米山庸二 × Chara 特別対談「振り返ってわかったこと」|M・A・R・S
FASHION / WOMEN
2017年5月29日

米山庸二 × Chara 特別対談「振り返ってわかったこと」|M・A・R・S

M・A・R・S|マーズ
米山庸二 × Chara 特別対談

振り返ってわかったこと(1)

2016年に25周年を迎えた「M.A.R.S.(マーズ)」。それを記念して送るデザイナー米山庸二氏の対談連載。今回のゲストは、同年に25周年を迎えたCharaさん。その記念グッズとして、M.A.R.Sとのコラボアイテム「シルバーボタニカルモチーフバングル」も発売。その制作秘話を含め、それぞれが歩んできた25年間を振り返ってもらいました。

Photographs by KOMIYA KokiText by TOMIYAMA Eizaburo

25周年記念コラボバングルは、花言葉がモチーフ

米山庸二さん(以下、米山) デビュー25周年おめでとうございます! 今回、記念グッズを一緒に作る機会までいただいて。

Charaさん(以下、Chara) このバングルは、花言葉がモチーフになっていて。詩的なものを身に着ける感じにしたかったんです。そのうえで、ありそうでないデザインで、華奢に見えて、家事をするのに邪魔にならないがコンセプト。すごく使い勝手のいい、かわいいアクセサリーができたと思っています。

米山 そう言っていただけるとありがたい。

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Chara 私、基本的に小ぶりの重ね着けが多いんですよ。以前、耳たぶの下にはめるように着けるピアスもM.A.R.Sさんに作ってもらったり。でも、米山さんはよくご存知ですけど、アクセサリーをよく無くすんですよね。身代わりが多すぎるって、みんなに怒られるんだけど(笑)。

米山 アクセサリーが身代わりになってくれるという話はありますよね。

Chara そうそう。ツアーをやっていると指も痩せていくみたいで、ライブ中に飛んでいったり。切れたりもするんですよ。

米山 こちらとしては、いいお客さんでもあるけど(笑)。でも、Charaさんが着けてくれると、見慣れた商品がCharaさん色になるのが嬉しい。M.A.R.Sのコンセプトのひとつに、「その人のキャラクターに華を添える存在になりたい」というのがあって。そういう意味で、見事に自分色に染めてくれる。ピンク色の髪も似合ってるし。

Chara あははは。

米山 でも、25年間精力的に活動されてますよね。

Chara マイペースですけどね。そんなに大きなハコでやるようなアーティストじゃないですし。突然ですけど、米山さんって音楽やってたんですか?

米山 学生の頃にバンドを組んでましたけど……、よくある感じです。麻疹みたいなものです。

Chara でも、音楽に憧れがあるでしょ?

米山 あるある。

Chara それはすごくわかる。ファッションをやっている人はだいたい音楽が好きだから。

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子どもがふたりできてから、時間の使い方が変わった

米山 Charaさんみたいに、思春期の麻疹にかかったまま、熱を持ったままに生きている人は輝いて見えるし、すごく刺激になるんですよ。打ち合わせとかでも、「ここでこんなワードが出てくるんだ!」ってことも多くて。そういう、瞬間、瞬間の熱を具現化したいと思って生まれたのが、今回のバングルでもある。

Chara 私はなんでも一筆書きなので。その日のヴァイブスを利用して、シュッと描くような感じ。アクセサリーに関して難しいことはわからないので、私は米山さんに思ったことをぶつけただけです。

米山 一筆書きっていうのは初期衝動みたいなもの?

Chara そうそう。そこから繋げようと思えばずっと続いていくし。キャンパスの中に描いてと言われれば、その中で収めたり。

米山 そのスタイルは昔から?

Chara う~ん、子どもがふたりできてから時間の使い方が変わったんですよね。短い時間でもできるようになっちゃった。限られた時間の中でやれる練習が、自然とできたのかもしれない。

米山 それは短くなったんじゃなくて、受信チャンネルを開けたまま普段の生活ができるようになったんじゃないかな? そのおかげで、考える時間をコンパクトにできるようになったのかもしれない。でも、お子さんができてすぐにできるようになりました?

