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2021年11月11日
ものづくりを追求した結果、SDG’sの流れと共鳴しはじめたタビオの現在|Tabio
SponsoredTabio|タビオ
数多くのトレンドを生んできた靴下専業ブランド
1984年に「靴下屋」をオープンさせて以降、90年代後半のカラータイツブームやサンダルでの靴擦れを防止するトングソックス、さらには5本指ソックスのカジュアル化など多くのヒット商品を生み出してきたタビオ。最高級ラインである「Tabio」では、素材やはき心地に徹底的にこだわり「靴下」というアイテムを1ランク上のものに変化させた。そんなタビオのものづくりに対する姿勢は創業時から一貫しているが、時代の変化とともにSDG’sの考え方と共鳴し最先端のものとなっている。
Edit & Text by TOMIYAMA Eizaburo
「はき心地」にこだわった先に見えてきたものとは?
靴下を選ぶ基準とは何だろう? 色や柄、丈夫さ、そして安さという項目を真っ先に思い浮かべる人が多いだろう。靴下専業ブランドであるタビオは、そこに「はき心地」という根源的でもっとも大事な項目があることを世間に広め続けている。
1968年、靴下専門問屋からスタートしたタビオはすぐにオリジナル商品を開発し始め、企画・製造・卸を生業とする会社となった。その後、1984年に靴下専門店「靴下屋」をオープンすると企画・製造・販売へと舵を切ることになる。あえて自社工場は持たず、タビオの靴下を100%生産する協力工場を中心に、約10社強と取引きしているのも特徴だ。その信頼関係は驚くほど強い。
ちなみに、タビオの名が初めて登場したのは2002年に海外1号店となるロンドンにて靴下専門店「Tabio」をオープンしたとき。地球を「旅(タビ)」しようという願いを込めて命名された。その後、最高級ラインを取り扱うブランド名となり2006年には社名も変更している。
タビオ株式会社 統括事業本部 本部長の佐藤穣次氏に話を訊いた。
実際に足ではいてミリ単位の修正をしてから製品化
ーータビオは下着などの横展開をおこなわず、世界唯一の靴下専業ブランドとして成長を続けています。よくぞ靴下だけでと感心するのですが、御社がもっとも大事にしていること、こだわっている点はどこなのでしょうか。
佐藤 シンプルにわかりやすく言うと、すごくはき心地のいい商品を目指しています。その実現のため、表糸の選定、裏糸の選定、編目のバランスなどを何度も思考錯誤して最終的にミリ単位で調整しています。例えば、洋服でも規格寸法というものがありますよね。靴下では横幅や縦の長さ、ストレッチ性がそれにあたります。ストレッチ性とは引っ張ったときの長さ。しかし、タビオでは引っ張ったときにどれくらい伸びるかのストレッチ性に関しては寸法で作っていません。実際に足にはいたとき、伸びて縮んでくるときの縮み具合い、言葉にできないフィット感で調整しているのです。なので、商品ごとに規格寸法はすべてバラバラです。
ーー生地特性がそれぞれ違うからということですか。
佐藤 表地、裏地、編目など、すべてのバランスで変わってきますから。それらのベストバランスを探るために、1点1点すべて実際にはいて調整しているわけです。
ーー利き酒ならぬ利き靴下、音響機器やウイスキーのマイスターみたいですね。最終チェックされる方は社内に何人かいらっしゃるのでしょうか。
佐藤 これまでは創業者であり現会長の越智直正が、レディスもメンズもすべての商品を最終チェックしていました。
ーーレディスでは最新トレンドを取り入れた生地や、デザインが斬新な商品も多いですよね。それらもはき心地に妥協はないのでしょうか。
佐藤 もちろんです。人によって好きなフィット感は違うと思いますが、弊社の商品は「優しいフィット」を目指しています。ゆるいのではなく、はいていることを忘れてしまうほど肌に優しくフィットする。第2の皮膚といいましょうか。また、染色の色ごと最終仕上げで使う蒸気の量を変えたりもします。濃い色ほど硬くなりやすいので。
お店の隣に工場があるような無駄のない生産体制
