SHIGETA|Twiggy 松浦美穂 × Chico SHIGETA エキサイティング対談(後編)
FASHION / WOMEN
2015年3月13日

SHIGETA|Twiggy 松浦美穂 × Chico SHIGETA エキサイティング対談(後編)

自分らしく、リアルに生きるという提案
Twiggy 松浦美穂 × Chico SHIGETA エキサイティング対談(後編)

「自分らしさ」ってなんだろう(1)

フランス発のオーガニックブランド「SHIGETA」を主宰するChico SHIGETAさんが、日本の女性に向けて、自然体の自分らしさを見つけるためのメッセージを発信。「きれいのかたちはひとつじゃないよ、だから、そのまんまでいいんだよ」――それを伝えるため、とっておきのゲストと繰り広げるスペシャルトーク。

Text by OPENERSPhoto by JAMANDFIX取材協力=シンシア ガーデン 1階カフェ(Tel. 03-5775-7375)


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自分で自分が認められないものは受け入れない

第2回のゲストは、ヘアサロン『Twiggy』主宰、モードの先端を提案しつづける人気ヘアスタイリストの松浦美穂さん。前編では、松浦さんのロンドンでの生活や旅の話題をつうじて自分探しの体験談を話していただきました。後編では、自分らしさを見つけるためには具体的にどうすればいいのかを探ります。

Chico ツイギー、今年で20年でしょ?

松浦 そうなの。びっくりでしょう。

Chico 20年つづけることってむずかしいと思うし、いろいろあったと思うんだけど、いちばんの原動力ってなんだろうなって聞きたかったんです。

松浦 ひととの出会いかな。私、出会いがないと新陳代謝できない気がするんです。だから接客業が天職だなと思えるの。ひとと出会うことで自分自身が新陳代謝できる、それがいまの仕事をつづけていたい要因かな。

Chico なるほどね。美容室ってある意味、外見をキレイにする仕事じゃないですか。とはいえ美穂さんの仕事って骨太でしょう。今日話をしていて思ったのが、美穂さんって「なんで」が多いよね。なんでそれをやってるのかとか、なんのためにそれがあるのかとか疑問をもつことで表層をぐいぐい掘り下げて本質に迫る。

松浦 私、勉強が嫌いなんですよ。学生のころからなんですけど、これおもしろいから勉強しようってことまではできるんだけど、努力しなきゃならない受験態勢に入ると嫌になっちゃうの。ようは興味をもったことしかできないのね。中学くらいまでは成績が良くて、そこから下がったひとは私とおなじ右脳型だと思う(笑)。逆に、そこから成績上がったひとは左脳型というか、真面目にロジックにちゃんと積み重ねることができるひと。

Chico 私、中学校1年まで成績良かったひと(笑)。

松浦 そうでしょう! そういうひとはカンを大事にしなきゃだめなのよ。私、撮影でも、ものすごく構築的にされちゃうと自分の役割がわかんなくなっちゃうの。委縮しちゃうんだよね。空気を読みながらセッションはできるんだけど、枠があるとだめなの。だからサロンが向いてるのよ。ライブだから。自分のカンだけで、ピンときたものをつくらないといけない、みたいな気がしてる。シャンプーも、つくりたいってピンときてすぐ動かないとだめだったのね、だからいまなの。自分ひとりだったら途中でやめていたと思うんだけど、そのときに「いまやめて来年できるの?」って身近なひと数人に言われて、あぁできないな、じゃあいまやるしかないなって。

Chico 熱いうちに完結しないと駄目ですよね。

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Chico SHIGETAさん

松浦 そう、熱いうちは勉強もしてるのよ。

Chico でも、1年の計画とか決められた時点でやる気なくなっちゃいますよね(笑)。

松浦 なんだChicoさんもやんちゃなんじゃない。

Chico 自分にピタッとこないものはできない。だから自分の活動にしても、プロダクトにしてもおなじで、やってることが自分と合ってないと受け入れられないですね。

松浦 結局、さっき言った自分のなかのハードルと一緒で、自分で自分が認められないものは受け入れられないのよね。

Chico そう、自分への裏切りのような感覚になっちゃうの。ものをつくるおもしろさって、自分以外の製品たちに足が生えて、自分が伝えたいことを広げてくれるような気がするんです。

松浦 そんなChicoさんを見たから、わたしもやらなきゃって思ったんだよ、ホントに。ひとつひとつに想いがこもってるじゃない。私も、もし自分がプロダクトをつくれるならそのやり方しかないって思ってたし、Chicoさんのプロダクトをつうじて、Chicoさんの想いは私につうじてたからね。そういうやり方をすればできるかもしれないって思えたの。

Chico ツイギーのシャンプー、すごい評判良いですよね。

松浦 想い込めたもん。

Chico みえないものってすごいですよね。音楽とか香りもそうだけど。かたちを限定しないから、イマジネーションが乗って気分も上がるよね。

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「自分らしさ」ってなんだろう(2)

嘘さえなければ自分らしく生きていける

Chico ところで美穂さんって、落ちることってあるんですか?

松浦 あるある。でも、神様は幸せを平等にくれてるわけだから、それを幸せと思うかは自分次第だからね。足りないと思ったら足りないし、ありがたいと思ったらありがたいし。私は本当に落ちてしまうことに対しては、恐さというか、危険を感じるときがあるかな。

Chico 落ちたらどうやって上がってくるの?

松浦 上がるというよりも、落ちすぎないように努力してる。落ち込んでる自分に嫌悪感をもてるようにしたいのね。たとえば、落ち込んでるっていうのがわかったときに、もっと落ち込んじゃえと思って暗い映画を見るんです。もっと貶(おとし)めちゃうのね。でも映画の世界より自分はましだって余裕を残すの。嫌な奴でしょう?