Chara すぐにつかめましたね。最初、ヘッドホンをしながら曲を作っていたら、子どもが泣いているのに気づかなかったりもあって。それからは、時間を決めて外のスタジオで作業するようにしたんです。いまは子どもも大きいので、家でもやりますけど。

Page02. 昔の作品を改めて聴く機会を得て、変わらないものを発見できた

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米山庸二 × Chara 特別対談

振り返ってわかったこと(2)

昔の作品を改めて聴く機会を得て、変わらないものを発見できた

米山 今回、25周年でいろいろと動かれているのも、お子さんが大きくなったのと関係あるのかな。

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Chara 昔から動いていたし、それはあまり関係ないですね。レコード会社さんがお祭りをしてくれるというので、「やってくれるんだ、ありがとう!」って感じです。でも、これだけ長いと、デビューの頃から全部を知っている人はもういなくて、ベスト盤を作る時も結局は自分で選曲をしたり。

米山 僕も去年まさにそれがあって。伊勢丹さんでアーカイブ展をやらせてもらったんですけど、ブランドの歴史を知っているのは自分しかいないから自分で選んで。でも、当時のことをいろいろ思い出しますよね。

Chara 新しいモノを作るほうが好きですけど、昔の作品を改めて聴く機会を与えられると、「思っていたよりいいな」「ブレてないな」とかはあって。制作にまつわる技術は進化していても、変わらないものを発見できたり。だからいい機会でしたね。

米山 僕の場合は、「手を抜いてなくて良かった」と思ったかな。その都度、一所懸命にやってたなって。それは自分にだけわかることだけど…。でも、昔は「売れたらいいな」と思いつつ「すごく売れたらイヤだな」っていう思いもあって。どこかで「異物でいたい」みたいな感覚があって天邪鬼なところもあった。

Chara アルバムの中の数曲とか、そういうのは私もありますよ。天邪鬼というより、それが私らしさでもあるんだけど。パンクロックだけじゃなく、ソウルミュージックもファンクもクラシックも、いろいろな音楽に影響を受けているから。だからミクスチャー的に出てくる。私はこれだけじゃない、わかりやすいものだけじゃないって気持ちもあって。

米山 Charaさんが音楽を始めたキッカケっていうのは?

Chara 小さい頃、作曲の宿題が出るような音楽教室に通っていて。それから中学2年くらいまでピアノをやってたかな。習いに通っていたおうちが洋館で、グランドピアノが2台あったんです。そこに行くと自分が上品になれるような気がして好きで。でも、ある夏の日に袖のない服で練習をしていたら、先生が「♪ダリラリラリラリ~」とか口で奏でる時のツバがすごく飛んできて。それがムリでやめちゃった(笑)。お年頃だったんですよ。

米山 あははは。でも、そういう転機があったからいまの自分があるわけでしょ?

Chara あのまま音大とかに行ってたら、音楽を辞めていたかもしれない。当時すでに、ポップスやロック、ニューウェーブとか、シンセサイザーのほうに興味が移り始めていたのもあったんですけどね。

封印されていた武道館ライブ。久しぶりに見たら、なんか面白かった

米山 初めてバンドを組んだ時とか、人前に出るのは恥ずかしくなかった?

Chara チアガールをやっていたり、人前に出ることはわりと好きだったんで。そこは大丈夫でしたね。

米山 僕はお客さんの顔が見れなかったタイプだから。

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Chara でも、初めてライブハウスで歌った時は、ヘタクソ過ぎて後ろ向いて歌ってましたよ。あと、デビュー前に関係者向けのプレゼンライブがあったんですけど。幕が上がった瞬間、あまりにもお客さんがいてビビってマイクを離しちゃったり(笑)。

米山 そんな時があったんだ、想像がつかないね。

CHARA 初めての武道館はコンディションが最悪だった。妊娠がその日に発覚して不安定だし、途中からめちゃくちゃ。

米山 それは感極まって?

Chara 不安だったり、裏でスタッフが別件で喧嘩していたり、いろいろあったんですよ。昨年1日だけ映画館で流して、DVD化もされたんですけど。

米山 それを出してもいいと思えたのは?

Chara 久しぶりに見たら、なんか面白かったんですよね。当時はその映像を見て泣いちゃって。だから事務所が出さなくていいって封印されていたんです。それから時が過ぎて、演出を手がけてくれた舞台監督が亡くなった時にふと見てみたら、「なんかいいじゃんコレ」と思って。でも、すぐには出す予定がなくて、25周年で何かスペシャルなものがないか? って時に、「あの武道館を見せたいんだけど」って。

米山 その心境の変化はなぜ?

