菊池武夫と大久保篤志が“ブランド30周年ファイナル”を語る|TAKEO KIKUCHI
TAKEO KIKUCHI|タケオキクチ
“TAKEO KIKUCHIブランド30周年ファイナル”アイテムが発売
菊池武夫と大久保篤志が30周年ファイナルを語る(1)
「あっちゃんと合うといつもおもしろい情報をもらっている」という菊池武夫氏と、「先生はいつも変わらない雰囲気で、照れくさいけど合うとうれしい」という大久保篤志氏。両氏が、“TAKEO KIKUCHIブランド30周年ファイナル”を飾るコラボレーションアイテムを発表した。大久保氏はその「The Stylist Japan × TAKEO KIKUCHI」スリーピースを着用しての登場となった。
Photographs by KOBAYASHI ItaruStill Styling by INADA IsseiText by KAJII Makoto (OPENERS)
声をかけていいのかわからない存在
大久保篤志(以下 大久保) 先生とはじめて会ったのはトゥーリア(六本木にあったディスコ)のバーでしたね。それまではこちらから声をかけていいのかわからない存在でした。
菊池武夫(以下 菊池) あっちゃんはノリノリでギラギラだったね(笑)。
大久保 先生に「君はいつも派手なネクタイをしてるよね~」って声をかけられたのを鮮明に覚えています。
菊池 それから僕のファッションショーを手伝ってもらった。
大久保 そうです。最初は、渋谷のBUNKAMURA『シアターコクーン』で開催された1990年秋冬コレクションの「菊池武夫大博覧会」でした。翌91年秋冬は西麻布のTKビル3階のアトリエでおこなわれたショーでスタイリングをしたことも覚えています。
菊池 マーク・パンサー君がモデルで出たショーだったね。
大久保 そのフィッティングのときに、これはこうしたほうがいいんじゃないかなと思って、先生に「あれを変えてみていいですか?」とたずねたら、先生が「あ、いいよ」って言ってくれた姿、あの表情が今でも忘れられなくて……。時間は経ったけれど、先生はあれからずっと変わっていません。
菊池 僕には仕事している感じがないんですよ(笑)。仕事感も緊張感もないよね(笑)。
菊池武夫の遊び心から生まれる服
菊池 ファッションショーのためにニューヨークからバスケットチームのメンバーが来たときのこと覚えてる?
大久保 ありましたね。92年の春夏コレクションだったと思います。ワールド西麻布ビルの地下が会場でした。
菊池 あのフィッティングのとき、あっちゃんが「ジャージーとシャツ袖をドッキングさせたアイテムはどうですか?」と言って、その場で洋服をつくったことがある。アイデアがすごいと思ったね。
大久保 そんなこともありましたね。でも先生の遊び心には負けますが(笑)。先生は仕事も生き方も、音楽、クルマ、酒の飲み方まで、どれも楽しんでいて、粋でカッコイイ。それが全部洋服にあらわれている。男の服って女物とちがってバリエーションがないから、結局、そのひとの色やカタチとか、「これがかっこいいよ」という思いがストレートに表現される。先生はいつもアンテナを張っていて、遊び心が発想となって出てくる。それを30年以上つづけているのはすごいことです。
31年目のTAKEO KIKUCHIとは
菊池 ブランドは昨年30周年を迎えましたが、自分では意識していなくて。1年1年積み重ねてきただけで、節目として30周年をおこなったわけ。ずっとショーをやっていなかったから、「自分がいまかんがえている洋服の姿を世に出したい」と、この3月に13年ぶりにショーをやって、終わったら冷静になった(笑)。
大久保 3月のショーを拝見して、裏方を手伝ったことがある人間として、「これだよ」って思いましたね。
菊池 30年間ブランドをつづけることは大変だけれど、楽しければ継続できる。
