Ibiza Chillout Lounge Vol.04|ここでしか出会えない、イビサならではのクリエイション
Vol.04|Creation
ここでしか出会えない、イビサならではのクリエイション(1)
ガイドブックに載っているのはイビサのほんの一部。この島は知れば知るほど奥が深く、とくに島に住んでいる人びとの個性や、ユニークな表現力が際立っている場所です。そこで今回はイビサ在住10年以上、唯一の日本人イビサコーディネイターとして活躍する平山淑絵さんが、短期訪問だとわかりえない裏話もふくめ、イビサならではのクリエイティブをご紹介します。
Text by 平山淑絵
個性豊かなイビサの表情
“イビサ島”といえば最初になにを思いつくでしょう? ビーチ、サンセット、ナイトクライビング、ヒッピー、チルアウト、ヒーリング、アート、ミュージックなど、たくさんのイメージが溢れてつきません。その多面性がまさにイビサ島の魅力なのでしょう。
十数年前、私がはじめてこの島に知人をたずねて来たさいに感じた印象、それは“マジック”。住んでいる人びとから感じられるユニークな人間模様、地域ごとに感じる繊細な美しさ、そして大自然がはなつ清らかに澄んだ空気のおいしさ!
どこにいても魔法に包み込まれているかのような優しいリズムに、いまでも完全に圧倒されています。近年はツーリズムの強化、土地開発などにより島の雰囲気はだいぶ変化したものの、スローで穏やかなときの流れに恩恵を感じることはまちがいありません。また、イビサは世界各国からのトラベラーが肌の色を気にせず交流できるミーティングポイントでもあり、一晩ナイトライフに繰り出せば多くの出会いがまっているはず。とくにローカルの人びとは親切で人なつこい方が多いので、肩の力を入れずに旅を満喫できます。
私がこの島に住んで共感、感慨を受けたこと、それは「“優雅”に“洗練”された毎日を生きるということは、物質的に裕福でなければいけない」──この島ではそんな固定観念は実際に蓋を開けてみれば存在しないということ。最近ではラグジュアリー化されているイメージもたしかにありますが、本来はもっと素朴で、じつに簡素なところがイビサ最大の魅力であるはず。そんな島と共存し、ライフスタイルに大きな哲学をもって生活をするひとたちがこの島には数多く住んでいます。それがイビサをここまで注目させた“真”のヒッピー精神であり、その精神は現在のような人気スポットにいたるまでの過程で大きく貢献してきたといえるでしょう。
今回はイビサで活躍するホットなアーティストと、ヒッピーの歴史を語るうえで欠かすことのできない有名な野外マーケットを紹介させていただきます。
Vol.04|Creation
ここでしか出会えない、イビサならではのクリエイション(2)
イビサに来たらぜひ立ち寄りたいカルチャースポット
島の北東部に位置し、イビサの観光名所としてはずすことのできないヒッピーマーケット「LAS DALIAS(ラスダリアス)」。今年で35周年を迎えたこの色彩豊かなバラエティに富んだマーケットは、昔の古きよき時代の面影がいまでも感じられる、とっておきの癒しスポット。売られているのはこの場所でしか手に入らない一点物のオリジナル商品ばかり。チルアウトラウンジ、バー、レストラン、そして子どもたちのための人形劇なども併設されているので、家族連れでも安心して散策することができます。
このマーケットに出店しているニットデザイナーのモーラは、60年代後半から70年代のヒッピー黄金時代に島のミューズとして数々の著名な写真家のレンズにておさめられた有名な方。いまも現役でモデル業もこなすそのビジュアルに、女として圧倒されまてしまいます。私自身も出店しているので、もしヒッピーマーケットに立ち寄られたさいは気軽に声をかけてくださいね!
Hippie Market@Las Dalias
LAS DALIAS|ラスダリアス
開催日|土曜日(通年営業、冬期は規模が縮小)、日曜日(夏季限定)、月曜日(ナイトマーケット、夏季限定)
http://lasdalias.squarespace.com/mercadillo/
注目の新進写真家が切りとるイビサの日常
イスラエル出身のNoam Ofir(ノーム・オフィール)は、注目の新鋭フォトグラファーのひとり。最近では『Pacha magazine(パチャマガジン)』の専属フォトグラファーとして活躍中。彼のレンズをとおして見るイビザの姿は、なにかを風刺しているかのようなエッジを感じられるだろう。毎年個展を開催しているので、機会があればぜひ立ち寄っていただきたい。
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ここでしか出会えない、イビサならではのクリエイション(3)
オーディエンスを日常の生活から解放させたい!
