ループウィラー、日本が誇る「世界一正統なスウェットシャツ」|LOOPWHEELER
LOOPWHEELER|ループウィラー
吊り編みものの逸品
日本が誇る、世界一正統なスウェットシャツ
「世界一、正統なスウェットシャツ」を。そんな思いから1999年に「LOOPWHEELER(ループウィラー)」はスタートした。熟練した技術をもつ職人の手によって生み出される、着心地のよい吊り編みものだけを世界に発信している。2015年でブランド設立16年目を迎えるいま、あらためてその魅力にフォーカスする。
Text by IWANAGA Morito(OPENERS)
ブランドの哲学を体現する、3つの定番アイテム
ループウィラーは、スウェット生地を用いたアイテムにおいて、数えきれないほど豊富なラインナップを誇る。コレクションは、毎年意欲的に新作を発表することで、スウェットがもつ可能性を広げつづけている。今回はそのなかでも、定番モデルとして同ブランドのフィロソフィーをかたちにした3つのトップスを紹介したい。
スウェットそれ自体をトラディショナルなアイテムとして捉えるのであれば、ループウィラーのアイテムは、コンテンポラリーな編集をしている。アメリカで生まれたプロダクトへ、オーセンティックなムードはそのままに現代的なアレンジをくわえ、グローバルな記号性と唯一無二の個性を兼備させた。
『LW01』と呼ばれる定番スウェットは、ループウィラーのスタンダードシリーズを代表するモデル。スウェット本来のモノ作りを踏襲し、身頃には脇接ぎの無い筒状の編み地を使う丸胴ボディを採用。
縫製では、肌に直接触れることが想定される箇所にストレスを与えないよう、フラットシーマを使用した。また、首元のV字ガゼットを前後両方にあしらうなど、ヴィンテージアイテムに準じた、もっともオーセンティックな組み合わせで作成されている。
グレーメランジ、マリン、ブラック、オートミールといった汎用性の高いカラー展開。大きくとられたリブがアクセントとして機能し、ほかにはない絶妙なバランス感を生む。
スウェットパーカもまた、不動の人気を誇る定番アイテムだ。プルオーバーの『LW05』、フルジップ仕様の『LW09』を用意し、いずれも丸胴ボディにフラットシーマ縫製を採用。
コンパクトなサイジングにより生まれるシルエットは、リラックスした雰囲気でありながら、ルーズな印象をあたえることはない。裏毛の色もボディと同色となっており、プレーンなルックスをよりシャープに見せてくれる。
ディテールへの配慮も行き届いており、フード部のドローコードには丸紐、LW05は首元にV字ガゼットを、フルジップモデルのLW09にはオーセンティックなオープンタイプのファスナーをセレクト。シンプルなアイテムのなかに吟味されたパーツなどのディテールにデザイン哲学と文化、そして絶妙なバランスが詰め込まれている。
HOW TO CARE
ループウィラーのアイテムは、スウェットという使い勝手の良いアイテムであり、吊り編み機で編まれたファブリックの特徴から末永く付き合えるのが魅力。もちろん家庭用の洗濯機でケアができるのだが、以下の点に少し気をつけるだけで、その風合いを存分に楽しむことができる。ぜひ、参考にしていただきたい。
1. たっぷりの水で、洗濯槽の回転をできる限りゆっくりにして洗う
→ドライ・ソフトコースなどを選び、洗濯ネットを利用し衣類への負担を極力軽減する
2. タンブラー乾燥は避ける
→型くずれや縮み、生地の傷みの原因となるため
3. 裏返して洗濯する
→表面の毛羽立ちがおさえられる
4. ジップがついているものは、ジップを閉じて洗濯
→裏毛部分や、他の衣類にひっかけてしまうのを防ぐため
5. ボタンがついているものは、ボタンをあけて洗濯
→ボタンホールのゆがみを防ぐため
以上、すべての衣類のケアに共通する留意点でもあるが、あらためて確認していただきたいところだ。ループウィラーの製品は、触れた人それぞれに衣服の本質を感じさせる。真に上質な日常着は、スタイルのみならず生活におけるモチベーションにおいてもプラスに働いてくれるはずだ。
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吊り編みものの逸品
日本が誇る、世界一正統なスウェットシャツ(2)
“吊り編み機”を知る
ループウィラーの生地を編んでいる旧式の「吊り編み機」。1960年半ばまで天竺や裏毛などの生地生産で一般的に用いられてきた編み機だ。そこから生まれるファブリックの最大の特徴は、心地よい肌触りだ。人の肌に一番近い衣服として、またトレーニングウェアとして繰り返し洗濯してもその特性が失われない吊り編み生地は、スウェットシャツやTシャツの素材として、当時汎用されてきた。
しかし、衣料品にも大量生産・大量消費の時代が訪れ、効率重視の生産体制が築かれるなか、この吊り編み機は徐々にその姿を消してゆく。「吊り裏毛」の生地は1時間に1メートルしか編むことができず、さらには職人が常時、編み機の調整をおこないながらの稼動になる。そのため、多くの工場が吊り編み機の10~30倍の生産量を可能にする「シンカー編み機」を導入することで、生産効率を上げていったという歴史背景がある。
ループウィラーは、現代における吊り編み機の採用に取り組んだ。それはひとえに、代表の鈴木氏が体現してきた言葉では言い表せないほどの「着心地のよさ」「気持ちよさ」をもつ生地を提供するためだ。先に述べたとおり、吊り編み機で作るスウェット生地の最大の特徴は、やわらかさだ。毎分24回転というゆっくりとしたスピードで回転し、糸に余分なテンションを掛けることなく編むことで、生地がまるで空気を編んだかのように、ふんわりやわらかく仕上がるのだ。
その耐久性も特筆すべきだろう。1960年代以前に作られたスウェットシャツは、ヴィンテージアイテムとして時代を超えて愛されている。それは希少価値という点も大きな理由であるが、吊り編み機で作られた生地は、シンカー編み機によるものと比較すると編み上がった時点で生地に負担がかかっていないため、縮みや伸びなどの型崩れを起こしにくく、長年の使用にも耐えられる。
現在吊り編み機は、日本の和歌山県に約400台が存在し、そのうちの約200台が稼動しているという。編み立て、修理、整備といった熟練工の技術を必要としながらの生産過程は、現代においては「非効率」のひと言に尽きる。
しかしここにこそ、モノ作りの精神が宿る。素材、デザイン、パターン、縫製といった行程のなかで、各セクションの職人たちが時間と集中力を注ぎ、製品を完成させる。大量生産を前提とする工場とは異なりロット数も小さいため、作り手の細かなオーダーも受け止められる。それゆえにループウィラーが提供するプロダクトは、機械で生産される製品にして、人間の手仕事でしか到達し得ないクオリティが担保されているのだ。