第16回 「衣」にまつわる話―マリッジリング編(1)
第16回
「衣」 にまつわる話―マリッジリング編 (1)
マリッジリングだからプラチナを、というセオリーに縛られる必要はない。吉田眞紀さんが考えるマリッジリングを選ぶための基準とは?
Photo by Jamandfix
マリッジリングはもっとも身近な装飾品
6月から連想される言葉に、ジューンブライドというものがあります。なぜ6月という季節が結婚に結びつくのか、その理由は諸説あるようですが、いずれにせよヨーロッパに由来するもののようですね。
新婦が心ときめかせるもの。それはウェディングドレスだけではありません。かつて給料の3ヶ月分と言われたエンゲージリングも依然、意識せずにはいられないプレミアムなアイテムでしょうし、ましてやこれから毎日身に着けるであろうマリッジリングは、もっと特別な存在でしょう。
そう考えるとマリッジリングは、多くの人々にとってもっとも身近な装飾品といえるかもしれません。
しかしながら、いざマリッジリングを探そうと行動しても、バリエイションは豊富なのに明確な主張をもったものは少なく、消去法からいわゆる 「カマボコ」 リングを選んだという話もしばしば。
もちろん 「究極のシンプル」 ともいうべきカマボコリングはあらゆるファッションに合わせられる万能選手で、これはこれでイイのですが、選択肢が限られているのはちょっぴり淋しい気もします。
マリッジリングの本質を見つめ直す
私事で恐縮ですが 『エム・ワイ・レーベル』 にもマリッジリングコレクションがあり、3つのデザインを軸に展開しています。
メインで用いている素材は、マリッジリングの定番であるプラチナ。プラチナといえば純度が高く、変質しないことから 「永遠の愛」 になぞらえてマリッジリングに用いられる貴金属の代表ですね。
これに18Kイエローゴールドを組み合わせたハイブリッドモデルなども展開しています。
またプラチナやゴールドよりも原価が安く、そのぶんお手頃のオリエンタルシルバー® (金と銀などを混ぜたオリジナル素材。8金ほどの金含有量がある)のリングもラインナップしています。
ゴールドを日本人男性が身に着けるには勇気がいりますが、ゴールドよりもやわらかな輝きを発するオリエンタルシルバーなら肌色との相性もいい。それに、耐光性や非アレルギー性にも優れ変質しにくいなど、マリッジリングに求められる素養もクリアしています。
「貴金属の価値は貨幣価値ではない」というのが僕の持論。つまり価格の高低にかかわらず、金属にはそれぞれに固有の美しさがあるということです。
独特のピュアな輝きを放つプラチナは僕も大好きな金属ですが、マリッジリングだからプラチナを、というセオリーに縛られる必要はありません。『何が好きか』 という直感で選ぶ余地があってもいいと思うのです。