ナイジェル・ケーボンインタビュー(1)
Interview with Nigel Cabourn(1)
僕にとってのヒーローの服
1949年生まれの英国人ファッションデザイナー、ナイジェル・ケーボン氏が自らの名前を冠したこだわりのブランド『ナイジェル・ケーボン』。
今季(2008秋冬)より、ナイジェル・ケーボン氏のこだわりをすべて盛り込んだよりハイエンドな「AUTHENTIC LINE」と、コンテンポラリーな見え方を意識した「MAIN LINE」にコレクションを分け、新しい体制のもとスタートを切った。
まとめ=オウプナーズPhoto by Jamandfix
英国のファッションの純血を継ぐ人たち
──はじめまして。OPENERSというインターネットのマガジンです
OPENERSにはミハラ(三原康裕氏)が参加しているんでしょ。一昨日も一緒に食事に行ったよ。彼はナイスガイだよ。ニューカッスルまで遊びに来てくれるし、個人的にすごく仲良くさせてもらっている。
──今日のナイジェルさんの着こなしのポイントは?
そんなポイントなんていうほどのものはなくて、大事にしているのは着心地のよさ。いつも軍モノのヴィンテージパンツに、自分に合うアウターを着ているよ。
友だちの『MARGARET HOWELL』の服もよく着ている。控えめなデザインなところが好きだね。
──ナイジェルさんはポール・スミスさんとも交友が深いんですよね
そうだね。ポール・スミスとは70年代に一緒に働いていたよ。彼も僕もマーガレット・ハウエルも同世代で、ファッションや生き方に対する考え方が近いと思う。
マーガレットも英軍のピーコートをベースにデザインしたりしているしね。ポール・スミスは、じつは1973年に私のブランドの営業を彼がしていた以来の仲なんだ。
1979年ぐらいに彼が私に軍の一点モノをプレゼントしてくれて、それを「面白い」と思ったのがきっかけで、ヴィンテージウェアを30年も集めている(笑)。
──30年! すごいですね
パリのフリーマーケットやロンドンではもちろん、日本でもたくさん買います。どこに出かけても服を探す時間だけはキープしている(笑)。
30年間で4000点近いんじゃないかな。きっと2億円ぐらいの価値があるね。
──コレクションブックができますね。どうやって保管しているんですか?
自分のスタジオにシャツのようにきれいに畳んで保管している。最近では、写真の勉強をしている娘にディテールもふくめて写真を撮ってもらっているよ。
軍モノ、アウトドア、スポーツモノもあるけど、やっぱりイギリス軍の古着を一番大切にしている。とくにヴィンテージのアウターは大事だね。
── “ミリタリーといえばNigel”というイメージで有名ですよね
もちろん第一次世界大戦や第二次世界大戦当時に実際に着用していたミリタリーウェアは大好きだけど、それ以外にも1953年にエベレストの初登頂に成功したエドモンド・ヒラリー卿とその登山隊や、1958年のF1ワールドチャンピオンになった英国人マイケル・ホーソーンは、尊敬しているし、僕にとってとても大切なヒーロー。とくに彼らが着ていた洋服のイメージが大好きなんだ。
──2003年には、ヒラリー卿によるエベレスト登頂50周年を記念した素晴らしいリミテッドコレクションを発表されました
よく覚えているね。僕は1910年から1955年までの山や登山関係の本をコレクションしていて、南極大陸を探検したイギリス隊のロバート・スコットとか、20年代にエベレストにアタックしたジョージ・マロリーなどの当時のいい写真がいっぱい残っていて、それから大いにインスピレーションを受けている。
彼らの旺盛な冒険心やその果敢なチャレンジングスピリットはいつでもリスペクトできるし、当時の冒険者は軍人が多いのだが、機能性の高い軍服をさらにカスタマイズして極限へ挑戦していることはすごく興味深い。
──それが、今回スタートした、一切妥協しない最強の製品だけを結集した「AUTHENTIC LINE」に結びつくわけですね。
Great! その通り。
──では、次回はご自身のコレクションについてお聞きします
ナイジェル・ケーボン
OUTER LIMITS
Tel. 03-5457-5631
http://www.outerlimits.co.jp/
http://www.cabourn.jp/