ck Calvin Klein|グローバル クリエイティブ・ディレクター、ケヴィン・ケリガン インタビュー
ck Calvin Klein|ck カルバン・クライン
グローバル クリエイティブ・ディレクター、ケヴィン・ケリガン インタビュー
先月好評のうちに幕を閉じた有楽町西武での「ワールド・オブ・カルバン・クライン」キャンペーン。そのオープニングレセプションに出席した、ck カルバン・クライン、カルバン・クライン ジーンズ及びカルバン・クラインのグローバル クリエイティブ・ディレクター、ケヴィン・ケリガン氏に話を聞くことができた。
Text by OPENERSPhoto by Tomo Stampede (tomostampede.com)
──カルバン・クラインという大きなグループのなかで、カルバン・クライン ジーンズが果たす役割とはなんでしょう。
ケヴィン 自分自身を表現するための、ライフスタイルのようなものがジーンズだと思います。カルバン・クライン氏自身も、デニムこそが自分自身を表現できる手段だと考えていました。私自身もデニムは大好きです。デニムは自分がなりたい姿、あるべき姿を体現してくれるものだと思います。
今では誰もが必ず持っているジーンズですが、1970年代にはじめてデザイナーズジーンズを発表したことが、カルバン・クラインがアヴァンギャルドだと思う点です。
──デザイナーズジーンズがある種の“飽和状態”にあるなか、カルバン・クライン ジーンズの独自性とはどこにあるのでしょうか。
ケヴィン もちろんこのブランドにとってもジーンズはアイコニックな存在です。それはクリーンでミニマリスティックなシェイプをもつ、毎日のためのデニムです。私は“フィット”というものにとてもこだわっています。それを日々進化させてきました。つまりライフスタイルに合うようなかたちでのフィットというのを目指しているのです。クリーンでミニマリスティックなジーンズというアプローチは引き継がれているものの、フィットは時代とともに進化させてきました。
──いわゆる美脚デニムなどの“機能”デニムが氾濫するなか、カルバン・クライン ジーンズのアドヴァンテージとはなんでしょう。
ケヴィン 都会で働く女性・男性のためのジーンズということでしょうか。都会的でセクシーでクリーンであり、それらは職場にも穿いていくことができます。デストロイ系やデコレーション系のデニムではなく、自分のワードローブのなかにかならず入っているようなもの、日々着れるようなものなのです。
テクノロジーの分野でも私たちにはアドヴァンテージがあると言えるでしょう。70年代、80年代、90年代、2000年代とつづく、この40年の歴史のなかで、あえて“さりげない”変化という言葉を使いたいと思いますが、つねにテクノロジーを進化させてきました。たとえば、最近発表された「ニューボディジーンズ」にも、あたらしいテクノロジーが駆使されています。
私たちのジーンズは手が届く範囲のものです。けっして高すぎるということはなく、といってファストファッションのような安価なものではない。セクシーで都会的でクリーン、そしてコンテンポラリーということが言えると思います。そこにテクノロジーをくわえ、かつアクセシブルなのです。
──アメリカと日本では“はたらく場”でのジーンズのはかれ方になにかちがいはありますか。
ケヴィン 10年前ならともかく、いまではもうないと思いますね。“はかれ方”もいまやグローバルなのです。もちろんほんの少しの文化的なちがいはあると思いますが、これはどのケースでもおなじでしょう。
ただこの10年間の変化で言えば、スケートボーディングのようなスポーツが、デザインにいくらか影響をあたえていると思います。バギージーンズもそうでした。しかしこういったものがメインストリームになることは決してなく、本当にニッチなトレンドでしかないのです。
ところで、最近ではスケートボーダーたちはスキニージーンズをはいています(笑)。ストレッチ性のあるマテリアルがもたらした効果ですね。
──カルバン・クライン ジーンズの“核”とはどのようなものでしょう。
ケヴィン デニムに対するクリーンでミニマリスティックなアプローチというのはこのブランドの核。そこは守っていかなければならないし、実際に守られてきました。それを進化させていく必要があります。
カルバン・クラインはいつの時代にもアメリカン・ミニマリスト ブランドであると私は思っています。プラクティカルにモダンなライフスタイルというものを捉え、その結果女性たちを“職場”に解放しました。アメリカのモダンなデザインというのは、あまり無理をしないで、ものをそぎ落としていく。
エフォートレス(無理をしない)という言葉は非常に重要です。エフォートレスな着こなしというのは、あまりやりすぎない着こなしのこと。凝りすぎないことがクールなのです
──カルバン・クライン ジーンズは今後どのように進化していくのでしょうか。
ケヴィン あたらしいテクノロジーというものは大切だと思います。デニムをさらに発展させていくことが大事なのです。私自身はフィットにこだわっているので、アンダーウェアのテクノロジーを、デニムと合わせて相乗効果が図れないかということを考えています。
“5ポケット”は40年前から見た目は変わっていないかもしれません。でもテクノロジーの進歩により、実際にはまったく別なものになっているのです。
Kevin Carrigan|ケヴィン・ケリガン
ck カルバン・クライン、カルバン・クライン ジーンズ、カルバン・クライン
グローバル クリエイティブ・ディレクター
ロンドンのRoyal College of Art and Design(王立美術大学)ファッションデザイン科でアート修士号、及びRavensbourne Collecge of Design and Communicationでアート学士号を取得。1998年、ck カルバン・クライン ウィメンズのデザイン・ディレクターとしてカルバン・クライン社に入社。現在、「ck Calvin Klein」、「Calvin Klein」ならびに「Calvin Klein Jeans」ブランドのクリエイティブ・ディレクターとして、メンズ・ウィメンズ スポーツウェアビジネスにおけるグローバルデザインの方向性を決定するという職務を担う。また、ジーンズ、コート、ドレス、ソックス・ストッキング、ハンカチ、ネクタイなどをふくむライセンス製品カテゴリーのデザインについても監督している。