戸田恵子|舞台オフ・ブロードウェイ・ミュージカル 『今の私をカバンにつめて』
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2015年5月27日

戸田恵子|舞台オフ・ブロードウェイ・ミュージカル 『今の私をカバンにつめて』

戸田恵子|舞台オフ・ブロードウェイ・ミュージカル

『今の私をカバンにつめて』(1)

暑い暑い8月から稽古が始まり、熱く熱く燃え尽きた再演は、お陰様で初演時よりはるかに深みを増しての上演となり、9月24日、大阪にて無事幕を降ろすことができました。

Text by TODA Keiko

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守りではなく、攻めの再演

再演にあたりバンドメンバーの入れ替わりがありましたが、皆さんには新しい風を吹き込んでもらい、また、初演と同じキャスト陣はこの3年のあいだにそれぞれが身に付けた力を発揮した、真摯に取り組んだ公演となりました。

私自身は再演にあたり一番に思ったことは、なんとしてもより多くの皆さんに、この作品を観ていただきたいという願い。1970年の古いミュージカルではありますが、普遍性をもった作品であり、ミュージカルでありながらライブ感覚に富んでいて、なおかつ芝居の要素もがっつりある。歌手、ヘザー・ジョーンズと仲間たち、そしてマネージャーのジョーという計9名の少数精鋭で織り成すバックステージ物語。青山円形劇場ならではの至近距離でご覧になった皆さんは、まるでスタッフの一員になったような感覚で楽しんでいただけたと思います。私自身、大変稀な作品と自負しております。

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楽曲はどれもすばらしく、あらためてヘザー・ジョーンズの生き様が歌の中にも表現されていることを実感しています。どのナンバーも大好きでしたが、よりいっそう好きになりました。再演ではとくに『ミス・アメリカ』に想いをのせました。「このままでいいのか!? 今なら間に合う、遅くないんだ!」という、決意表明するような強い気持ちになりました。

そしてなんといっても初演と変わらずのチーム感です。敵役(?)のマネージャー、ジョーも含めです(笑)。もともと身内のような植木 豪と、普段から仲良しの入絵加奈子と麻生かほ里。それぞれが演技に深みを増しての参加となり、それがまたまたすばららしいチームワークとなりました。心より感謝いたします。

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戸田恵子|舞台オフ・ブロードウェイ・ミュージカル

『今の私をカバンにつめて』(2)

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演出を一新、初演を上回る仕上がりに大満足

演出のG2さんは最後まで初演VTRをご覧にならないまま演出をされました。端からそう決めていたそうです。あくまでも新鮮に、なぞることなく!を貫くといった感じでしょうか。それは私たちも同じでした。振り付けの基本やフォーメーションなど、どうしてもというところはチェックしましたが、あとはイチから出直した感じです。ジェイクの楽器が変わったり、コーラスがより活きる振り付けに変えたり、芝居そのものの捉え方も変えたりと、果敢にアプローチしました。

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その成果は初演をはるかに上回るものとなりました! 初演時には時間に追われて手つかずだったこともクリアして、より繊細な表現を探し、それぞれのナンバーにも明確な意図を見つけ出して望むことができました。お客様からもスタッフからも、初演と同じ作品でありながら違う印象を受けた、との感想をいただいたほど。守りではなく、攻めの再演となりました。もちろん、初演の荒削りも良かったとは思いますが(笑)。もともと「再演」というものが好きではない私ですが、なんだか「再演」も悪くないなぁ~(笑)と、思いました。

じつは公演期間中に私の誕生日があったんです。物語自体ヘザーの誕生日という設定なので、毎回バースデーソングを歌ってもらっていましたが、この日は客席からも手拍子が起こり、嬉しかったですね。開演前のリハーサル時にメンバーがサプライズでお祝いしてくれて、植木 豪くんがジョーの奥さん役、フランチェスカに扮してケーキを運んでくれました。ブログにもアップしましたが、なかなか可愛い、二の腕のたくましいフランチェスカでした(笑)。

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みんなからプレゼントもいただいて、なかでもジェイクとシェリルとアリスからもらった「Heather Jones & The Liberated Men’s Band +2」とチーム名の入ったオリジナルキャップはすごく記念になりました。そんな「記念」を皆さんにも“お・す・そ・わ・け”(笑)というわけで、後にこのキャップを完全予約販売いたしました。舞台をご覧になれなかった皆さんにも喜んでもらえたようで嬉しかったです。舞台は終わってしまっても「Heather Jones & The Liberated Men’s Band +2」は今もどこかでツアーをまわって歌っているのだと思っています。そう思っていれば淋しくないです。

今の私をカバンにつめて――
歌って、踊って、喋り倒して、休む間もないタフな作品でしたが、ご観劇くださった皆さんの記憶にいつまでも残りますよう祈ります。

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