SHIGETA|蜷川実花×Chico SHIGETA対談(後編) すてき探しをするなら、一瞬を切り取る写真がお薦めです
FASHION / WOMEN
2015年3月13日

SHIGETA|蜷川実花×Chico SHIGETA対談(後編) すてき探しをするなら、一瞬を切り取る写真がお薦めです

自分らしく、リアルに生きるという提案

蜷川実花×Chico SHIGETA エキサイティング対談 (後編)

「すてき探しをするなら、一瞬を切り取る写真がお薦めです」 (1)

フランス発のオーガニックブランド「SHIGETA」を主宰するChico SHIGETAさんが、日本の女性に向けて、自然体の自分らしさを見つけるためのメッセージを発信する対談企画。作品も生き方もそのままリアルな第1回ゲストの蜷川実花さんをまえに、改めて、“そのまま感”の必要性を宣言したChicoさんだったが、ことはそう簡単ではないよう。そこで蜷川さんが、あるアドバイスをくれた……。

文=染谷晴美写真=打越 誠(ラッキースター)

そのストッキング熱くない? なんでいつも爪ベージュなの?

Chico そもそも表情は、そのひとの歴史があらわれてくるところ。欠点もぜんぶひっくるめてのそのひと自身というものが刻まれるから、すごく味があって、年齢を重ねるほどにどんどんよくなっていくのに、それを、シワだシミだと、あら探しをしていてはもったいないですよね。

蜷川 たしかにそのとおり。だけど、こうしてメッセージを発信したところで、果たしてみなさんそれを理解してくれるかどうか……。「自分らしく、そのままでいいんですよ」という言葉だけでは、あまりに抽象的で、じゃあどうしたらいいのというところで止まってしまうんじゃないかな。

よく聞く話として、たとえば、会社にはほんとうはこういうファッションで行きたいのだけれど、そうするとみんなにいろいろ言われるからとか、やっぱりあるみたいなんですよ。丸の内では、なぜかみんな、ストッキングにサンダル履いて歩いているとかね(笑)。

Chico ん~(笑)。自分がよくてそうしているならいいけれど、みんながそうだからじゃあ私も、というのはちょっと残念。

蜷川 ある友達は、サングラスをかけたいのだけれど、かけるとセレブ気取りと思われそうで、はずかしくてかけられないと言います。なんでー? と思いますけど、もしかしたら、きっかけはそんなところにあるのかもしれません。ストッキングを脱ぐとか、サングラスをかけるとか、ほんのちょっとしたところ。最初の一歩はそういうちっちゃいことでいいと思うし、そういうことならできると思うんですよ。小さなことがきっかけとなって、少しずつ自分を解放していける。とりあえず、きっかけづくりのお手伝いとして、会ったひとには、そのストッキング熱くない? とか、なんでいつも爪ベージュなの? とか言ってみようかな(笑)。

Chico 結局は自信なのでしょうね。日本人の気質からすれば、枠にハマっていたほうがラクじゃないですか。要は、まわりを真似すればいいのだから。そこを「別にいいもん、私はこれで」と言い切るにはきっと、勇気がいるのだと思う。

蜷川実花|Chico SHIGETA|SHIGETA|プライベートセッション 002

蜷川 勇気といえば、5歳ぐらいのとき、父に新宿の駅前で諭されたことがあるんですよ。そこは道がふたつに分かれているところ。右方向にはひとがいっぱいいて、もういっぽうにはひとがぜんぜんいない。そこで父は「みんなは右に進んでいるけれども、もし君が左に行きたいと思ったら、ひとりでもいいから絶対左に行けるひとになりなさいね」って。そんな育て方をされて、さて、その後の私はどうかといえば、ほんとうはみんながいるから右に行きたいのに、意地で左に行っちゃうような性格になりました(笑)。

Chico ハハハ。いいお話ですね(笑)。

蜷川 とにかく私はそういうふうに育てられたから、簡単に“自分は自分でいいんじゃないの”って言えますけど、ふつうはなかなかそうはいきませんよね。知り合いの女の子たちを見ていても、やっぱりみんな最初の一歩が踏み出せない。

Chico そのままでいいんだよってこと、どうやったら伝わるのかなぁ。

蜷川 ひとつ言えるのは、情報に惑わされないでってこと。たとえばここ数年、30代でも40代でも若くてきれいで、仕事もしていて子どもなんかもいたりして、とにかくきれいなお母さんというのが当たり前みたいに雑誌に出ていますけど、はっきりいってそんなの無理! あり得ないですよ。

ほとんどのひとは、死ぬ気で働いて、マスカラすら重い日々をなにくそとがんばっているのに、“こういうかたちが最高のしあわせ”みたいなことを、あっちこっちで言い過ぎているのが悲しい。そもそも、しあわせのかたちはひとつではありません。仕事にしあわせを感じるひともいれば、子育てが楽しいというひともいるし、逆に、子どもがいないひとは、子どもがいないからこそできることもたくさんあるはず。

Chico そうそう!

蜷川 ときにできないことや諦めなくてはいけないこともありますけど、そんなときこそ、いかにしてハッピーな方向にもっていくか。うれしいことって身のまわりにたくさんあるじゃないですか。そこに気づくことができたなら、毎日がもっと楽しくなりますよ。

自分らしく、リアルに生きるという提案

蜷川実花×Chico SHIGETA エキサイティング対談 (後編)

「すてき探しをするなら、一瞬を切り取る写真がお薦めです」 (2)

見方を変えるだけで、世の中はこんなにもおもしろくなる!

