(一眼レフ1台/コンパクト1台)コンピューター、HDD、メモリーカード、変圧器、延長コード、充電器、レンズ、そのほか

■預け荷物
着替え、サンダル、虫除けスプレー、蚊取り線香、予備バッテリー、3年番茶、レトルト食品、タオル(2枚)、浄水ストロー、ポイズン・リムーバー(東急ハンズで売っている)、予備の薬、パスポートのコピー、そのほか

アフリカ諸国の空港

気をつけなくてはいけないのがアフリカ諸国の空港。
まず、入国するときに荷物をすべてチェックされ、言いがかりをつけられて何かとお金を要求されることが多々ある(ナイジェリア、マラウイ、コートジボアールなど)。ときには、パスポートを取り上げられてお金を要求される(ナイジェリア)。

出国時も同様。出国時に特に気をつけなくてはならないのが、通貨の持ち出し。アフリカの多くの国には通貨の持ち出しに規制がある。現地通貨はもちろん、USドルにも規制をかけているところがある。でもそれを大使館でVISAを取るときに教えてくれるわけでもなく、現地の空港内にしかも酷いところでは、イミグレーションを通った後の荷物チェックの壁に小さく書かれていたりするから性質(たち)が悪い。
先日もモザンビークに行ったときに荷物チェックでいきなりそれを言われ、現金を取り上げられそうになった。私はJAGの調査で入り、再訪する予定だったので1000ドルくらいの現地通貨を持っていた。それを取り上げると言う。「冗談じゃない!! それなら全額両替してくる」と言ったら「それはできない」と言う。もう、喧嘩。大騒ぎ。結局、ポリスが来て「両替しに行ってもいい」ということで収まったが、ああいうやり方は、卑怯だし絶対に間違っている。ちなみに私の後ろに並んでいた白人は、荷物チェックの係員に賄賂を払って通してもらっていた。

確かに行きも帰りも空港職員に賄賂を払えばすんなりいくのかもしれないが、そんなことしているようでは、その国の印象が悪くなるだけで、再度、訪問しようとは思わなくなる。それは、日本の空港でも同じだが、外国人が初めてその国に接する場所が空港だ。その空港で嫌な思いをするとその国の印象自体が悪くなる。多くのアフリカ諸国の空港は、もっと空港職員に対して厳しくするべきだと思う。また、在日アフリカ大使館もVISAを取得した人に対して外国人が注意しなくてはならないことをキチンと伝えるべきだとも思う。観光客を呼ぶためによい点ばかりを書いたパンフレットを渡すだけでは駄目だ。
ちなみに私は、モザンビークには二度と行きたいとは思わない。

宿泊先を選ぶ

アフリカのホテルは、本当にピンキリ。1~500 USドルくらいまである。基本的には安全を買う……と考えたほうがよい。
とはいえ、以前ナイジェリアのシェラトン・ホテルに泊まっていたとき(一泊300ドルくらい)、レストランで食事をしてAMEXのゴールドを出したらボーイから「本人のものかどうか確認したいので身分証明書を見せてほしい」といわれパスポートを渡した。その場は、それで済んだのだが、数週間後ロンドンのホテルでAMEXを使おうとしたら止められていて慌てて問い合わせをしたら「ナイジェリアから大量の通信販売の買い注文が入ったので怪しいと思い、こちらで止めさせていただきました」という回答。後にも先にもこの旅行でカードを使用したのはナイジェリアのシェラトン・ホテルだけ。

ちょっと驚いた……。ナイジェリアのラゴスは治安が悪いことで有名。当時、唯一安全かつ信用して泊まれるホテルということで、世界中の要人がここに泊まっていた。そのホテルでこういうことがおきるんだもの。
この出来事以来、私はナイジェリアのシェラトンには泊まっていない。まぁ、理由はカードの不正使用だけではないけど。ホテル側のその後の対応がムカついた。安いホテルなら“仕方ないかぁ”ってなるけどアフリカではものすごく高いホテルだし“安全”と“信用”が売りなわけだからクレームが入ったらキチンと対応するのが当たり前なのに何もなし。これじゃあね……。

ここ数年は、都市では一泊U40~150ドル、田舎では20~80ドルの範囲でホテルを取っているが、あまり外したことはない。というか、アフリカでこの値段のホテルならミドル~アッパークラス。一応、事前に部屋は見せてもらうけど、まず問題はない。
もし安宿に泊まる場合、部屋を見せてもらったときのチェックポイントは、掃除がしてあるか? トイレの水は流れるか? シャワーが壊れていないか? トイレットペーパーやバスタオルがあるか? 暑いときはクーラーまたはファンが使えるか? ベッド・マットがへこみすぎていないか?……などなど。それと安宿はダニ、ノミ、南京虫に注意。安宿に泊まる予定の人は、ビニールでできたベッド・シーツを一枚持っていくとよい(アメリカでは99セントショップで売っている)。
ちなみに高級ホテルでない限り、バスタオルはゴワゴワでシャンプーも置いていない。一応、石鹸はあるけど歯ブラシや歯磨き粉なんてものは高級ホテルでも見たことない。

日本で発売されているガイドブックにはあまりホテルに関しての有効な情報がないけれど、Lonely Planet社のアフリカ関連の本には、かなり細かくホテルなども記載されている。私が持っているのは英語版だが、最近はこの会社の日本語版もいろいろ出ているらしいので書店でチェックしてみて!(ただし、アフリカ関連の日本語版があるかどうかは不明)

今はインターネットがあるのでできるだけ事前に調べておいたほうがよいが、ホテルに関しては初日だけでもいいホテルに泊まって、翌日、現地で探しても大抵の場合どうにかなる。タクシー・ドライバーに自分の予算を言って教えてもらうのもあり。

アフリカでホテルは、すごく重要!! 情報収集もできるし、イイ旅をするには身体を労わらないと。アフリカで病気になるとキツイし、荷物もなくなったら困るし、何よりも犯罪に巻き込まれてからでは遅いしね!!

と いうことで今回は『アフリカへ行こう/準備編』を書いてみました。次回は現地での楽しみ方や注意事項……などを書きます。楽しみにしていてください。

African JAG Project/浅野典子

追記:そうそう、ここでひとつ文句を言っておこう。正直、日本のアフリカ関連のガイドブックは情報が古すぎて危なすぎる。アフリカのように情勢が不安定な場所に10年近く前の情報をそのまま載せて平気で売っているなんて考えられない。あんなもの参考にも何もならない!!
また、ここに書いてあることは、あくまで参考にする程度で必ず自分で確認してほしい。情報は、極力新しいものを入手しよう!! あとは自己判断、自己責任……ということで。

           
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