Performer artist Lizzy Bauer
http://www.phoenixartproductions.com/
ドイツ出身のLizzy Bauer(リジー・バウアー)は、レストランやイベントで引っ張りだこの人気パフォーマーアーティスト。妖艶でありながら気品ただよう彼女のダイナミックなショーはインパクト大! フェチズムが感じられるエロティックさもあれば、炎を自在に操る演出など、パフォーマーとしての完成度は高い。衣装を脱ぎ、素顔になった彼女はショーのときとはまったく別人で、笑顔が愛くるしい優しい人柄。そんな彼女にインタビューしてみました。
──自己紹介をお願いします。
リジー私はオーストリア人とドイツ人のハーフで、ドイツのミュンヘンで育ちました。幼いころから長いあいだバレエを習っていたわ。幸いなことに私の伯父がファッションデザイナーのRobero Cavalli(ロベルト・カヴァリ)だったこともあり、ファッションの世界とは密接につながっていて、そこから現在のパフォームに対する美学も生まれたんだと思う。私の美学はとてもシンプル。“つねにエレガントである”ということ。
2003年、イビサにはじめて来たときにパフォーマンスもスタートしました。最初のショーはラスダリアスで開催されたイベントで、ファイヤーパフォームのみの簡素なものだったんだけど、コスチュームもすべて私がデザインして演出しました。その年の冬には自作のコスチュームや洋服をマーケットで売るようになり、ファッションデザイナーとしての活動もはじめました。05年にはイビサタウンにトータルプロデュースしたショップ『ZOE-FASHION-IBIZA』をオープンしました。この事業は大成功に収まったのですが、それと同時にパフォーマーとしての自分から遠ざかっているのに気づいたの。もっとも自由で、自分らしくいられるパフォーマーとしての存在を確立するため、やむをえず08年にショップを閉店しました。
その直後に現在ユニットを組んでいるMax Flame(マックス フレーム)と出会い、現在の「PHOENIX ART PRODUCTIONS(フェニックス アート プロダクション)」が誕生しました。彼女とはあらゆることをクレイジーにクリエイティブできるし、アートをとおして刺激し合えるの。おかげでいまはイビサを拠点にスペイン本土、バンコク、バリ、ドイツ、ロサンゼルスなど、活動範囲はどんどん広くなってきた。もちろん日本からのオファーをいただける機会があればぜひ渡日したいわ!
──パフォーマンスに欠かせないあなたのパッションはどこから生まれるの?
私にはそれぞれのショーでちがったパッションがあるの。でも共通して言えるのは、確立した美学があるということ。美学という哲学を基盤として、つねに最先端で魅惑的にショッキングなパフォーマンスをしたい。もうひとつは“オーディエンスを日常の生活から解放させたい”ということ。ショーは日常では実現できないすべてが芸術として許される。どんなクレイジーなことも、アーティストだということですべてが可能なのよ。
──あなたにとってアイコンはいる?
私にとって“アイコン”という種類の人物は存在しません。ただ純粋にクリエイティブな美を賞賛するのみ。アートをとおして世界を変えられるアーティストは心から愛してやまないわ。
──最後に、あなたにとってイビサとは?
私にとってイビサは心温まる“家”。最初にこの島に来た瞬間から虜になったわ。これまで世界中いろんなところへ旅したけど、こんなにも自分自身を率直に感じられる場所はそう多くない。きっと、どんなにクレイジーであっても自分よりはるかに多くの“クレイジー”が存在するから、自分自身をリセットできるのね。私の住む家は隣人がいないから、自然のなかで一日中裸で過ごせるの。とてもストレスフリーな場所よ。それに、幸いにも島の女神は私の味方で、つねに物事をよい方向に導いてくれているしね!
──ありがとうございました。
Vol.04|お薦めの1枚をピックアップ!
『Cafe del Mar Vol.16』
価格|3500円
あのマドンナが名盤として挙げたことでも知られ、世界中で愛されつづけている“Cafe Del Mar”が2010年についに30周年を迎えた。こちらは2010年5月にリリースされたCafe del Mar Vol.16(CD2枚組み)。
平山淑絵|HIRAYAMA Yoshie
イビサ島、フォーメンテーラ島専門のオーダーメイドハネムーン、個人旅行、雑誌、テレビ取材撮影のコーディネイトをおこなうトラベルコーディネイター。現地を熟知した日本人コーディネイターや現地スタッフとともに上質な旅をプランニングする。
www.alohaibiza.com