初体験・山田太一ドラマで味わう緊張感のスパイス
初体験・山田太一ドラマで味わう緊張感のスパイス
「人生で二番目に大変な舞台」の本番中、じつは戸田さん、まったく別の初体験な現場に通う日々をつづけていたのです。
昨年の終わりから、密かに進行していたのは山田太一さん脚本による連続ドラマ『ありふれた奇跡』。作品に関わる方々も、演じる役柄についても「初めてが多い」と語る戸田さん。そのドキドキ・ワクワクを、聞かせていただきました。B・Gからの新着情報もありますよ!
まとめ=尾上そら
顔合わせから感じた「特別な空気」
初二人芝居もいよいよ本番間近、という時期に、もうひとつの「初体験」が着々と進行していました。それが、山田太一さん脚本の連続ドラマ『ありふれた奇跡』への出演。私がテレビドラマの仕事をさせていただくようになってから、まだ10数年ですが、山田さんのお名前はそれこそ子供のころから耳にし、番組も観ていましたから、まさに大先達と呼ぶべき方。そんな方の作品に初めて参加させていただくとき、「人生で二番目に大変な舞台」に出演中というハードさが、なんとも私らしいと言いましょうか(苦笑)。
山田さんには、顔合わせの日に初めてお会いしました。このドラマについての想いをご自身の言葉で語ってくださる、その優しい物言いのなかにはときに歯に衣着せぬビシッとした言葉が織り込まれ、とても正直な方なのだということをまず感じました。しかも「これが僕の最後の連続ドラマだと思っています」ともおっしゃって……。尊敬してやまない大先輩が、ご自身の節目にしようとしている作品に参加させていただける。山田さんの言葉を聞きながら、私は初めてこのドラマに出演することの実感を確かなものと感じ、この場にいられることの幸せを感じていました。少しぐらい無理をしても、やはりこの場にいてよかったんだと心から思えたんです。
今回の役どころは母。しかも、ごく普通の家庭に収まった母親役・中城桂です。
そもそも私がいただく役は、その多くが一人で頑張りつづけるキャリア・ウーマンか、子供がいてもバリバリ仕事をしているシングル・マザーのような女性。なのでまたひとつ、新しい挑戦をさせていただいています。
娘役は仲間由紀恵さん。今回が初共演なのですが、おそらく今までで最年長の娘で、また仲間さんが非常にしっかりした方なので、まったく「こども」という感じがせず、撮影中もよく不思議な感覚にとらわれてしまって。
休憩中は、普通に二人でプライベートのお喋りで盛り上がったりしていますから。でも昔から「名母親役に母親なし」と言うもの。京塚昌子さんや池内淳子さん、森光子さんといった「母親役といえば!」という素晴らしい女優の方々が、皆さん実際には母ではないことを考えると、今回のような場合こそ勉強の場! と思えてくるのです。こういう母親役、舞台ではまずいただくことはありませんからね。
それに非常に面白いのは、この作品にはまず「家族」があり、そのなかで個々人がいろいろな問題を抱えながらも関わり、結びながら生きている様子が描かれているところ。桂にしても年齢的にちょっと鬱っぽくなってしまったり、孤独感に苛まれてみたり、表面には出ないけれど嫁姑の静かな確執があったりとか。また第4話ではちょっと不倫モードみたいなエピソードも描かれたりもしました。本当の意味で「こういうこと、ありますよね?」と観る方に差し出せるような、リアルな主婦像がここにはあるんです。
魅力的な共演者にも恵まれて
先にお話した仲間さんをはじめ、素敵な共演者の方々に恵まれたのもこの現場のうれしいところ。主演の加瀬亮さんには、顔合わせの本読みのときからその独特の魅力に釘づけになりました。ご活躍は知っていたのに、なんだかひどく緊張していらしたようで不思議に思っていたら、なんと連続ドラマは初とのこと。でもきっと、素晴らしい成果を残されるはず。
仲間さんは、あれだけ幅広く活躍されているのに、非常にピュアな部分をもちつづけている素敵な女優さん。変わらぬ輝きは内面から出ているものなんだ、と知りました。
岸辺一徳さんは以前から大好きな俳優さんですから、夫婦役はうれしい限りです。
お姑さん役の八千草薫さんがまた、本当に優しく細やかな気遣いをしてくださる方で。舞台と掛けもちの私を見かけるたびに、「大変ね」「頑張ってね」と必ず声を掛けてくださるんです。八千草さんご自身も舞台経験をたくさんおもちなので、そうやってさりげなく励ましてくださったんだと思うのですが、お会いするたび「私もこんなふうに誰かに声をかけられるようになりたい」と思っています。
心強い仲間に恵まれてはいても、山田作品が難物なのはやはり事実。山田さんの台詞、決して覚えやすいものではないんです。ワンシーンが長く、なのに個々のダイアローグは短い。台詞が2、3行になるところがときどきあるだけで、あとは短いやりとりがトントンとつづいていき、それを10分ぐらいは止めずに長回しで撮影するという、舞台顔負けのスタイルなんです。
脚本家の方は、どんな方でも変わらず一字一句間違えてほしくはないわけですから、その緊張感たるやかなりのもの。不倫相手役で一回だけ登場する吹越満さんも、「毎回こんな感じですか? 僕は一回だけなので楽しみましたが……ずっとはタイヘンですねぇ」とおっしゃっていましたっけ(笑)。
三谷幸喜さんとのお仕事は、おこがましいかもしれませんが「同じ時代を生きる同士との仕事」というふうに私には感じられるもの。でも今回は、「私たちが歩いて来た道をつくってくださった方との仕事」と感じられ、また格別の喜びを私に与えてくれています。「長く生きているといろんなことがあるなぁ」とも思うし(笑)、誰もが経験できることではありませんから、そこには「運」も働いているでしょうし。ここまで生きていても、まだ「新しいなにか」と出会えることに、まずは感謝。そしてその出会いを先につなげられるように、ドキドキしながらもしっかり日々の仕事を自分のものにしていかなければ、と改めて思う毎日なのです。
<B・G最新グッズ速報!>
さて、新年対談でブラザーGOとの話に出ていたB・Gの最新グッズ「ベアブリック」をバックショットでチョイ見せしちゃいます!
色はピンク&ブラック。カニカンが付いているので携帯電話やバッグのチャームに。2個1セットでの発売となります。
今は台紙やパッケージのデザイン中で、そんな作業も楽しいんです!
B・G初の固形物(笑)。皆さんには、5月のライヴでのお披露目は確定しているのですが……フロントショットや詳しいデザインについても、続報をお待ちください!!