ダイアン・アーバスに学ぶ(2)
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2015年5月21日

ダイアン・アーバスに学ぶ(2)

Diane ARBUS (2)

“生ることを学ぶ!”

text by IIZUKA Hidemi

以下すべて、写真集 DIANE ARBUS 『REVERATIONS』 (San Francisco Museum of Modern Art/発行元:Randon Hous, New York, NY 2003)より

写真集 DIANE ARBUS 『REVERATIONS』(San Francisco Museum of Modern Art / 発行元:Randon Hous, New York, NY 2003)は、1999年、San Francisco Museum of Modern Art で行われた展覧会「DIANE ARBUS REVERATIONS展」を記念して作られた作品集で、 Diane ARBUS が他界する1971年までの作品と、 Diane ARBUS が知人たちに送った手紙や日記なども掲載されている。

その他、この展覧会のキューレーター Sandra S. PHILLIPS と Elisabeth SUSSMAN による写真評論や Diane ARBUS の死後全ての写真プリントを行っている Neil SELKIRK によるプリント技術の話などもある。

350ページとかなり迫力のある作品集で、全てを理解するまでにかなり時間と能力は必要となるが、とても学習できる作品集である。

Alexey BRODOVITCH, Lisette MODEL, John SZARKOWSKI, Edward STEICHEN, Marvin ISRAEL, Richard AVEDON, Weegee, Hiro.......。
Diane ARBUS と時代を共にした人たちの話や、 Diane ARBUS がどのような思想を持ち写真を撮り続けてきたかなど、とても分かりやすく説明されている。


Diane ARBUS の写真について評論をするつもりはないが、彼女の写真を見てふと感じたことがある。

最近、世界中で環境問題や戦争を話題にした雑誌記事やコメント、blogなどに触れることが多くある。戦争がなくなり、世界が平和になり、自然と共に子供らが育ち、宗教を超えて世界の人々が平和に生きたいと願うのは確かではある。

世界の社会問題情報は、新聞やテレビ、インターネットなどのメディアや専門家から一般社会に伝えられるが、それらの情報をそのまま自分の意見や意識に置き換え、発言やコメントをしている人たちが多々いるように思う。

アフリカやアフガニスタンなどの内戦の報道シーンなどで、子供が死んでいる場面や、機関銃を打ちまくる場面を目て、正義感を抱いて善人になりきり、ボイランティア活動まではせずにもそれなりの発言をしてしまう。

家の冷房温度や自分の車の排気ガスを気にせず、北極の温暖化を気にすることが世界の環境問題を考えると言うことなのか?

日本で売られているアフリカなどから密輸されるダイヤモンドやアフガニスタンからの違法薬物などが、地球の反対側で起きている戦争やテロリストの活動資金になっていることをどう思うのか?


私が Diane ARBUS の写真から得た“深い感銘”が、世界の平和や環境を守れるとは思わないが、それらを感じることで自分をより理解し、世界の大きな社会問題ではなくとも、身近の小さな出来事や疑問に気づき、それらを真剣に捉えることで生きることの大切さを認識し、それらが何時か世界の平和や幸福につながることもあるのではないかと思う。

Diane ARBUS の写真から“生る事を学ぼう!”


      Diane ARBUS

           
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