戸田恵子|舞台、ドラマ、そしてボランティアまで 2012年もパワフルにスタート!
戸田恵子|舞台、ドラマ、そしてボランティアまで
2012年もパワフルにスタート!(1)
多忙を極める女優 戸田恵子さんは今年もパワフル! 舞台にドラマ撮影、ボランティアチームの活動にと、日本のみならず世界を駆け巡った怒涛の2カ月を振り返る。
Text by TODA Keiko
橋爪 功さんのおでこをピシピシ!?
年末年始はたっぷり休養を取って、1月は舞台「8人の女たち」の大阪・名古屋公演があり、1月14日に無事、名古屋にて大千秋楽を迎えました。たくさんの拍手とスタンディングオベーション、心より感謝いたします。出演者のなかでは唯一初舞台だったマイコちゃんを筆頭に、みんな目を潤ませておりました。連続ドラマの撮影と舞台稽古とが重なった地獄のようなスケジュールをこなし、頭から火を吹いていた私だけが全公演終わったうれしさに満面の笑みでした(笑)。
1月中旬からは大好きな橋爪 功さん主演の2時間ドラマ『京都殺人授業』のため、久びさに京都・太秦での撮影でした。しかも設定が元夫婦ということで、うれしい驚きでした。年の差? 実際はけっこう離れていますが、ドラマの中ではまったく関係なし! 橋爪さんは気象歴史学を研究する大学教授で、私は大学理事長。ふたりのシーンでは元夫のおでこをピシピシ叩いております(笑)。
また、橋爪さんが下宿する珈琲店のマスターに北村総一朗さん。かなり年齢層の高い……いや、もとい(笑)。かなり落ち着きのある大人のドラマです。歴史好きの方には楽しさも2倍かと思います!
私自身の出番は“ちょいちょい”だったので(笑)、撮影はあっというまに終わりましたが、もしこのドラマがシリーズ化されることがありましたら、次回はもう少し活躍したいですね。憧れの橋爪 功さんとのせっかくの共演をもっと楽しみたいです!
戸田恵子|舞台、ドラマ、そしてボランティアまで
2012年もパワフルにスタート!(2)
このドラマが“光”という“希望”となって、皆さんの心に届きますように──
2月に入り、おなじく2時間ドラマ『3.11 その日、石巻で何が起きたのか~6枚の壁新聞~』の撮影に入りました。キャスト全員が実在の人物を演じるという、再現フィルムのような不思議なドラマになっています。撮影中は本作に参加させていただく意味や意義を考える時間にもなりました。たくさんの女優さんがいらっしゃるなかで、私にお話をいただいたことも、感慨深いものがあります。
私は平井美智子さんという石巻日日新聞の記者の役でしたが、水の中を歩いたり、写真を撮ろうとして止められたり、避難所で毛布にくるまったり、家族と面会できたりできなかったり……。再現撮影するだけでもこんなに大変なことなのに、実際はと思うと想像を絶するばかりです。
撮影中、印象的だったのは、石巻でコンビニの入口に日日新聞が作った壁新聞が貼られ、それを街の皆さんが見ている、という場面。情報があふれているこの今の世の中で、ライフラインが遮断され、なにもかもなくなってしまった時、あの壁新聞から得られる情報はどんなに力になったことでしょう。日日新聞の記者たちの使命感にも感動しました。まさに「光」。コンビニ前で再現されたこの小さなシーンに、胸が熱くなりました。
石巻にも撮影に行きましたが、被災地はあたり一面真っ白の雪野原。あいかわらず悲しいほどになにもないまま。遠くの海辺の方に廃車が山積みになっているだけで、あとはまったくなにもない――。愕然としました。むしろ震災直後に光景を目の当たりにしたときより、ショックが大きかったかもしれません。なにも変わってない風景に、情けなくて悔しくて涙が出ました。
ドラマではもちろん“あの日を忘れない”ということも大事ですが、大変だったことも、悲しすぎたこともなにもかも忘れてはいけなくて――。暗闇の中で壁新聞がもたらした情報という“光”とおなじく、このドラマが“光”という“希望”となって、皆さんの心に届くことを切に願います。私自身、また気持ちをあらたに被災地に想いを寄せ、自分にできるボランティア活動をつづけたいと思います。
戸田恵子|舞台、ドラマ、そしてボランティアまで
2012年もパワフルにスタート!(3)
日本の子ども向け映画づくりに一石を投じたい気分!
2月13日からは3泊の弾丸トラベルでベルリン映画祭に行ってきました! この夏ドイツでおこなわれるキンダーフィルム・フェスティバルで上映する作品をチョイスしたり、関係者の皆さんにお会いすることが目的です。ベルリンは映画『ラヂオの時間』以来2度目です。
ベルリンの子どもたちと一緒に大スクリーンで観た海外アニメ映画はラトビアの作品で、当然スクリーンからはラトビア語、字幕は英語、吹き替えはドイツ語でひとりの方がしゃべっていました。ちょっと私はパニック(笑)!? あとでいろいろな国のチェアマンにお会いして話を聞きましたが、どうやら吹き替えは基本的にひとりの方が自国の言葉にボイスオーバーするのが主流のようです。日本のように何人かですべてのキャラクターを吹き替えるスタイルに、皆さん驚いてました。そうなんです! 我われは大変なことを成し遂げているのだと、誇りに思いました。
が、しかし。現実は誇りに思っているだけでは済まされないことがたくさんあります。世界の子どもたちに向けた映画づくりの熱心さは日本をはるかに上回り、それは単純に数からしてもいえることですが、アニメーションだけでなく実写物の映画もたくさん作られていることに大変驚きました。これらのすばらしい作品を東京でもっともっとたくさんの子どもたちに観せてあげたいという気持ちとともに、日本の子ども向け映画づくりにも、一石を投じたい気分です。
また、各国のチルドレン部門に携わる方がたの熱意。そのほとんどがボランティア精神に基づくものであるという事実――。これにもいろんな意味で考えさせられました。東京もおなじです。ボランティアはすばらしいことではありますが、さまざまなカタチでの助成が必要です。すべては子どもたちが豊かな心をもつために、豊かな将来につながるように、です。
今年の夏のキンダーフィルム・フェスティバルは第20回を迎えます。よりいっそう、皆さんに楽しんでいただけるよう頑張りたいと思います。そしてまた、ベルリン映画祭に行けるチャンスがあったら、今度はもっと長く滞在して、もっとたくさんのフィルムを観たい! あ、ちなみにご飯はすっごくおいしかったです。ドイツビールもドイツワインも(笑)!