nineSIXty加藤博照対談 スタイリスト 横田勝弘さんと語る
Fashion
2015年3月9日

nineSIXty加藤博照対談 スタイリスト 横田勝弘さんと語る

nineSIXty 加藤博照
第10回 スタイリスト 横田勝弘さんと語る

今回は上戸彩さん、三船美佳さん、宮崎あおいさんなどのスタイリストとして活躍中の横田勝弘氏にご登場いただきます。
加藤氏同様の熱い心の持ち主である横田氏と取り組んでいるプライベートブランドを中心に、おふたりの「絆」とは?

Photo by Jamandfix

ふたりの出会い

横田 アングラでは有名な「鉄割アルバトロスケット」というパフォーマンス集団がありまして、そのなかに属している小林成男くんが共通の友人だったんです。その紹介で、というかたちで知り合いました。最初は、なにも聞かされずつれてこられた感じだったんですが、僕自身、じつは初期のnine SIXtyの指輪はもっていて、以前から加藤さんの存在は知っていたんです。

加藤 もう事前につながっていたんですよね。出会ってからもすぐに息が合って、横ちゃん(横田氏)がスタイリングしたものに合わせて、僕がジュエリーをつくったりとか、nine SIXty名義ではない、仲間内でつけるようなジュエリーを一緒につくりこんだりとかしています。

横田 お互い忙しくて、なかなか進んでいないんですけどね。

加藤 でもそこは、「まじめにいい遊びをしよう」って感じですよね。

横田 本気の遊び、ですかね。その仲間内で進めているのが、「ROCK THERAPY」というプロジェクトで、直訳すると「ロックで癒す」、なんですが、この「ロック」という言葉にはいろんな意味が込められているんです。もちろん音楽のロック、そして強いつながりを示す「ロック」などですね。

じつは現在、イギリスのシューズブランドの日本でのプレスをやっていて、THE CLASHというバンドのジョー・ストラマーと知り合うことができたんです。

実際に会ってみるとめちゃくちゃいいひとで、たとえばライブで出待ちのひとがいると、そのひとたち全員にサインしてしまうくらい。

ライブで100%の力を発揮しているにもかかわらず、ファンに対するその想いにひたすら感動したんです。その後、ご飯を食べにいく予定で、ジョーが着替えにホテルに戻った際、そのまま寝てしまっていたんですが(笑)。

一同(笑)

横田 でもそのくらいロックというものは熱くて、ファンにとっては癒されるもの、なんですよね。
そこで製作したのが「ROCK THERAPY」というTシャツだったんです。しかし市場で値段が大幅に高騰してしまったりして、「やりたかったこととちがう」と思い、封印したんですね。

その後、加藤さんと出会ったときにちょうどそのTシャツを着ていたんですが、「そのロゴ、かっこよくない?」といってもらえて。それがきっかけで復活することになったんです。

加藤 「ROCK THERAPY」って、響きがいいじゃないですか? 感覚的に「かっこいい」と思えたんですよね。

横田 加藤さんのつくるジュエリーっていうのは、ただたんなるアクセサリーではないんですよね。女優さんや、アーティストさんのスタイリングにもっていくとき、ひとつひとつ手づくりだったりとか、意味を盛り込んでいたりとかを説明すると、きちんと共感をもってくれたり、そしてそのつくり手の意図もきちんとくみ取ってくれるんですよ。

そうやってどんどん仲間が生まれていっている気がします。それはもちろんnine SIXtyを好きになっていくことにつながるんですが、その仲間内で、商売ではないプライベートなかたちでそのつながりを形にできないか、という熱い想いを、熱い加藤さんに相談したんです(笑)。そうしたら早速つくってくれて。

加藤 話を聞いたときにすぐにつくりました。「ROCK THERAPY」と刻印したものなんですが、これは横ちゃんがちょうど誕生日だったんで、プレゼントとして形にしてみました。これが第一号の製品ですね。

「ROCK THERAPY」は、いい仲間がリンクできるもの、ですかね。癒し、というのは色や形、そして香りなど、さまざまなかたちがあると思うんです。それをセラピーシリーズと題して、いろいろ展開していきたいですね。もちろんあくまで「仲間内で」、なんですが。

「ROCK THERAPY」の最初のアイテムとなった、ペンダントトップ。横田氏のバースデイプレゼントとして製作されたものだ

横田 「ROCK THERAPY」に関しては、商売ではないので、自分たちがつくりたいものを本気の遊びという感じでつくっていきたいですね。

加藤 今後もゆっくり、そのときそのときの感覚で、好きなものをつくっていきたいですね。

仕事での関係性

横田 加藤さんのジュエリーは、スタイリングに使わせてもらう際のアーティストの反応が、一目瞭然ですね。必ず興味をもってくれて、説明するとホントに共感してくれる。

じつは僕は、大切なスタイリングの際はほぼ、nine SIXtyのアクセサリーを使用しています。宮崎あおいちゃんも担当しているんですが、篤姫の製作発表の際も、ゴールドのネックレスを使用しました。

加藤 じつはあれは奥さんのためにつくったものなんですが(笑)。

横田 それ以外でも自分の大事なスタイリングでは、必ずひとつは入れてますね。そうすると女優さんたちも喜んでくれますし。なによりも自分のなかで安心、っていうのもあります。

ひとつひとつこだわって手づくりされた、本当にいいモノなので、それに敬意をはらいつつ、格好よく使ってあげることが僕の仕事だと思っています。

加藤 ありがとうございます(笑)。でも僕も横ちゃんがいることで、セラピーじゃないですが癒されますし、横ちゃんがスタイリングしたものに、アクセサリーという一部の装飾ではありますが、一緒につくれた、という感覚がリンクできてうれしいですよね。お互い気持ちで通じ合っていれる、というか。

「ROCK THERAPY」名義のネックレス。横田氏にプレゼントされた後に、時間をかけ製作されたもの

加藤氏が奥さまのために製作したネックレス。横田氏は大切なスタイリングの際、このアクセサリーを使用している

横田 なにも説明しなくても、なぜか気になってしまう。いいモノをたくさん見てきた女優さんや、アーティストも「欲しい」となってしまうわけですから。そこにはひとを惹きつけるなにかが間違いなくあるし、加藤さんが伝えようとしているスピリッツも感じ取れるんだと思いますね。

加藤 こう接触していくことで、自分で想像できなかった、なにかまた新しいものが生まれていくだろうし、これからの「ふたり」という意味では、ホントに楽しみですよね。

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