震災直後、撮影、撮影、撮影の日々

思えば3月11日の東日本大震災の日は、連続ドラマ『美咲ナンバーワン！』の撮影の最終日だったり、その前日の3月10日はつぎの連続ドラマ『生まれる。』の顔合わせ＆本読みの日でした。

震災直後には2時間ドラマ『探偵左文字進』の撮影で長崎に。今は辛いことも多いけれど、将来皆さんによろこんでもらうために、一丸となって撮影に取り組みました。南のほうでもすでに乾電池などが売り切れている状態で驚きました。何度か東京へとんぼ返りしたときには、原発事故の影響か、羽田空港は安全と言われていた南へ向かう人びとでごった返していました。空港にペットもたくさんいたことにも驚きました。

長崎での撮影終了後、帰京してからTBSの連続ドラマ『生まれる。』に遅れて参加。こういう時期だからこそ、『生まれる。』のテーマはさらに胸に響く作品になったと思います。そんな慌ただしい日々のなかで、『探偵左文字進』の長崎ロケでご一緒した田中 実くんがこの世を去り、『生まれる。』劇中のダブルエース編集部の部下役・鈴木涼平くんがめでたく結婚、ついで『美咲ナンバーワン！』で共演した田中 圭くんも結婚と、なんとも悲喜こもごも。

被災地でふたたび出会う、子どもたちの笑顔

久しぶりに映画『それいけ！アンパンマン』の試写舞台挨拶に出席。被災地の宮城県名取市にばいきんまん役の中尾隆聖さんと出かけました。被災地の子どもたちの笑顔を見ると、本当にうれしくなります。


チーム・キンダーフィルムでも、前回の岩手に次いで福島を訪れました。福島で2ステージ、郡山に移動してナイター野外で1ステージ、ライブシネマの吹き替えをしました。ここでも、子どもたちの笑顔に触れることができ、キンダーフィルムの力強さを感じました。

郡山では自衛隊の皆さんが仮設のお風呂を提供していて、私にも「頑張ってください！」と声をかけてくださいました。こちらこそです。みんな7月の時点ではまだまだ避難所生活。なんとも歯痒い思いばかりが残りました……。

仙台アンパンマン子どもミュージアム＆モール

ここでちょっと時計の針をまわして、東北へは7月の終わりにも足を運びました。じつは7月22日に、「仙台アンパンマン子どもミュージアム＆モール」がオープンしたのです。本来なら4月にオープンするはずでしたが、東日本大震災によりオープンが遅れていました。仙台のみなさん、待ちに待ったオープンです。


じつはオープンの少し前に新聞でやなせたかし先生がオープン初日に仙台に行かれるという記事を見つけ、その日たまたまオフだった私は「私もくっついて行きたいな」と制作さんに申し出たところ、なんと先生が体調を崩されて行けなくなり、ぜひとも私に行ってくださいとのことで、急きょやなせ先生のピンチヒッターを務めることになりました。

仙台駅からとても近いところにアンパンマンミュージアムはあります。おとなが行っても楽しめる内容となっているので、一度ゆっくりまわりたいです。おとなが使えるグッズやTシャツもあるんですよ。レストランはもちろんアンパンマンの食器。相変わらずここでもパン工場のパンは大人気！　本当においしいです。


当日はたくさんの子どもたちが集まっていました。『アンパンマンのマーチ』を唄っているドリーミングのふたりとも久びさに会えました。テープカットも無事に済ませ、たくさんの着ぐるみに子どもたちは大興奮！　やっぱり私より着ぐるみです（笑）。いつもやなせ先生と話してるんです、着ぐるみには敵わないって（笑）。

天から与えられた贈り物“GIFT”

時計の針を巻きもどして、7月2日にはダウン症アーティストによるイベント「The GIFT」が開催され、私もゲストに呼んでもらいました。イベントは書道、アフリカンドラム、リコーダー、ダンス＆演劇（LOVE JUNX）、トランペットと、バラエティ豊かなラインナップ。


私はトランペット奏者の榊原俊輝くんとコラボレーションして、『とびら』『オーバー・ザ・レインボー』の2曲を歌わせていただきました。心臓病も克服した俊輝くんが、息をものすごく使うトランペットに挑戦している姿は本当にすばらしい！　終演後のハイタッチが忘れられません。

「The GIFT」のイベントにさいし、出演者みんなでブンブン振り回すタオルがほしいとの要望があり、BGブランドからプレゼントさせていただきました。色はイベントカラーのブルーで、もちろん植木 豪のオリジナルデザインです。みんなゴキゲンにステージでぶん回していました（笑）。


欧米では才能をあらわす言葉「GIFT」。「天から与えられた贈り物を人びとと分け合う」という意味があるそうです。その意味を、噛みしめたいと思います。

──次回「慌ただしくも充実した、夏を振り返る　その2」は、10月12日（水）公開予定。乞うご期待！