EDUN|高尚な精神性をもつブランド
FASHION / NEWS
2015年5月19日

EDUN|高尚な精神性をもつブランド

EDUN|イードゥン

アフリカの将来性の拡大と産業の活性化を

目的とする高尚な精神性をもつブランド(1)

通常、ファッションブランドは、お洒落を楽しむことが第一義だろう。しかし、ここに紹介する、アリ・ヒューソンさんと、彼女の夫でU2のボーカリストであるボノによって設立されたイードゥンは、それはあくまで手段であり、目的はべつにある。今回、来日した、設立者であるアリ・ヒューソンさんに、その熱き思いを語っていただいた。

Text by OPENERSPhotos by JAMANDFIX

ハイファッションとアフリカ支援を融合させた希有なブランド

まず、イードゥンをより知るために、ブランドバイオグラフィをご紹介しておこう。

ブランド名の由来は、ヌード(NUDE)の逆さ綴りであり、楽園(EDEN)をもじったものだ。自然にもどるという意味が込められている。服の素材、服の製造者、服の製造場所、服を着るひと、の4つに敬意を表してある。

イードゥンは2005年の春にAli Hewson(アリ・ヒューソン)と、彼女の夫でU2のボーカリストであるBono(ボノ)の2人によって設立された。“社会的・倫理的に美しい服”をテーマに途上国支援の仕組みを取り入れ、アフリカの将来性の拡大と産業の活性化を目的とするブランドである。

2007年、原料の生産から縫製まで、すべてアフリカでつくられた真っ白なTシャツのライン ”EDUN LIVE” をスタート。

2009年には、パリを活動拠点としていた北アイルランド出身のデザイナー Sharon Wauchob (シャロン・ワコブ)がクリエイティブ ディレクターに就任。LVMHのサポートによって、イードゥンは世界的ファッションブランドとして成長するための高度な知識と構造基盤を確立し、これらの変革によってアフリカにおけるビジネスをより現実的なものとしたのである。

商品生産の供給網はアフリカにとどまらず、ペルーやポルトガルなど世界中へ拡大。現在EDUN LIVE のTシャツもふくめ、商品の約80パーセントをアフリカで生産している。最近ではチュニジア、タンザニア、ケニアでも生産をおこない、アフリカでの生産能力を高めていくことに注力しつづけている。

EDUN|イードゥン

アフリカの将来性の拡大と産業の活性化を

目的とする高尚な精神性をもつブランド(2)

アリ・ヒューソンさん インタビュー

才色兼備……。まず、イードゥンのアリ・ヒューソンさんにお目にかかり、浮かんだのがこの言葉だった。50歳にしてこの美貌、故郷のダブリンの大学で社会学と政治学を修め、ある大学からは名誉博士号も受けている。内面の美しさまでもが、凜とした印象として直截的に伝わってきた。U2のボノの奥様であるが、その文脈でアリさんを捉えるのは愚にもつかぬ話というものだろう。お話をうかがい、印象は確信へと変わった。

──イードゥンをつくろうと思われたきっかけを教えてください。

アフリカの土地でブランドをやりたいと思ったのが、きっかけです。ボノがマクロのレベルでアフリカで活動していたので、私はマイクロのレベルで、もっと土地でなにかができないかと思いました。アフリカはご存知のとおり発展途上国がほとんどですので、なにかエイドつまり援助を補っていけないか、そこに住む人びとの生活に貢献できることはないかと思いはじめました。

──いろいろな方法があったと思いますが、ファッションを選んだ理由はなんですか。

もともとコットンの産地であることが大きな要因です。くわえて、服をつくる工場もありました。つまり服をつくる基盤が整っていたのです。ですが、実際に服をつくり、それをビジネスに進めていくプロセスというものがなく、そこに着目してはじめました。そこにいる人びとの仕事をつくるということです。

1985年にエチオピアの難民キャンプに5週間ほど滞在し働きました。当時は食料飢饉が終焉に向かっている時期ではありましたが、自分としてはこれまでにない貴重な経験でした。貧しく飢えている人びと、飛び交うハエなどを目にしましたが、なんて美しい国なんだろう、なんて強い精神をもったひとたちなんだろうと思いました。すごくセクシーで、すごくあたたかみのある人びとなのです。アフリカは過去のものではなく、アフリカの未来をそこに見たのです。そのとき、今後自分がなにか支援できることがあると確信しました。

