谷尻 誠|落語家の柳家花緑さんを迎えて「THINK_12」開催
建築と落語にどのような関係性が見いだせるか
落語家の柳家花緑さんを迎えて「THINK_12」開催
3月23日(金)に開催する「THINK_12」は、落語家の柳家花緑さんをお迎えします。今回は、サポーズデザインオフィス3階の“名前のない空間”を花緑さんの噺によって「寄席」にしてしまうという試みです。
Text by TANIJIRI Makoto(suppose design office)
高橋理子さんデザインの着物で高座にあがったこともある柳家花緑さん
柳家花緑さんは戦後最年少の22歳で真打に昇進され、落語会を背負って立つ若手噺家(はなしか)として注目されています。
デザイン業界とも繋がりのある花緑さんは、グラフィックデザイナー佐藤 卓さんや、デザイナー安積朋子さんと「デザインは落語につうず」という落語会を開催されたこともおありです。
今回、建築と落語にどのような関係性が見いだせるのかも楽しみです。「古典」と「現代」を花緑さんがどう捉えているのか、皆さまと一緒に考える場にしたいとおもいます。どなたでも参加できる気軽な場として、ぜひ多くのご参加をお待ちしております。
柳家花緑|YANAGIYA Karoku
落語家。1971年8月2日 東京都生まれ。
1987年3月中学卒業後、祖父五代目柳家小さんに入門。前座名 九太郎。89年9月二ツ目昇進。小緑と改名。94年戦後最年少の22歳で真打昇進。柳家花緑と改名。
2003年3月に落語界の活性化を目的として結成された「六人の会」(春風亭小朝、笑福亭鶴瓶、林家正蔵、春風亭昇太、立川志の輔)のメンバーであり、テレビ、ラジオ、CMなどでも活躍。古典落語の伝統を守りつつも、近年では話題のニュースを洋服と椅子という現代スタイルで口演する同時代落語にも挑戦し、落語のあたらしい未来を切り拓く旗手として注目の存在である。
http://www.me-her.co.jp/karoku/#
THINK_12
日時|2012年3月23日(金)19:00~21:00
開場18:30~、開演19:00~、アフターパーティ21:00~23:00
会場|広島市中区舟入本町15-1 Suppose Design Office 3F
会費|3000円
予約問い合わせ
Tel. 082-961-3000
think@suppose.jp
※ 座席100席以降は立ち見。
※ 座席の事前予約申込み可能。ただし当日18:50までに入場できない場合、予約無効となる。
※ 寄席終了後、21:00~はアフターパーティを開催。花緑さんを交えた懇親会を予定。
http://smak.exblog.jp/15525358/
SUPPOSE DESIGN OFFICE : Facebook
http://www.facebook.com/pages/Suppose-Design-Office/222270444458271
※ これまでのトークショーの様子はUSTREAMで視聴できる。
http://www.ustream.tv/channel/think-suppose
時代の先を見抜く選択眼は、どのようにつくられたのか
ビームス クリエイティブディレクター青野賢一氏「THINK_11」レポート
ビームス クリエイティブディレクターの青野賢一氏を迎えて2月10日(金)に開催された「THINK_11」。大盛況の当日の様子を、サポーズデザインオフィスの島田真梨子さんがリポートする。
Text by SHIMADA Mariko(suppose design office)
尽きることのない興味と関心から生まれる、時代を先取る思考
「THINK_11」では、ビームス クリエイティブディレクターの青野賢一氏を迎え、ファッション業界にとどまらず幅広く活躍する氏の思考の根底にあるものをお話していただきました。
YMOを聴いていたという小学生時代から、ビームスでアルバイトをはじめた大学生時代、ビームスでの最近の活動など、青野さんのこれまで経歴を語られていくなかでみえてきたのは、幅広い興味・関心と、少しでも興味をひいたものは調べるという「調べグセ」でした。
簡単に情報を手にいれることができるいま、つきつめて調べるということは時間も労力も要しますが、調べることで思いがけないつながりや発見に出合うことは、わたしたちにも経験があると思います。
青野さんの場合、その経験をどこまでもつづけているようでした。考えるときに、調べれば調べるほど物事が数珠つなぎにつながっていく……。自分の尾を噛んで環になった「ウロボロス」という伝説の竜になぞらえた物事の連鎖が、あるタイミングで飛躍し、あたらしい発見につながります。そして、その飛距離が主題から大きいほどあたらしいものの見方も広げてくれるのです。
わたしたちが日常的に洋服を選び、試着し、コーディネイトしていくことも、それとおなじことです。試着した姿を鏡でチェックすることは、主題を客観的に見ること。“はずしアイテム”をあえて入れてバランスをとることは、主題にちがう要素を入れることであらたな良さを見つけること。
このような経験をつづけていくことで、あたらしい組み合わせの発見に出合うときがあります。ファッションをつうじた誰しも経験のある行為が、物事を考える過程とおなじ行為ということに関連づけられるあたりも、青野さんならではのお話だったと思います。
尽きることのない興味と関心、それを調べ得た知識、そして、それを運動神経的な瞬発力に変え発想すること。青野さんから生み出される時代を先取る思考の源は、そこにあるようだと感じた、あっというまの2時間でした。