Chico それおもしろい(笑)。

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松浦 ひとの不幸をつらいよねって思える自分がまだいるって思えるの。そう思えなくなったら、もう這い上がってこれないと思う。だから、無意識なんだけど、日々の生活のなかにそうならないようなものを置いてる。サロンもそうなんだよね、入り口から奥に進むにつれて各国を旅するような設計に無意識になってた。

Chico 美容室って行くと気分が全然変わるじゃないですか。髪って「血余」って書くし、いままでの生活が顔のまわりにあるわけでしょう。それを断ち切るってことがすごいセラピーだと思うの。

松浦 髪を切るとスッキリするしね。髪って“気”のレベルでいうと「腎」の気なの。そういう意味では腎臓ってデトックスエリアだから、メイクセンスしてるなって思う。剃髪というのがあるように、髪にはいろいろと溜まるのよ。だから嫌なことが3回つづいたらとりあえず切る(笑)。切ることで流れが変わることもあるよ。それは私自身じゃなくてひとを切っていてそう思いました。仕事を変えるとか、場所をかえるとか、そういうひとたちは髪を切ることが多いから、切ってからこういうことがあったよって報告を受けるけど、大きく変わったひとほど良い方向に行ってる。でも逆に、フランス人とかって何十年も髪型変えないじゃないですか。それは自分の生き方に迷いがないっていう意味で、悪くないよね。

Chico フランスってすごくコンサバだと思うんですよ。女性を見てて思うのって、すごくコンセプチュアルなんです。自分で「私はこういうオンナ」っていうコンセプトが明確で、着る服も流されないし、部屋も置きたいものを置いているだけ。しゃべりかたもライフスタイルも筋が通ってるんですよね。

松浦 ホントにそう思う。日本人は欲みたいなものを人前に出すのは恥ずかしいこととされて育ってきてるから、自分のなかで収めようとするでしょう。でもフランス人って自分と向き合うどころか、ひとにぶつかるよね(笑)。

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Chico すごく文化のちがいだなって思うのは、日本って察する文化だから波風立てないじゃないですか。でもフランスはいかに解らせるかみたいな(笑)。

松浦 我慢しないっていうイメージはありますよね。

Chico フランスで「表現しない」っていうのは「なにも感じない」のとおなじなんですよ。だから我慢がないの。なにも言わないのは、それでいいと思ったってことになっちゃうんですよ。

松浦 最初は戸惑うけど、慣れるととっても解りやすいし、裏表がなくて楽しいよね。

Chico うん、不器用なひとは不器用さを丸出しにするし、人間臭いなって気はすごいする。

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「自分らしさ」ってなんだろう(3)

本気でぶつかって、自分に合ってるかどうかを考える

松浦 ときどき思うんだけど、いまの自分ってまだまだだし、認めたくないじゃない、未完成なんだよねすべてが。でも自分にありがとうって言えることをやんなきゃなって。それが唯一の進む方法かなって。

Chico 不器用なフランス人と比べると、日本人ってみんな頑張ってネイルしたり髪型も上手だし、頭のてっぺんからつま先まで完璧じゃないですか。でもみんな「わたしなんて……」って思ってる気がするの。それって表面的なものにとらわれているからじゃないのかな。私ってなんでこんなことしてるのかなって自分自身に聞いてみてほしい。冷え切っちゃった自分をそのままにしておいたら自分らしさもないよ。自分自身が心地良いかどうかって感性じゃないですか。それって自分を認めてあげたり、自分に優しくしてあげたりすることで伸びていくでしょう。

松浦 世間の評価を待ってちゃだめだし、惑わされちゃ駄目だし、世間の評価を目安とした瞬間からぶれると思う。

Chico 合わせようと、媚びようとするからね。

松浦 そうそう。わたし、アイデンティティって一生探すものだと思うんですよ。だけど自分が嫌だと思うことを受け入れてしまう嘘さ加減だけは許さない。その嘘さえなければ自分らしく生きていけるのかなって。そこで認めてあげるっていうか。自分のことを好きかどうか、自問自答もできるだけするべきだと思う。自分で自分をどこまで評価できるかが勝負だと思うんですよ。そこは頑張るべきだよね。

Chico サロンワークにしても撮影にしても、一発真剣勝負でライブだから本質を求めるのかな。勝負をつづけてるってことが美穂さんの強さなのかって思ったんだよね。

松浦 計算できないぶんだけいまやらなきゃいけないことをちゃんとしようと思ってるからね(笑)。

Chico いま、迷ってるひとって多いと思うんだけど、自信がないからすごくひとに合わせようとしたり、みんなが良いって言うことをやろうとしたり、それで必死になって空まわりしてるだけな気がする。結局は仕事でもなんでも本気でやるってことだよね。きちっとぶつかっていくことだよね。

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松浦 あとは、相性が合うひとたちで新陳代謝を良くするための努力かな。

Chico それで変わればいいと思うんだよね。新陳代謝って美穂さんが言ってたけど、変わるじゃないですか。5年前とおなじ自分なんてありえないし。そのときに変わっていけばいいことだから。一生懸命自分の年齢じゃないことしてるのってナチュラルじゃないと思うし、そのときの感性に合うものを足し算引き算して。

松浦 やっぱり文化があるからライフスタイルが生きてくるわけだし、ライフスタイルがあって文化的なものが発展していかないと東京らしくないし。コンサバティブな考え方と、日本がもつアバンギャルドさみたいなものがちゃんと一致してほしいよね。
Chico 今日は美穂さんのパワーをたくさんいただきました!

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