壽村太一が語るマーガレット・ハウエルの男性像|MARGARET HOWELL
MARGARET HOWELL|マーガレット・ハウエル
Interview with SUMURA TAICHI
「マーガレット・ハウエル」の店頭で配られる、2015-16年秋冬メンズコレクションのカタログのコーディネートを手がけたのは、メンズのファッション誌をはじめ、タレントや広告などを幅広く手がけるスタイリストの壽村太一さん。このブランドでは馴染み深い「FOX BROTHERS(フォックスブラザーズ)」と、初登場となるスコットランドの「Lovat(ラバット)」の生地を用いたセットアップの着こなしかたについて話を聞いた。
Photographs by HATANAKA Kiyotaka(takahashi office)Styling by SUMURA Taichi(SIGNO)Hair by KANADA(LAKE TAJO)Model by JAMES ALLEN(EXILES)Text by KAJII Makoto(OPENERS)
マーガレット・ハウエルの世界観と空気感
――カタログのスタイリングを組むにあたって、「マーガレット・ハウエル」の2015-16年秋冬メンズコレクションをご覧になっていかがでしたか。
今回も英国らしいファブリックを中心に使っているということと、落ち着きを感じさせるトーン・オン・トーンのコーディネートによるランウェイショーのモデルのスタイルが印象的でした。ほどよいボックスシルエットのジャケット、そして、テーパードされたものからワイドシルエットのものまで揃うトラウザーズまで、一見、シンプルながら、じつに計算されたコンテンポラリーなコレクションに仕上がっていると思います。
――先シーズンとの違いはありますか。
カタログのスタイリングでも使いましたが、ランウェイでは、タートルネックのセーターを用いたネックまわりの変化や、トラウザーズの丈の長さと靴、そこに合わせるソックスなど、ちょっとした変化を加えることで個性的に見せているのが上手いなと思います。全体的には、マーガレット・ハウエルらしい世界観と空気感を感じますね。
――マーガレット・ハウエルの好きなところを教えてください。
まずブランドとしてクリエーションがつねに定まっているところが大好きです。イギリスらしさはきちんと残しつつ、着こなしやレイヤードで難しく感じさせないのも特徴です。オーセンティックなアイテムを素材感やディテールでいまっぽく落とし込んでいるので、ワードローブにも加えやすいですね。
シンプルなものをシンプルに生かす
――今回のカタログのスタイリングのポイントは。
まだ秋の気配がはじまったばかりなので、ジャケットにシャツやタートルネックのセーターを合わせるぐらいがちょうどいいし、それが最もシンプルで美しいと思ってコーディネートを組みました。とくに気に入ったのは、色使いのほどよい上品さですね。「Lovat」の生地「FINE MERINO SHADOW CHECK」は、落ち着いたグレーのチェックが大人っぽいモダンな雰囲気を感じさせます。また「FOX BROTHERS」の生地「SUPER FINE SERGE」を使ったセットアップは正統派。タイドアップはもちろん、カジュアルにも着こなすことができます。どちらも絶妙なサイジングで、とても身体に馴染みやすい。こういうセットアップは、シンプルなコーディネートのなかで “引き算” と “足し算” するだけで見映えがよくなります。
――カジュアルなアイテムではいかがですか。
いちばん気に入ったのは「BARBOUR(バブアー)」のジャケットです。オイルを染み込ませたコットンポプリン素材で、ツヤ感を残しながらも素材には軽快感があり、さまざまなスタイリングに応用できそうです。さらっとハイゲージのニットを合わせたり、セットアップに羽織ったり、英国らしさを様々な着こなしで楽しめるのはバブアーならではの醍醐味ですよね。「MHL.」のワークテイストのジャケットやトラウザーズも、素材感にこだわっていて利便性の高いアイテムに仕上がっています。
――メンズのスタイリングのおもしろさを教えてください。
モデルやタレントは、そのひとにいちばん似合う服でスタイリングを考えますが、自分で着るものは、納得のいくものをとことん探すことでしょうか。つねにあたらしいアイテムやブランドにチャレンジするのも洋服の楽しさですが、男性の場合は、服がもつテイストやサイズなど、自分のイメージに合ったブランドやショップを見つけることがおしゃれになる近道のひとつだと思います。
――マーガレット・ハウエルが似合いそうな男性像は。
性格が穏やかで、ほどよく力が抜けていて、ふらっと登場しそうな知的な男性。スタイリングにもそういうムードが出ていると思いますし、そんな雰囲気を纏いたいひとにはぴったりのブランドだと思います。
壽村太一|SUMURA Taichi
スタイリスト。1976年生まれ。大西陽一に師事し、2005年に独立。『MEN’S NON NO』『UOMO』(共に集英社)、『BRUTUS』(マガジンハウス)などのメンズファッション誌のほか、広告やカタログ、タレント、ミュージシャンのスタイリングを手がける。ドレスアップからカジュアルダウンに至るまで、時代の空気感に合わせた、ジャンルにとらわれない服の提案が支持を集めている。