小木基史が解説するメンズファッションの潮流(2)|UNITED ARROWS & SONS
UNITED ARROWS & SONS|ユナイテッドアローズ&サンズ
「スーツはカジュアルの延長線上にあるもの」だとわかってきてからドレスが面白い
小木基史が解説するメンズファッションの潮流(2)
小木“Poggy(ポギー)”基史氏がディレクターを務め、自身の愛称を冠して今季ローンチしたオリジナルレーベル、「POGGYTHEMAN」のジャケットを着て登場した小木氏。「ユナイテッドアローズ&サンズ」について、「自分たちの強みであるスタイリング提案を強化していきたい」と心強い言葉を発した。
Photographs by SUZUKI Shimpei Text by KAJII Makoto (OPENERS)
思春期のカルチャーを背負って立つデザイナーたち
いまの時代のストリートから発生する“カルチャー”と、ユナイテッドアローズのDNAのひとつである“クオリティ”を掛け合わせ、あたらしいメンズファッションを提案するユナイテッドアローズ&サンズ。その先頭に立つ小木氏に、現在のメンズファッションについて聞いた。
――小木さんのインスタグラムを見ていると、とても忙しそうですね。
仕事は楽しいです。海外に行く機会も増えていて、このまえはバンコクでユナイテッドアローズ&サンズのデニムを履いているひとを2人見かけました。本当にインバウンドのお客さまは増加していますね。アジアの展示会を見ても、買い付けるブランドはまだそれほどありませんが、レベルは着実に上がってきていますね。
――小木さんはいまのメンズファッションの傾向・特徴をどう見ていますか。
いま、顕著になったわけではないですが、ビッグメゾンにいるキム・ジョーンズやウミット・ベナンらは、自身が思春期に影響を受けたカルチャーがストリートカルチャーで、それぞれのメゾンで自分らしさを貫きながらクリエイションしています。そういうところには注目していますね。
いろいろな目線でクラシックを楽しむ
――小木さん自身もよく語っていますが、ストリートカルチャーの影響が大きいですよね。
そうですね。ストリートファッションに影響を受けて育って、ユナイテッドアローズに入ってからはカジュアルセクションで働いていたので、スーツなどのドレスとは無縁な生活を送っていました。それが年齢を重ねて、結婚式などでスーツを着るようになったら、ユナイテッドアローズで働いている意味を理解するようになったんです。
――スーツを着る機会が増えて、何かがわかったと。
エディ・スリマンがやっていたディオール・オムのスーツを着てみたりしましたが、ドレスにはまるようになったのはトム・ブラウンの出現ですね。ブラックフリースとか、“ラグジュアリー・アイビー”のスーツスタイルが出てきて、「アイビースタイルのスーツはカジュアルスタイルの延長線上で着られる」と理解してから、おもしろみがわかってきました。
――なるほど。壁を越えられたんですね。
それから大久保篤志さんの「The Stylist Japan」の遊びのあるスーツスタイルなどがわかってきて、ストリート好きだった自分が、ユナイテッドアローズで働いてスーツを学ばせてもらって、いまやっと両方が楽しめるようになってきたのかなと。いろいろな目線でクラシックが見られるようになったんです。
――どんなドレススタイルに憧れますか。
昔のピッティ・ウオモにいたスーツスタイルの男性は、プライドもハードルも高かった気がします。そういうひとたちとコミュニケーションをとってどんどん信頼されていく、仲良くなっていく流れが好きですね(笑)。
――そういう感じが昇華されて「POGGYTHEMAN」になったと。
そうですね。ファッショントレンドも海外のモノを分析してというより、自分たちから溢れ出るモノを発信していきたいです。いまの自分はクラシック感とストリート感をミックスするのが好きで、スーツのなかにTシャツを着るのは当たり前になりましたが、これからは「何を着るか」を追求し、提案したい。僕たちの世代はロゴのもっているキャッチーなおもしろさを楽しみながら育っているので、そういう部分をフィーチャーしていきたいですね。
UNITED ARROWS & SONS(ユナイテッドアローズ&サンズ)
東京都渋谷区神宮前3-28-1 B1F-1F
営業時間|12:00~20:00(平日)、11:00~20:00 (土・日・祝)
UNITED ARROWS & SONS
Tel. 03-5413-5102
http://www.unitedarrowsandsons.jp