2008年、締めくくりのご挨拶 戸田恵子
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2015年3月12日

2008年、締めくくりのご挨拶 戸田恵子

2008年、締めくくりのご挨拶

前回お伝えしたとおり、戸田恵子さんは現在、今年最後の舞台である三谷幸喜さん作・演出、中井貴一さんとの二人芝居『グッドナイト スリイプタイト』に出演中。信頼できる俳優に対してだからこそ、三谷さんからの要求もさらに加わり、作品も戸田さんも日々進化中のようです。
2008年、最後の大仕事に奮闘中の戸田さんからのメッセージ、プチ・ゲストコメントのおまけつきでお届けします。

まとめ=尾上そら写真提供=©PARCO

ソコソコ長い舞台人生二番目の「タイヘン」

現在、PARCO劇場にて『グッドナイト スリイプタイト』の公演まっただなかです。タイヘンです。どのくらい大変かというと、そこそこ長い私の舞台人生のなかでは、二番目にタイヘンというのが今の位置づけ(笑)。

2008年、締めくくりのご挨拶

まず、一人芝居『なにわバタフライ』のときと同じように、どこまで何をやれば不安がぬぐえるか、その見極めができないのです。とにかく台詞の量が多いので、自分の頭のタンクのなかにちゃんと入っているのか、自由に出し入れできるのかまだまだ確信がもてなくて。少し回数を重ねたので、たとえつまずいても大体は同じ意味の言葉を言えたり、ラリーで短い台詞を言い合うときにどちらかが一個飛ばしてもカバーする、という対応はできるようになりましたが、やはり2時間以上の時間を集中しつづけるというのは尋常なことではありません。

共演の人数が増えれば、同じ上演時間でも分散されますから、少しは楽な場面もあるはず。もちろん舞台本番中は常に緊張しているけれど、その度合いが半端ではないんです。常に2人きり、常に見られているという重~い緊張感が、人生二度目に襲って来ている感じ。

そんな私の実感を三谷さんに話すと、「常に舞台では緊張されているでしょうが、より高みを目指していかなければいけないと思うんです。今回の緊張は戸田さんのために必要だから与えられたもの。そんじょそこらの緊張とは一線を画す緊張を、選ばれた人は目指さなければ」とおっしゃる。それは励みにもなる言葉でしたが、いかんせん体に悪いんです! 毎日開演前、中井さんと舞台裏で手を取り合って、「Yes we can!」とつぶやかずにはいられない私です(笑)。

結局、自分を信じるしかないんです。でも、その信じる勇気がなかなかもてない。まだまだいろんなことあるなあっていう、今はまっただなかで。この素晴らしい戯曲を与えていただいて、それを深めていくことの面白さを感じつつ、年末最後までゆるむことなく今年も走りつづけられたらなあと。振り返るというよりも、今ここが一番の山場、まさに総決算という感じになりましたね。

いつだってShow must go on!

振り返ってみると、去年の「恵子ちゃんYear」に続き、今年も盛りだくさんな一年でした。はじめてのお仕事をいろいろさせていただいたし、秋元 康さんプロデュースの新曲、植木 豪さんとのブランド展開+曲づくり+ライヴ活動、大切な作品『それいけ!アンパンマン』はテレビアニメとして20周年を迎え、伊東四朗さんの一座に参加させていただいたりもしました。最後まで遊ばせてもらえませんでしたね、やっぱり(笑)。

そのなかでも、大トリの『グッドナイト スリイプタイト』は相当にシンどくて、でも同時に自分自身に対して気づかせてくれることも多い作品なんだ、と少し落ち着いた今は思えます。

2008年、締めくくりのご挨拶

今回、稽古開始前から台本をいただいていたのに、なぜか私のなかではエンジンがかかるのが遅めで、なにか油断があったのかもと思ったり、そんな自分に対するジレンマが、目に見える落ち込みにつながってしまい、精神の弱さに改めて気づく日もありました。パートナーの貴一さんが紳士なうえに俳優としても完璧な方だったので、たくさん助けていただきましたし、自分の弱点に気づくきっかけもくださったんだと思います。

たしかに三谷さんがおっしゃるとおり、この作品・この出会いは私に必要で、与えられたもの。そのことに感謝しつつ、いつも通り、見つけた弱点は強化してただ前に進む、それが私にできる唯一のことですよね。いつだって「Show must go on!」なんですから。

年が明けても、大阪公演がつづきます。全部で70回近いこの『グッドナイト スリイプタイト』を通し、さらにパワーアップした私を2009年はお届けしたいと思います!!

2008年、締めくくりのご挨拶

追伸

今年は久しぶりにアミューズ主催のエイズチャリティ・AAA(Act Against AIDS)に参加することができました。武道館で「強がり」を歌うという貴重な経験もできましたし、強行スケジュールのなか参加したかいがありました(笑)。

写真はその時にブラザーGO(植木豪)がメインボーカルを担当しているグループ・PaniCrewのメンバーと撮ったものです♪

おまけ
<ブラザーGOの『グッ・スリ』観劇記>

『グッドナイト スリイプタイト』は開演直後から引き込まれ、夢中になって観ていました。時系列が行ったり来たりするので、次に何が起こるか予想できないのがポイントですよね。

夫婦とか恋人同士で観にいらした方も多いと思いますが、きっとものすごくいろいろ感じたり、考えたりしたんじゃないでしょうか。僕も結婚してないけれど、昔のことを思い出しながら「ああ、こういうすれちがいってあるんだよなぁ……」と噛みしめたりなんかして(笑)。

時間は、どんなものも想いも少しずつ変えていく。良くも悪くも、それは誰も逃れようがない。だから「今」はとても大切だし、もし変わってしまったとしても、「記憶」が残っていれば無駄なことは何ひとつない……などなどいろいろ考えてしまいました。観たあと、ちょっと優しくなれるような、そんな素敵な舞台だと思います。

しかし、姉さんの活躍はものスゴかったです。出ずっぱりで着替え満載、クルクルいろんな顔を見せたうえに、歌もバッチリでした。姉さんから「勉強になるから、一度ぐらいタロー役で出たら」と言われましたが、それは遠慮しておきます(笑)。

※タローとは舞台「グッドナイトスリイプタイト」で二人が飼っている亀の名前です。

2008年、締めくくりのご挨拶

「戸田恵子さん直筆サイン入り『グッドナイト スリイプタイト』パンフレットをプレゼント」は締め切りました。当選は、発送をもってかえさせていただきます。多くのご応募ありがとうございました。(オウプナーズ編集部)

2008年、締めくくりのご挨拶

戸田恵子

           
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