Chara いまも進化できているし、穏やかだし。客観的にみて面白いと思ったからですかね。音もグルーヴィーでファンキーで若さもあるし。

米山 へぇ~、今度見てみよう。そこから、Charaさんは男の子と女の子を育てられたわけだけど。男と女の違いで何かわかったことってあります?

Chara 人それぞれ違うから、簡単に分けられる話ではないと思うんですけど。私は妹しかいなかったから、男性のことはよくわからなかったんですよ。だから、息子が生まれてからは「男ってバカだね~」って(笑)。

米山 次の恋愛に役立ちそう?

Chara 役立つんじゃないかな。子どもたちが「ママに合うね」っていうのが、私もいいと思う。子どもは見抜きますからね。あとは、歌詞を作る時に、子どものシンプルな言葉からインスパイアされることはよくあります。若い時は、みんなが使っているような言葉を使いたくなかった。でも、子どもを産んだ後は、わりとその辺に落ちている言葉が気になって、使える言葉が増えていきましたね。

「切なさ」の中には、大切に思うポジティブな思いも含まれている

米山 常に自分を見つめた詞を書いているわけだけど・・・、その作業は辛くないのかなって。

Chara 掘りますからね。うまくリセットさせないと、普通ならうつ病になっちゃうかも。でも、私の場合はライブがあったりとか、いろいろあるんで。

米山 やっぱりステージに立つ方ですよね。今後は、どんな歳の取り方・生き方をしていきたいですか?

Chara そこまで先のことは考えてないけど……。人生はそんなに長くないかなと思っているので、瞬間瞬間を一生懸命生きていきたいし、愛について無視しない生き方をしたいし、恋愛にも臆病にならずに、失敗を恐れずに、とは思っているんですけどね。

米山 Charaさんの歌詞って、「切なさ」があるイメージなんだけど。

Chara 「切る」っていう漢字が使われているのが許せないですけど、「大切」の「切」でもあるから。あとは、一生懸命っていう意味も含まれるというか。生まれたばっかりの子どもって、動物みたいにすぐに立てないし、すごく世話をしないと何もできない。本当に切ない生き物なんですよ、でも一生懸命。

米山 ポジティブな「切なさ」なんだね。

Chara 「切ない」って一般的には「報われない思い」みたいな感じでしょ? そうではなくて、英語で言うなら「ビター&スウィート」かな。大切に思う、ポジティブな思いを込めているんです。

米山 なるほど。この話を聞いたら、改めてCharaさんの曲が聴きたくなりました。今日はありがとうございました。

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Chara
1991年シングル『Heaven』でデビュー。一貫して「愛」をテーマに曲を創り、歌い続ける日本で唯一無二のシンガーソングライター。オリジナリティ溢れる楽曲と、ライフスタイルをも含めた"新しい女性象"を体現する独特な存在感により、女性を中心に絶大な人気を得る。92年日本レコード大賞ポップ・ロック部門のアルバム・ニューアーティスト賞を受賞。96年に公開された岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』に、劇中バンドYEN TOWN BAND のボーカルとして出演し、女優としても大きな注目を浴びる。翌年リリースのアルバム「Junior Sweet」は大ヒットを記録。25周年イヤーの締め括りとして、7月19日にオリジナルニューアルバム『Sympathy』の発売、9月1日からは全国ツアーの開催を控え、益々精力的に活動中。
http://charaweb.net/

先行配信シングル
『Sympathy』
2017.5.31 配信スタート
★大塚製薬「ファイブミニ」CMソング
https://youtu.be/ymsirYBKs84

2年4ヶ月ぶりのオリジナルアルバム
『Sympathy』
2017.7.19 リリース
Amazon http://amzn.asia/7CMaaq1
TOWER RECORDS http://tower.jp/item/4502382

Chara Live Tour 2017 “Sympathy”
9.01(金) 東京 LIQUIDROOM
9.03(日) 福岡 DRUM LOGOS
9.08(金) 名古屋 ZEPP NAGOYA
9.17(日) 大阪 ZEPP NAMBA
9.24(日) 東京 昭和女子大学人見記念講堂
http://charaweb.net/live/

問い合わせ先

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03-3462-8187

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