──イードゥンは順調に推移していますか。

ブランドがうまくまわりはじめたのは、2009年にLVMHが資本提携をしてくれてからだと思います。会社として、ビジネスとしてLVMHがノウハウを提供してくれました。ビジネス、デザイン、製品が一体となり、うまくいい方向に動きはじめたのです。たとえれば、それまではテーブルの脚が3本しかなくグラグラしていたのが、おかげさまでとても安定した状態になり、これからもいい方向に成長していける可能性があると感じています。素材や製品もすばらしいですし、クリエイティブディレクターのシャロン(・ワコブ)もとてもいい仕事をしてくれています。今後はマーケットに、どういうアプローチをしていくかが課題です。そして、アフリカに貢献していけるかが重要です。もともとそれが私たちのミッションですから。私たちががんばればがんばるほど、アフリカに貢献できるからです。

EDUN|イードゥン 03

──シャロン・ワコブさんを起用された決め手はなんでしょうか。

LVMHの傘下になり、デザイナーを探していました。何人も面接をしましたが、シャロンはデザイナーとして思慮深く、くわえてアフリカでの活動に対し一番理解を示してくれました。私はとてもいい決断をしたなと思っています。シャロンはアメリカでは無名でしたが、アジアやヨーロッパではライジングスターとしてとても有名でした。イードゥンはアメリカ基盤ですので、彼女がこれからどれだけ認知度を上げていくか、とても楽しみです。彼女は農家の娘さんでもあり、アフリカで数多くのファーマーと仕事をすることにも、とても理解を示してくれます。

──2012年のメンズ春夏はデニス・ホッパーからインスパイアされていますね。

彼の生き方やスタイルすべてがインスピレーション源になりました。彼は俳優であると同時にアーティストであるという、2つの側面をもっています。その点においては、彼はパイオニアなのではないかと思います。スタイルの品格やマインドなど、そういうものに動かされコレクションをつくりました。コレクションでは、スタジオでの格好からハリウッドでのフォーマルな衣装といった、現代のアーティストと俳優の一日の生活を表現しています。

──今後のビジョンをお聞かせください。

つづけていくことが、目の前の目標です。とても美しい製品をつくり、認知度を高め、多くのひとに着てほしいと思います。クオリティの高い素材を使い、いい製品をつくりつづけたいと思います。イードゥンの服を着てくださる方が格好よくなるでだけでなく、着心地もよくなければなりません。これをつづけることが、アフリカ支援というミッションもつづけることになります。私たちの服を着る男性は、みんなクールですよ(笑)。ジャスティン(・ティンバーレーク)もEMAの授賞式でジャケットを着てくれてました。

──OPENERES読者にメッセージをお願いします。

OPENERES読者にイードゥンは合うと思います。なぜならコンセプトが、ニュー・ラグジュアリーですので、見た目も着心地も満足していただけるでしょう。ぜひ、イードゥンを着てみてください。

Ali Hewson / アリ・ヒューソン
EDUN CO-FOUNDER。1961年アイルランド生まれ。1985年にエチオピアを旅し、その地で仕事をする。この経験から得た知識がアリの貧困に対する見方を変え、アフリカでの機会向上のために活動したいと願うようになる。その後、アイルランドにもどり、ユニバーシティ・カレッジ・ダブリン(University College Dublin / UCD)にて社会学と政治学を修了。アリはアイルランドを拠点に、積極的にチャリティに打ち込んだ。CCPI(チェルノブイリ・チルドレンズ・プロジェクト・インターナショナル)では、原子力発電所の事故からいまだ身体的、そして社会的にも問題を抱える当地の人びとへ、援助物資を届けるためみずから頻繁にダブリンからチェルノブイリへとクルマを走らせた。この功績が認められ、2002年にユニバーシティ・カレッジ・ゴールウェイより名誉博士号を与えられる。彼女はEDUN 以外にも、Bryan Meehan(ブライアン・ミーハン)とともに、2007年の自然化粧品 Nude の設立にもかかわっている。

コロネット
Tel. 03-5216-6517

           
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