ーーそこまで徹底しているんですね。他にも細かいこだわりは多々あると思いますが、愛情のこもった商品を無駄にしないため、在庫管理に対する取り組みも早くからおこなわれていると聞いています。
佐藤 今ではSDGsという視点で話題になっていますが、弊社ではコンピューターのない約30年前から在庫管理や販売管理システムを構築しています。今では多くの会社さんが店頭と本部、そしてメーカーとを情報でつなげていますが、あくまでも計画生産(あらかじめ定めた計画に沿って生産する手法)であり売れ行きの状況を見ているだけです。しかし、弊社は「これが売れたからこの商品をもう少し作ろう」という調整を1日単位でやっているので過剰在庫はありません。受注生産に極めて近く、お店の隣に工場があるような感覚です。
ーー100%国内生産だからこそできるということでしょうか。
佐藤 それだけでは難しく、同じ思いを持った協力工場、本部、店頭、フランチャイズのオーナーさんなど、皆さんとの信頼関係が重要です。私たちは糸の商社、紡績工場、染色工場とも密な情報交換をしています。
ーー川上から川下まで、全員仲間という体制なんですね。そこまで徹底して連携していると、2009年からスタートした国産綿花づくりプロジェクトも自然な流れで生まれたと理解できます。どうせなら原料まで作ってしまおうというわけですね。
奈良県にある靴下の町でオーガニックの綿花栽培をスタート
佐藤 おっしゃる通りです。綿花畑は奈良県広陵町にあるのですが、もともと奈良県は「大和綿」の一大産地だったんです。しかも、広陵町というのは日本の靴下工場の60%がある地域。弊社の物流センターもあります。
ーー眼鏡の鯖江(福井県)みたいですね。
佐藤 まさに広陵町に行くと「ようこそ靴下の広陵町へ」という看板が立ってますよ。
ーー原料の綿花が収穫できれば糸にして紡績して染色してと、すべてそのエリアで完結できてしまうんですね。
佐藤 そうなんです。発端は「理想の靴下をつくりたい、自分たちの手で『原料』から研究したい」という会長の思いからスタートしたプロジェクトです。日本古来の和綿はもちろん、世界中の綿を研究してテストして、2015年にようやくタビオの理想となる品種が決まりました。とはいえ、完全無農薬、オーガニック農法栽培のため苦労も多く、高い収穫量や品質の安定に向けて、近畿大学との産学連携プロジェクトも始まりました。
ーー広陵町で生まれた綿を原料にした靴下はいつ頃から販売できそうですか。
佐藤 本格的なスタートはこれからです、いまちょうど収穫時期ですが早くて年内。超長綿のすごくいいコットンができているので期待していてください。
売り上げよりも大事にしているのは「価値」
ーー無駄な在庫を持たない・廃棄しないシステムづくりや、オーガニックでの綿花づくりなど、時代の最先端ともいえる取り組みです。しかし、タビオさんはそれよりもずっと前から挑戦されてきたわけですよね。メイドインジャパンのものづくりに関しても、価格競争の激しい靴下という商材で考えれば厳しい時期もあったと思います。それでも国産にこだわったのはなぜでしょうか。
佐藤 やはり、はき心地を追求すると日本の製造技術、日本の工場技術でないと実現できないという側面が大きいです。弊社は売り上げよりも大事にしているのは「価値」なんです。価格は平均的な靴下よりも高いですが、価格以上の「商品価値」を提供していきたいと思ってやっています。
ーーお話を伺って実際にはいてみると、「安い」という感想になりますね。
佐藤 ありがとうございます。多くの方が「靴下なんてこんなもんだろう」と思い込まれていることが多いんです。そういった方が弊社の商品をはかれると「なんかすごくはき心地が良かった」「こんな靴下ははじめて」とおっしゃります。靴下は足に着せるニットだと思っているんです。ですから、世界中のニットメーカーに負けない素材の選定をしてものづくりをしています。
ーーそういう商品が「靴下屋」なら500~1000円、「Tabio」なら1000円~2000円で買えてしまうとなると、皆さん一度ははいてみたくなると思います。今日はありがとうございました。
TabioMEN ブランドムービー | シューズデザイナー 勝川 永一
via www.youtube.com