大久保 そうですね。楽しくなければつづかない。朝起きて、「今日何を着ていこうかな」というのが楽しいんです。スーツを着たり、カジュアルにしたり、毎日のコーディネートをブログ(http://ameblo.jp/ohkubo-atsushi/)にアップしていますが、この気持ちがなくなったらダメだろうなと思います。
Page02. 対談&アイテム紹介(2)
TAKEO KIKUCHI|タケオキクチ
“TAKEO KIKUCHIブランド30周年ファイナル”アイテムが発売
菊池武夫と大久保篤志が30周年ファイナルを語る(2)
大久保篤志氏は、菊池武夫氏が一度現場を退いたさいに最後のコレクションのスタイリングを手がけ、2003年に発行されたSWITCH特別編集号『ISSUE ♯1 Bon Voyage〜菊池武夫の選択』では、浅野忠信氏のスタイリングページを担当するなど、ふたりは縁が深い。最近では大久保氏が手がけるブランド「The Stylist Japan」の商品が旗艦店『TAKEO KIKUCHI渋谷明治通り本店』で展開されている。ブランド設立30周年記念コラボレーションアイテムは9月18日(金)より、TAKEO KIKUCHIの限定店舗と、TAKEO KIKUCHIオフィシャルサイト内 オンラインストアで発売される。
バランスがすごくいいワークウェア
菊池 ブランド30周年の最後を飾るフィナーレであっちゃんのブランドThe Stylist Japanとコラボレートできたのはとてもうれしい。あっちゃんのアイデアやコーディネートは、僕のキャリアのなかで重要なファクターなんですよ。
大久保 今回のコラボレーションは、僕が一番好きな定番のカタチでリリースできたのが本当にうれしい。このスーツは、「ストリートウェアを着ている若者がスーツを着たら」という発想からつくったもので、長年つづけて少しずつ浸透してきたもの。今回のコラボレーションでまたひとつカタチになりました。
菊池 バランスがすごくいいワークウェアで、カジュアルなんだよね。
大久保 そうですね。自分が着たいように着てほしい服ですが、どこか素直にいたくない、崩したい、なにか裏切りたいという気持ちが投影されています。
菊池 あっちゃんのつくる服は基本的にベーシックだけど、すべてがベーシックなものはない。これもあっちゃんの地のあらわれですよ。自分で着たい服を自分でつくるのはいいね。
30周年ファイナルコラボレーションアイテムを紹介
スタイリスト大久保篤志氏の夢をひとつひとつカタチにしていくブランドThe Stylist JapanとTAKEO KIKUCHIがコラボレート。大久保氏のキャリアとセンスが惜しみなく注がれたコレクションは、まさに“大人の男服”と形容すべきだ。今回は、The Stylist Japanの定番的なスリーピーススーツと、2015年秋冬 TAKEO KIKUCHIコレクションのショーピースとして使用されたヘリンボーンツイード素材を組み合わせたもの。
「ワークウェア素材のスーツをつくりたくて」と大久保氏が言うとおり、ジャケットは2ボタンのダーツ・ベンツなしのシルエットで、3つのパッチポケットと、フロントと袖にはアンティークのメタルボタンが備わり、着丈はやや短め。パンツはストレート気味のシルエットとなっている。カラーはブラウンとネイビーの2色展開となる。
過去にショーをサポートしてもらったルシアン・ペラフィネ氏との交流から生まれた「lucien pellat-finet × TAKEO KIKUCHI」からは、スワロフスキーでかたどったメガネがデザインされているニットと、ベースボールキャップが登場。
lucien pellat-finetのアイコンであるスカルに、TAKEO KIKUCHIのシンボルマーク的なポーラーハットとメガネを組み合わせたユニークなモチーフを、上質なスコットランド製カシミアニットにインターシャで表現。ベースボールキャップは、メルトンとレザーという異素材の組み合わせに、スカルモチーフが異彩を放つ。このコラボレーションアイテムは、9月18日(金)よりTAKEO KIKUCHI限定店舗とオンラインストア、そしてルシアン ペラフィネ直営店でも販売される。