蜷川 楽しいことを探すなら、写真がお薦めです。写真を撮ろうと思って世界を見ると、視界がひろがって、ステキなことがいっぱい見つかりますよ。

Chico いいですね。じつはぜひうかがいたかったんです、写真のこと。蜷川さんは、作品づくりにおいて、テーマはどのように決めているのですか?

蜷川 とくに決めていません。つねに撮りたいものを撮るのみです。なぜなら、シャッターチャンスは一度しかないから。あーきれい! と思ったときに撮るのがいちばんいいんですよ。

実際、自分の作品としてお花などを撮るときは、ほとんど一枚しか撮っていません。そもそも、いい写真を撮ろうとは思わない、とにかく「あーきれい!」って、ただそれだけ。ほんと、目がカメラだったらいいのにっていつも思うくらい、そこに余計なものはなくて、蜷川実花っぽいとかどうとかそんなのもどーでもよくて、唯一あるのは、感情とシャッターを押すという行為がどれだけ近づくかってことだけなんです。

Chico 興味深いですね。その「あー、きれい」と感じるものに、なにかしらの共通点はあるのですか?

蜷川 うーん、どうでしょう。あまり意識したことはないですね。ただ、シャッタースピードって、1/60とか1/30秒とかありますけど、たとえば1/30秒だったら、1秒を30個に割ったうちの一瞬が写るわけですよね。そうやって考えるとすごいなと思った瞬間があって、やっぱり写真というものはなにかを残すもの、しかもそれは単純に、目で見た花がきれいだったということだけではなく、だれだれと一緒にいたからきれいに見えたとか、その花を見たときは夕陽を背中に浴びてまろやかな気分だったとか、気持ちや情景までぜんぶ封じ込めて残すものなんだと実感したことがあります。

Chico それは、時間を切り取るという感じですか?

蜷川 そうですね。よく言われる言葉ですけど、でもそれを、ほんとうに実感できた瞬間でした。

Chico なるほど。

蜷川 見方を変えるだけで、世の中ってこんなにもおもしろくなるんだなと、改めて思いますね。だから、ぜひみなさんもやってみてほしい。

この10分間で好きなものを撮ってきてくださいとカメラを渡されたら、絶対ステキなことを見つけようと必死になるから、おもしろいものにたくさん出会えるはずですよ。

Chico ステキなことに出会うとわくわくしますよね。そして、そういう刺激がひとをきれいにするのだと思う。ということは、どうやったらひとはきれいになれるかというクエスチョンには、“すてき探し”という答えが当てはまりますね。


自分らしく、リアルに生きるという提案

蜷川実花×Chico SHIGETA エキサイティング対談 (後編)

「すてき探しをするなら、一瞬を切り取る写真がお薦めです」 (3)

わくわく感は伝染する、だから、みんなでわくわくしましょう!

蜷川  すてき探し、いいですね。私は、撮るぞーって思うとそういうスイッチが入るので、いろんなものがキラキラと見えます。これって、どう考えても精神衛生上もいいと思うので、お薦めです(笑)。

Chico わくわく感というのは伝染すると思うんですよ。だから、みんなでわくわくしましょう。

蜷川 大人になると、どうしても他人と自分を比べてしまって、「私なんか、私なんて……」になりがちですが、私に言わせればそれは時間の無駄。ちょっと意識してみれば、しあわせなことってごくふつうにあると思うですよね。たとえば、紅茶がおいしく煎れられてしあわせとか、ふとんがほかほかしてしあわせとか。

Chico ほかほかしたふとんは、いい匂いがしてしあわせとか(笑)。

蜷川 そうそう(笑)。とにかく、そういう瞬間を見つけるだけでもちがうと思いますよ。前向きになって自信がつきます。ただし、ときには比べることも大事。といっても、それは“自分自身”ですけど。

Chico え? それはどういうことですか?

蜷川 私は年々きれいになる! って、勝手に決めているんですよ(笑)。だから、去年よりきれいかなとか、一昨年よりはマシかなとか、いまの自分を過去の自分と比べてみるんです。仕事においてもそう。まえの自分よりもがんばれているかなとか、まえの自分よりスピードが落ちたなとか、クリエイションは大丈夫かとか、自分自身とはつねに比較していますね。

Chico すごい! 蜷川さんて、自分のライフにむちゃくちゃ真剣ですね。

蜷川実花|Chico SHIGETA|SHIGETA|プライベートセッション 004

蜷川 ぼーっとしているのがいやなんですよね。ひまさえあればちょこちょこなんかやっている。いまは実家の庭いじりに凝っていて、毎週末、実家に行っては、花の苗をざくざく植えています。ま、そんな感じで、オンもオフも真剣に(笑)。

Chico というより、オンもオフもないんじゃないですか? 分ける必要、あまりなさそう。

蜷川 そうですね。結局は、植えた花はバシバシ写真に撮っているし、仕事は仕事で、おもしろすぎて、遊んでいるみたいだし(笑)。

Chico 私もおなじです(笑)。楽しいならオンオフを分ける必要はない。そのまんまでいい。自分らしくいきましょう!

今日はお会いできてほんとうに感激でした。蜷川さんのモノづくりに対する姿勢や視点など、お聞きできたことはすべて、なるほど~と思うことばかりで、ほんとうに“おもしろい”。生き方そのものがエキサイティングです。

蜷川 Chicoさんこそ!ですよ。

Chico 今日はいろんな思いを共有できて、とっても楽しかったです。ありがとうございました。

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スペシャルBioビューティーイベント>

2010年9月6日(月)、7日(火)各日15:00~16:00
ビオ・パスカル主宰 美容家 吉川千明 × SHIGETA主宰 Chico SHIGETAによるトークショーを開催!
取材協力

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