MARGARET HOWELL|「BEATITUDE」デザイナー足立二郎が語るマーガレット・ハウエルの魅力
FASHION / MEN
2015年2月2日

MARGARET HOWELL|「BEATITUDE」デザイナー足立二郎が語るマーガレット・ハウエルの魅力

MARGARET HOWELL|マーガレット・ハウエル

「BEATITUDE」デザイナー足立二郎が語る、マーガレット・ハウエルの魅力

変わらない安心感、変わっていく時代感

1970年代後半、高校生時代に週5日、原宿のビームスに通って、洋服の楽しさと触れあい、それがきっかけとなってビームスに入社。さらに、ユナイテッドアローズの創立に参加し、企画とバイイング、ディレクターを経て、「BEAUTY&YOUTH」のクリエイティブディレクターとして活躍。現在は、ファッションブランド「BEATITUDE」のデザイナーを務める足立二郎さん。自身の創作活動と、マーガレット・ハウエルの服づくりの接点から、現在のメンズファッションを語る。

Text by KAJII Makoto (OPENERS)

英国の伝統をブレイクスルーするような一枚のシャツとの出合い

「BEAUTY&YOUTH」のクリエイティブディレクターだったころ、セレクトショップでマーガレット・ハウエルを最初に買い付けたのが僕で、スタートしたばかりのMHL.とメインラインをバイイングしました。MHL.は現在も別注Tシャツをリリースするなど、とても良い関係をつづけています。

マーガレット・ハウエルの服とはじめて出合ったのはビームスに勤務しているときで、僕たち世代はmade in U.S.A.で育っていたので、とても新鮮でしたね。マーガレット・ハウエルといえば、今でもシャツが代表だと思いますが、当時、ドレス素材の生地を使い、女性が着るような中性的なイメージを発するシャツは、それまで見たことがなく驚きでした。シンプルなんだけど、イギリスの伝統的なものを打ち破るような、ヴィヴィアン・ウエストウッドのパンクともちがう、精神的なパンクを、ハウエルの一枚のシャツから感じたものです。そこに惹かれましたね。

個人的な意見ですが、マーガレット・ハウエルと、初期のコム デ ギャルソン シャツは相通じるものがありますね。素材はベーシックだけど、トラッドで、遊び心があって、一枚で着ても存在感があり、着ているひとのキャラクターがスッとおさまる。そのひとの着方でプラスアルファが出せるシャツは今もなかなかありません。

マーガレット・ハウエルが、たんなるベーシックに見えない秘訣

2013春夏コレクションを見ても、ただのベーシックに見えないところに、すごみを感じます。僕も自分で服をつくっているからわかるんですが、デザインを足しすぎず、引きすぎず、シンプルだけど、ただのシンプルに見えない服づくりはとても難しい。シャツの襟のデザインなど、ありそうですが、これはとても難しい。メンズではデザイン、素材、色、シルエットなど、男性デザイナーでは深掘りしてしまうところを、女性ならではの感性で、シンプルな美学を貫いているのは、ビームス時代に感じたのと今もまったく変わりません。

今シーズンのルックを見ると、グレーをメインにした配色が好きですね。全体のバランスと、フィット感もいい。グレーのジャケットと紺のショーツのコーディネイトは、トップスのグレーグラデーションがきれいですね。こういうグレーは僕たち日本人には出せないもの。シンプルな合わせのなかに上品さがあって、アートスクールに通う男の子が着るような自由さを感じます。とてもハウエルらしいですね。また、ジョンスメドレーのボーダートップスのコーディネイトは、ぱっと見シンプルですが、トップスをインに着こなして新鮮に映ります。

作り手からも着る側からも、理想的なブランドの理由

自分の服づくりでは、トラッドマインドのあるものが好きで、あまり奇をてらわず、着やすく、遊び心があるものを基本にしています。一番こだわっているのは、縫製、パターンと素材、とにかく“毎日手に取れる、着やすい服”をつくっていきたい。マーガレット・ハウエルの服も、一見、なにも変わっていないように見えますが、実際着てみると、きちんとフィット感は時代に合わせていますね。毎シーズン、“変わらないと感じる微調整”をほどこすことで、着ると新鮮さを感じられて、それが、変わらない安心感に繋がっているのでしょう。服をつくっている側からも、着る側からも、理想的なブランドといえますね。

また、ジョンスメドレーやフォックスブラザーズなど、マーガレットが自分の身近に置いているものや、好きなものをちゃんとつなぎ合わせて、一つの協同体のように、アクト・ローカルでものづくりをしている姿勢にも共感します。

MARGARET HOWELL|BEATITUDE 02

足立二郎|ADACHI Jiro
1963年神奈川生まれ。デンパルマネンテ代表。元ユナイテッドアローズ クリエイティブディレクター。20歳のときにはじめて訪れたパリの街に強い衝撃を受け、「美しさ」を探求する旅をはじめる。80年代一番刺激的であった、パリとロンドンのファッションカルチャーの洗礼を受け、自身のスタイルを確立する。26歳のときに、ユナイテッドアローズ設立に参加し、チーフバイヤーとして世界中を歩き回る。
2009年に自身のブランド「BEATITUDE」を立ち上げ、現在にいたる。座右の銘は、「WALK IN BEAUTY」。JAZZとDUBと植物を愛し、「美」を学び直す探求の旅をつづける。

ファン待望の「マーガレット・ハウエル」「MHL.」
ブランドムックが2冊つづけて発売

過去2回発行され、直近では2010秋冬シーズンに発行されて以来、2年半ぶりとなる「マーガレット・ハウエル」のブランドムックが3月上旬に発売予定。
今回も、ロンドンでのマーガレット・ハウエル本人への取材のほか、ウイメンズ&メンズのショーのレポートをはじめ、マーガレット・ハウエルのクオリティにかんするこだわりを垣間見ることができる、イギリス各地のファクトリー取材や、各界に広がるファンの方への取材など、2013春夏のアイテム紹介にくわえて、非常に深くブランドを掘り下げた内容になっている。
気になる付録は、タイムレスに長く使えるデザインと素材のグレーのコットンキャンバストートバッグだ。
また、4月上旬にはマーガレット・ハウエルのカジュアルライン「MHL.」初のブランドムックも発売を予定。1冊まるごとMHL. ムックで、こちらも充実の内容で期待が高まる。

MARGARET HOWELL|BEATITUDE 03

アングローバル
Tel. 03-5467-7874
http://www.margarethowell.jp

           
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