第45回 「衣」にまつわる話_機能性インナー編
第45回 「衣」にまつわる話_機能性インナー
巷では日常的にからだを鍛えたり、普段からカジュアルな装いとしてスポーツウェアをとりいれてみたりと、スポーツがひとつのファッションのジャンルとなっている感がありますが、今回はスキー以外のスポーツをしない僕が、実際に着てみて感心した「機能性インナーウェア」について話してみようと思います。
語り=吉田眞紀まとめ=戸川ふゆきPhoto by Jamandfix
着るだけで姿勢が矯正される
唐突ですが、寒さとともに街でも背中を丸めて歩くひとを多く見かけるようになりますね。持病の頸椎の椎間板ヘルニアにとっては、肩が前方に丸まる姿勢がとくによくないようで、この時期痛みが増すのが悩みのたねです。しかし困ったことにこのヘルニア、普段から姿勢をよくする以外、積極的な対策がありません。
そこで一昨年の秋以来すっかり愛用しているのが、アシックスの「機能性インナーウェア」です。このシャツは見た目もシンプル。もともとはアスリートのために開発されたものだと思いますが、背中部分に特別に伸縮の強い生地が使われており、着てみると自然と胸が開いて、肩甲骨がグッと真ん中に引き寄せられる感じがします。
それによって肩甲骨が正しい位置にセットされて、肩がスムーズにあがるようになり、アスリートのパフォーマンスアップをサポートする……。というのがメーカーのセールストークですが、本当に姿勢が矯正されて動きやすくなり、ヘルニアの痛みがやわらぐのです。
新しい思想のインナーウェア
長年スキーを趣味としてきたので、今までも保温性に優れた下着や、着用して汗をかいても蒸れない素材などには、けっこうお世話になりました。また、体型を補整して格好よく見せる補正下着は、昔も今も女性に人気の商品かもしれません。
が、着るだけで体軸が矯正されて、全身の間接が動きやすくなり、運動性能アップが期待できる。しかもケガの防止にもつながるという「機能」をもったインナーウェアが出てきたのは、ここ数年のことではないでしょうか。その考え方自体が、今までのインナーウェアに対する思想とはちがうような気がします。
常々、デザインは見た目も大事ではあるが、その「機能が優れている」ことが一番であるという持論を展開している僕は、実際に首の痛みがやわらぐので、このインナーウェアには大変驚くとともに、大いに感心しました。
すぐれた機能をもつグッドデザインは、ついにインナーウェアにも登場していたのです。
しかし致命的なのが、幾分たるんだ体型を伸縮の強いノースリーブタイプのシャツに包み、鏡に映った自分自身の姿。いやはやなんとも……。これは強力です(笑)。いえ、もちろんあくまでもインナーウェアなので、人様にお見せする必要もありませんし、個人の好みがあることもわかっていますが……。
いま聞いたところによると、半袖タイプも長袖タイプもあるそうなので、もしこれから購入を検討される場合には、みなさんよく吟味なさってください(笑)。
今シーズンも、このインナーシャツに助けられて、大いに雪と戯れてこようと思います……。