「インコテックス」先行予約販売中の新作トラウザーズ3本。手前から、「1AT046」「1AT031」「1JG016」。

メンズのトラウザーズで半世紀

INCOTEXの名で知られるIndustrie Confezioni Tessiliの歴史は、1951年にまで遡る。

カルロ・コンパーニョがヴェネチアではじめたユニフォームを製造する小さなビジネスは、やがてトラウザーズ製造に特化していき、1980年代初頭にカルロの息子たち、ロベルトとマルツィオが後を継ぐと、いよいよ成長のスピードを速めながら多角化の道を歩んでいった。

いまでは年産約60万本（2002年）を誇る、イタリア有数のトラウザーズブランドとして国の内外で高く評価されている。

「イタリアでは“トラウザーズといえばインコテックス”というぐらいの圧倒的な認知度。クオリティの高さに加え、半世紀以上の歴史に裏打ちされた、こだわりのトラウザーズづくりに定評があるブランドとして知られています」とは、スローウエアジャパンの鈴木さん。インコテックスを売って8年というベテランスタッフだ。

スローウエアジャパンの鈴木雄一朗さん

新作のキーワードは「レトロモダン」

今回あたらしくリリースするトラウザーズについて聞いてみると、「特長を一言でいうと『レトロモダン』。インコテックスというと、ちょっとコンサバティブなイメージを持たれる方もいらっしゃるでしょうが、つねに新しさを提案していくブランドとして、“インコテックスらしさ”を保ちながらも、モダンでモードなエッセンスを取り入れています」

新作となる「1AT046」。ローライズドで細身のシルエットが美しい。

具体的にみてみると、インコテックスではめずらしい、思い切った浅めのライズ（股上）が新鮮だ。

「ほかのインコテックスではおすすめはしませんが、この新作なら腰の位置ではいていただくのがいいかと思います」

「いままでのベーシックなスラックスを気に入っていただいているお客さまに加え、モードに敏感なより若い方々にもアピールできる、そんなトラウザーズです」と鈴木さんも自信をみせる。

マイクロチェックのクラシックパターンをあしらった「1AT046」。ウオッチポケットがアクセントをつける。

下半身を美しくみせるシルエットの秘密

老舗ブランドながら、つねに新しさを追い求めているインコテックス。しかしだからといって、トラウザーズづくりへのこだわりを忘れているわけではもちろんない。

そのこだわりのポイントをたずねると、「たくさんありすぎて、キリがないんですけどね」と笑いながら、鈴木さんはトラウザーズを1本手に取ってデスクに広げた。

こちらもライズが浅めの「1AT031」。モヘアが30％入っており、シワになりにくい。

「細身のシルエットはインコテックスの魅力のひとつですが、日本人の体型にあわせて、よりキレイにみえるようにしています。日本人は欧米人と比べヒップが平たいので、欧米仕様をはくとダボダボしてカッコが悪い。そこでイタリアの本社と交渉して日本向けにアレンジしてもらい、より美しいシルエットではいていただけるよう改良しています」

はき心地よく、動きやすくするための工夫

今度は裏返しにしてみる。

「肌触りの良い素材を贅沢に使用して見えない部分にも美しさを追及していくのがインコテックス社のポリシーとなっています」

「腰まわりの生地は二重に。ひとが動くとトラウザーズとからだが擦れますが、この力を緩衝させて、動きやすく、はき心地をよくしているのです。それから股の部分は、よく擦れて生地が傷みますから、シックという補強布をあてがっています」

「さらに後ろに『バックスリット』という切り込みが入れてあります。座ったときなど、スリットが開きトラウザーズがウェストを圧迫するようなことがないような配慮です。それから洗濯表示のタグにも気をつかっていて……」

枚挙に暇がないとはまさにこのこと。トラウザーズ1本にこれだけのノウハウと熱意をこめている姿勢、さすが半世紀にわたり愛され続けてきたブランドだ。

新作3本を含めて『rumors』で販売中

先行予約販売中の新作は、「1AT031」「1AT046」「1JG016」の3タイプ。「1AT031」は、ローライズドで細身のシルエットが美しい2プリーツで、ドレスアップのみならず、スニーカーとあわせる楽しみ方もある。

「1AT046」もライズの浅い細身のフォルムで、1プリーツ。マイクロチェックのクラシックパターンにウォッチポケットがアクセントをつけている。

そして「1JG016」は、インコテックスの代表的なゴルフパンツ。ストレッチ素材で動きやすくなっているのはもちろん、プレーに必要な小物をしまえるポケットを左右にそなえており利便性にも富んでいる。

新作のゴルフパンツ「1JG016」。
右にティー、左にボールなどをしまえるポケット付き。

いずれも、フォルム、素材、つくり……すべてにおいて、半世紀の歴史が息づいている逸品ばかり。
「インコテックスを1本買ったら、必ずといっていいほど次も買ってくださる」という鈴木さんの言葉、ぜひご自身でたしかめてみてはいかがだろうか。

左から「1AT046」「1AT031」そして「1JG016」。