写真人生|飯塚ヒデミ 写真集コレクション|Weegee『NAKED CITY』
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2015年3月13日

写真人生|飯塚ヒデミ 写真集コレクション|Weegee『NAKED CITY』

飯塚ヒデミ 写真集コレクション

Vol.1 Weegee『NAKED CITY』

写真集『NAKED CITY』が刊行されたのは1945年。10年ほど前、ニューヨークの古本屋で偶然目にし、以前から欲しいと思っていたので迷いなく購入し、いまも宝物のひとつとして大切にしている写真集です。あいにくオリジナルのカバーは破損してしまいましたが、60年以上前の写真集としてはとてもよい状態のものです。アメリカ人写真家Weegee(ウイジー)の写真集はいくつかありますが、代表するものと言えばやはりこの45年刊行の『NAKED CITY』でしょう。

文=飯塚ヒデミ

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Weegee|ウイジー

本名はArthur Fellig。1930~40年代のニューヨークを代表する写真家。アメリカのみならず、世界の写真家達が刺激を受け影響された写真家のひとり。1899年、現在のウクライナに生まれ、1909年家族とともにアメリカに渡る。ニューヨーク中央警察署の裏に住まいを持ち、警察無線の使用を許可されていたため、火災や交通事故、殺人事件現場などを得意とした報道カメラマンであったが、アメリカのセレブ界を撮った『Naked Hollywood』も彼の有名な作品のひとつである。病により1968年他界している。



この写真集のなかで、ウイジーはこんなことを言っています。

“写真を撮るために私は多くの現場を訪れた。
時には説明できない何か不思議な力に誘われ、何も恐れることのない裸になったニューヨーカーの素顔や私が見て感じたものを、彼らとともに笑いそして涙を流しながらカメラを向けてきた。
イーストサイド、ハーレム、パークアベニュー、被写体すべてが現実です。ほとんどのひとたちは彼らが撮影されていたことにも気づいていない”

“私にとって写真とは人生の1ページである。
もしそうであるならば、写真は「現実」である必要がある”

Weegee 1945


写真とは、ひとの目に見えるものや感じるものを、写真機を使い2次元の世界で写し出した、いわば記録である。写真の内容や目的、撮り方などによって記録と思わないひともいるだろう。ただ写真を撮るひとの思想や哲学はちがっても、ウイジーが言う“写真は現実”であることに間ちがいはない。それは写真のなかに“真実”と“事実”が共存するからである。そしてその過去のものとなった写真を目にすることで、ひとは感動したり驚いたり、よろこびや悲しみを感じ、ときには1枚の単なる“記録写真”がひとを幸せにすることもある。

私はこの写真集からたくさんのことを学んだ。

飯塚ヒデミ|IIZUKA Hidemi
1967年生まれ。88年に渡仏。96年プロデュース会社B.R設立。ヨーロッパで活躍するクリエーターなどのプロデュースやアートダイレクションを行う。2000年、TRACK associateを設立。フォトマガジン『TRACK』創刊。ファッションカタログ企画、編集、制作を手がける一方、デジタルラボを開設する。04年フォトギャラリーT.A.F (Track Artwork Factory)開設。ヨーロッパやアメリカの写真家を中心に年4回の個展を開催している。現在パリ、ロンドン、NYなどを中心に写真家の開拓をすると同時に、各都市の写真学校などと若い写真家の教育、育成にも精力的に活動をしている。
www.trackartworkfactory.com


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